砂漠の恐怖
カシムを倒した仁達は二本目の聖剣を引き抜き、聖剣が指し示す次の世界、カルゴタを訪れていた。カルゴタは辺り一面全て砂漠という、不毛の世界である。照りつける太陽は気温を蒸し風呂のように上昇させるが、夜になると、今度は南極のように極寒の世界に早変わりする。何とも不安定な気候をしていた。
「熱いぜ」
仁は額の汗を手で拭った。着ているのが学校指定の夏服で良かったと思った。これで冬服かる学ランだったら、今頃発狂していただろう。彼の後ろには、同じく死んだような顔で歩くレベッカやルミナスがおり、ジャンヌは頭に頭巾を被っていた。
「うう、熱いよ~」
ルミナスは顔を紅潮させると、譫言のようにブツブツと独り言に没頭していた。そんな姿を仁が心配そうに見つめる。
「おい、大丈夫か。休憩するか?」
「ううん。大丈夫だよ。このぐらいで休んでられないよ。お父様とお母様の無念を晴らすまでは」
「ご立派だな」
ジャンヌの持っている聖剣は、コンパスのように剣先で、次の聖剣のある位置を指示している。歩いている方向は正しいという感覚だけが今の救いだった。
「ジャンヌ。ところで聖剣って元々は誰の物なんだ?」
「私の主、ゴッドドラゴンが宇宙の果てに保管していました。しかし、同じく宇宙の果てである闇に追放されていたギースが、闇から脱出する際にゴッドドラゴンから盗み取ったのです」
「随分と間抜けなドラゴンだな」
「いえ、ゴッドドラゴンはこの世の森羅万象を司る存在。決して立ち向かえるような相手ではありません。そんなゴッドドラゴンを出しぬいたギースと言う男は、大変恐ろしい」
砂漠の砂には、仁達の足跡がいくつも付いていた。それだけの距離を彼らは歩いていたのだ。
熱砂の砂漠、照りつける太陽。その中を二頭のラクダが歩いていた。上には若い男女が一人ずつ乗っている。
「あ~あ。命令とは言え、こんな砂漠に来なきゃならないなんて、あたし達って不幸よね~」
女の方はそんなことを愚痴りながら、ラクダの首に掛けてある水筒を取って、それを口に含んだ。女はカウボーイのような姿をしており、トレードマークの茶色い帽子を被っていた。
「あの方が直接、我らを指名して下さったのだ。悪いが俺はここで奴らを仕留めて、あの方に褒めて頂くのだ」
「ふうん。精が出るわね」
「ところでラブよ。水筒の中身はまだ残ってるか?」
「ああ、うん」
「じゃあ、先にオアシスで待機していてくれ。俺が一人で奴らを仕留める」
ラブは、自分が要らないと言われているみたいで、少々不機嫌そうにしていた。そして水筒を飲み干してやろうと、ラクダの首に触れた途端、彼女に異変が起こった。
「え・・・・あ・・・・?」
ラブの右手の人差し指と中指が、突然バリバリっという音とともに皮が捲れ、真っ赤な肉が露出していたのだ。
「ああ。あんた、よくもやったわね」
「仕方ないだろ。こいつらを完璧にコントロールするのは無理だ。だから一人で行きたいと言っているんだぜ。こいつらには仲間とか分からないんだからよ」
「うう、せっかくネイルしたのに。指がああああ」
「だから先にオアシスで待ってろ」
「ひいいいい」
ラブはラクダに乗って、男とは真逆の方向に進んで行った。彼はその様子を確認すると、一人で仁達の元に向かった。
「このジョンスン様の魔法、ハンターフライが奴らを仕留めてやるからな。僕ちゃん達、せいぜい俺のために働いてくれよ」
砂漠の闘いが始まろうとしていた。
やりたかっただけの現代魔法辞典その2 物質強化・・・・触れた物体を強くすることができる。それは頑丈にしたり使いやすくしたりと、総合的な意味での強化を示す。ただ単に、壊れにくくなっただけではない。
ステータス パワー3 スピード5 テクニック5 リーチ1 タクティクス5
※ 能力は5段階評価 1が最も低く。5が最も高い。
パワー 能力の殺傷力 1 子供並み 2 大人並み 3 兵士並み 4 軍隊並み 5 核爆弾並み
スピード 能力の伝わる速さ 1 よちよち歩き程度 2 徒歩程度 3 走り程度 4 自動車程度 5 新幹線程度
テクニック 能力がどの程度まで調整ができるか 1 大雑把 2 使いにくい
3 ふつう 4 手足のように動かせる 5 糸に針を通すような細かい動きが可能
リーチ 能力の及ぶ距離 1 手の届く範囲 2 周囲5メートル程度 3 周囲1キロ程度 4 周囲10キロ程度 5 周囲100キロ以上
タクティクス 能力の応用性・自由度 1 限られている 2 少ない 3 多少の応用が利く 4 応用が利く 5 工夫次第で様々な使い方が可能




