魔王の城
「ぐあああああ。ぐ、よくも、この蛆虫が。俺にこんな屈辱を」
ギースは背後に大きく仰け反った。リオンは左手の力を抜くと短剣を消して、素早く右手の剣を、彼の体から引き抜いた。そして再び両手でそれを掴むと、ギースに斬り掛かった。
「これで終わりだ」
「しまった。あいつの方が一手速い」
ギースは咄嗟に防御の姿勢を取ろうとしたが、既にリオンの光の剣が、彼の体を捉えていた。そして横に真っ直ぐ、彼の体を一閃。真っ二つにした。
「馬鹿な。このようなことが・・・・」
ギースの上半身は風に揺られて吹き飛んだ。彼は咄嗟に崖を掴むと、思わず下を向いた。彼は断崖絶壁の崖を何とか片手で掴んでいる状態だった。
「この、蛆虫が。蛆虫、蛆虫、蛆虫、俺の野望に集る蛆虫どもが」
ギースの手の力が少しずつ抜けていった。そして一陣の強風に煽られて、彼の体は崖下目掛けて落下して行った。
「蛆虫どもがあああああ」
さっきまであんなにも恐ろしかったギースの姿が、塵ほどの大きさに見えた。彼は激流の川に呑まれると、何処ともなく姿を消した。
「彼は死んだのか・・・・」
「あの、ダメージでは恐らく・・・・」
リオンはその場に膝を突いた。ギースとの戦いで力を使い果たしてしまっていた。
「魔王との戦いが控えているというのに。僕は・・・・」
「後は私達に任せて下さい」
リリィはリオンに肩を貸すと彼を立たせた。その後、レイナはセンの手当てのために下山し、残りのメンバーでパーティーを組み進むことにした。
目の前には蛇のような曲がりくねった道が続いており、その先にはエドウィンの城が禍々しいオーラを放ちながら、そこに存在していた。まるで来る者を威圧するかのような雰囲気に、そこにいた全員は思わず、互いの顔を見合わせていた。
「あれが敵の本拠地ですね」
「いよいよ、僕達の戦いが終わる」
「あたしはホムンクルスだからさ。感傷的にはならないけど。ジェイのおっさんが死んだ時、初めて悲しいってことが分かった」
城をじっと見つめている三人の前に、真紅のドラゴノイドに乗った、茶色の髪を一本に結んだ、凛々しい顔の少女が現れた。言うまでもなく、タータル族のカレンである。彼女はリオン達を見ると、ニコッと笑顔でウインクした。
「乗りなよ。余計な体力をこんな山道で使うわけにもいかないだろう」
「カレン・・・・」
「あの時、処刑されていれば私はいなかった。このぐらい安いものよ」
「恩に着る」
「ああ、もう面倒臭いな。サンキューって言えば良いんだよ。いつでも頼りな」
リオン達はカレンとともに、魔王の城へと飛んだ。




