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転生サーガ~異世界勇者録~  作者: よっちゃん
第1章・リオン編
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付録・ギース・ブラッドの過去

 ギース・ブラッドはブラッド家の二男とされているが、正式に言えば彼はブラッド家の血を継いでいない。彼は元々本当の両親に捨てられ、所謂、ストレートチルドレンであった。旅人や町の住民からスリや窃盗、暴力によって金品や食べ物を巻き上げて生きて来た。彼の過ごしていた世界ではルールが絶対であり、彼も自分の縄張りを持ち、そのルールに従っていた。そんなある日のこと、彼は貴族であるブラッド家の人間に対してスリをした。ギースは普段ならば上手くいっていたはずが、今回は勝手が違っており、その場でバレてしまった。


 人気の無い森に連れられたギースはそこで、彼らの洗礼を受けた。つまり殴る蹴るの暴行を一身で受けたのだ。1時間以上も殴られ続け、ボロ雑巾のようになった彼を、ブラッド家の当主(後のギースの義父)が発見した。彼はギースの飢えた野犬のような瞳を気に入り、彼を養子にしたのだ。ギースは高い知能の持ち主で、テーブルマナーをあっという間に身に着けると、貴族としての振る舞いも数日で完璧にコピーした。彼は学校に通うことを許可され、その日から彼の輝かしい日々が始まると思われた。


「おい貧乏人」

「俺に言ったのか?」

 当時、12歳だったギースは華奢な体付きと、過去の経歴のせいで、初日からいじめの対象になっていた。彼の経歴は秘密になっていたはずだったが、彼を快く思わないブラッド家長男によって、クラス全員に、彼の秘密が事前に知れ渡っていたのだ。歩いていればわざと足を引っかけられたり、物を隠されたりした。もし、彼が普通の気弱な学生であれば、そのまま黙って通い続けるか、学校に行くのを止めてしまうだろう。それが本来の道なのだ。しかし、飢えた野犬は違った。


 数日後、ギースのいじめの主犯であった三人組の男子が行方不明になった。彼らは山奥の小屋で、手足を縛られ、両目と口を糸で縫われた状態で、丸一日放置され、後少し遅ければ死んでいた。そしてさらに数日後、ブラッド家の長男が原因不明の感染症に罹り生死の境を彷徨った。それ以降、誰もギースに刃向おうとする者はいなかったという、そして彼が青年と呼べる年齢なり、ブラッド家の当主会議が始まると、ブラッド家の長男が当主に選ばれることに納得せず、父と長男に毒薬を飲ませて毒死させた。ギースが当主に選ばれることは必然だったのだ。

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