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転生サーガ~異世界勇者録~  作者: よっちゃん
第3章・ジン編
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吊り橋で待ち伏せ

 仁達は足場の悪い山道をひたすら上っていた。何が悲しくてこんな思いをしなければならないのか。理由は明白である。そこに聖剣があるから、これに尽きる。


「おい、あそこに家がある。情報を集めよう」

 山道を登り切ると、仁達の目の前に小さな酒場が姿を現した。

「こんな場所で繁盛するのかは知らんが、とにかく行くぜ」


 仁達は酒場の中に入って行った。

「御免くださーい」

「おい、ルミナス。御免くださいは無いだろ」

「だ、だって・・・・」

 ジャンヌはカウンターで洗い物をしているマスターに声を掛けた。

「あの・・・・」

「おや、随分と綺麗な方だね。にしても、今日は知らないお客さんが多いなあ」

 マスターの発言に、ジャンヌの顔付きが変わった。

「知らないお客さんって?」


 マスターは洗い終わったジョッキを拭きながら、仁達をカウンター席に座らせた。

「ああ、30分ほど前だったかな。変な顎鬚を生やした男が来たよ。自分のことをガラガラヘビとか言っていたな」

「ガラガラヘビ・・・・?」

 ジャンヌの頭に?マークが浮かんでいた。

「おい、パツ金のねーちゃん。こっち来て一緒に飲まないかい?」

 ジャンヌの背後に向かって、下品な言葉が飛び交った。見ると、見るからに柄の悪そうな男達が、まだ昼だというのに、酒を呷り、顔を真っ赤にしてイヤらしい眼でジャンヌを見ていた。


「あなた達は?」

「俺達はよお。ここの常連だぜ。ねーちゃん、中々の乳をしているね」

「まあ、いけない方」

 ジャンヌは口元を手で押さえて戸惑っていた。それを見たレベッカが彼女を庇うように、男達の前に仁王立ちになった。

「失礼な。女を何だと思っているのだ?」

「おい、あんたも中々良いねえ。乳はちと小さいが、全然構わないぜ」

 

 レベッカは顔を真っ赤にすると、無意識に腰からシルバーブレットを引き抜いて、男達に向けて発砲しようとした。

「おい、止めろ」

 寸前のところで仁が止めたので、事なきを得たが、依然として有力な情報は得られていなかった。仕方なく、マスターに礼だけ言って、仁達は聖剣を素直に探すことにした。


 聖剣の指し示す方向を頼りに、仁達は赤土の大地をひたすらに進んでいた。途中で旅人らしき人物と何回かすれ違ったが、どれも怪しいものではなかった。いくら歩いても見る景色が変わらないというのは、カルゴタの砂漠と同じかもしれない。


「うわあああ」

 突然、ルミナスが大声を上げて震え始めた。

「どうした?」

「見てよ。あれ・・・・」

 ルミナスの指した先には、風に揺られて今にも落ちそうな吊り橋があった。ここから向こう岸に行くには吊り橋を通らなければならない。聖剣も吊り橋の方向を示していた。


「ルミナス。私が手を繋いでおいてあげましょうか?」

 慈愛の天使、ジャンヌがルミナスを見て優しく微笑んだ。仁はそんな二人を放って橋を渡り始めた。ふと、先の光景を見ると、向こう岸には、カウボーイの格好をした男が立っていた。先程マスターが言っていた客と同じように、顎鬚を生やしている。さらに、腰には黒い拳銃が指してある。異様な雰囲気を感じた仁はジャンヌ達の方を思わず振り返った。


「おい、まずいぜ。敵だ」

 仁は木刀を右手に持つと、恐る恐る橋を進んで、男の元ににじり寄って行った。男の方も同じように橋を渡り、仁の方に歩き始めていた。対立する両者、まるで西部劇のようにも見える。

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