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転生サーガ~異世界勇者録~  作者: よっちゃん
第2章・アベル編
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ゼウスの成長

「エリア4のコロニーが破壊されたか」

 ゼウスはノーランドによって破壊されたコロニーの一角を、そこのシグマ達から発せられた信号のようなもので察した。彼は本を閉じると、自分の足元に転がった餌の残骸を足で退けていた。

 餌となった人間達は、空気の抜けた風船のように皮が薄く延ばされており、厚みの無い紙のようであった。

「そろそろ。私の知性に付いて来れる高等なシグマを生み出すか」


 ゼウスの元、ただ餌を集めるだけだったシグマ達に、人間のような役職が与えられていた。一つは兵士シグマ。これはコロニーが襲われた際に戦う。コロニーを守る役目を担っている。そして給食シグマ。これは今までのシグマ同様に、人の集まる場所に向かい、餌となる人をコロニーまで運ぶ仕事を担っている。偵察シグマは、所謂監視役で、怪しい人物がコロニーに近付いて来ないか監視する役目を持っている。


「私一人で全てを把握するのは無理になって来たな。そろそろ、隊長シグマを造るか。高い知能を持ち、シグマ達を統率できる者をな」

 ゼウスは全身に力を込めた。そして背中の肉が大きく盛り上がると、その中から二つの卵が飛び出して来た。それは丁度、人間の幼児ぐらいの大きさを誇っていた。


「生まれよ。新たなる私のための生命よ」

 卵の一つにひびが入り割れた。両手と両足を丸めて出て来たソレは、150センチほどの身長があり、紫色の髪を肩まで伸ばし、また白い雪のような色の肌をしており、今までのシグマとは全く異なる姿をしていた。それは人間の少女にも見え、瞳は大きくクリっとしており、口も鼻も小振りだった。背中には紫色の毒々しい翼が生えている。また黒いドレスを身に纏っており、翼が無ければ人間と見分けがつかないようだった。


「良いぞ。貴様には名前をやろう。貴様の名はパルフェだ。良いな」

「はあ・・・・はあ・・・・」

 パルフェはしばらく呼吸を荒げて苦しそうにしていたが、すぐに顔を上げて、周囲の様子を観察し始めた。

「僕はパルフェ?」

「ほう、人の言葉を・・・・驚いたぞ」

「ゼウス様。僕に名前を付けて頂きありがとうございます」


 パルフェはペコリと可愛らしく頭を下げた。すると、隣にあった卵にもひびが入り割れた。

「もう一匹生まれたか・・・・」

 もう片方のシグマは、筋肉隆々としたシグマで、体色は緑で全裸だった。敢えて例えるならばオーガのような姿をしている。パルフェよりもゼウスに似ていた。

「貴様の名はゴルゴンだ」

「はっ、名前を付けて頂きありがとうございます」

 ゴルゴンは片膝を突いて頭を下げた。


「貴様らにはこれから勝負をしてもらう。それぞれが均等な量の給食シグマを率いて、今から一週間以内に、どちらが多くの餌を集めて来るか。勝った方には褒美を取らせる。負けた方には・・・・」

 ゼウスは一匹のシグマを呼び出すと、手刀でそのシグマの首を刎ねた。

「こうなる」

「はっ」

 二人同時に返事をすると、早速勝負が開始された。

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