狂乱の旅路
「よし、行くか」
カシムを先頭に、仁達御一行は山の神のいる、悪魔の山へと向かった。
「気を付けろ。この山にはレッサーデーモンが出るからな」
レッサーデーモンは、中級魔法を操る中位の魔族である。大して脅威でもないが、旅に慣れてない冒険者にとっては、まず恐れるべき存在だ。
「早速来ましたわ」
レベッカは右手に握っている拳銃、つまりシルバーブレッドを構えると、岩陰から姿を現した、真紅の体を持つレッサーデーモンの、背中に生えている黒い翼に向かって発砲した。
「グォォォ」
レッサーデーモンは苦しみながら崖下に墜ちて行くと、岩陰から何体ものレッサーデーモンの群れが姿を現した。
「まずいぜ。俺は闘えないからな。お前らに任せる」
カシムはその場から離れると、代わりに仁が前に一歩出た。そして屈むと、地面に落ちている小石を一個取った。
「こいつだけで十分だ」
仁は小石を握り締めた。すると小石を緑色の光が包んだ。
「喰らいな」
仁は小石を投げた。小石はレッサーデーモンの頭に命中、貫通すると、その背後にいた別のレッサーデーモンの頭部を貫通し、次々と小石がレッサーデーモンの頭部を貫いて行った。
辺り一面にレッサーデーモンの死骸が転がった。仁はカシムの方を見ると、先頭で道案内するように促した。
「な、何だお前らは・・・・」
「良いから早くしろ。俺達は忙しいんだぜ」
カシムはしぶしぶ先頭に立つと、仁達を頂上にまで案内した。山自体、そこまで大きいわけではないため、1時間ほどで頂上まで辿り付くことができた。
「ここだ」
山の頂上は草木一本すら生えない不毛の大地だった。とても人がいるような雰囲気ではない。ジャンヌは遠くにある、キラリと光るものを発見した。
「聖剣です。あそこに刺さっています」
「ああ、だがその前にやることがある」
仁は突然、背後に立っているカシムの方を振り返ると、拳を握りしめて、カシムの顔面を殴り飛ばした。
「おぐうう」
カシムは地面の上に大の字で倒れると、血と唾の入り混じったものを吐き出した。そして唇を手の甲で押さえながら、フラフラと立ち上がった。そして怒りに満ちた眼で仁を睨み付けていた。
「いきなり何しやがる」
「山の神ってのはお前のことだろ?」
仁はカシムの胸倉を掴むと、彼の体が軽く浮いていた。レベッカとジャンヌはその様子を固唾を飲んで見守っていたが、ルミナスは耐えられなくなって、仁の腕を両手で掴んだ。
「待って。ジン。どうしたの?」
「こいつが山の神だと言ったんだぜ。今から俺が理由を話してやる」
仁の推理タイムが始まった。




