生きるか死ぬか・・・・
巨大な爆発が起きた。リオン達はそれに抗うこともできずに爆風によって何処へ飛ばされた。全身が火傷したのか、ヒリヒリと熱く痛い。それでいて周りの景色は真っ白で眩しかった。リオンは鉛のようになった体を起こして、周囲の様子を見た。先程まで穏やかだった海は荒れ狂い、大地は引っ掻き傷のように抉れていた。しばらくすると岩の下から、泥まみれのリンやリリィ、レイナとカレンが次々と出て来たが、ジェイだけは一向に見つからなかった。
「ジェイは・・・・」
「あの爆発では恐らくもう・・・・」
残酷な静寂が皆を包んだ。リオンの正面の岩が崩れ落ち、中から黒い人影が一つ飛び出して来た。
「ごほ、私が人間なんぞに・・・・」
エドウィンは全身傷だらけで、着ていたローブも擦り切れていた。そして充血した瞳をリオン達へと向けた。リオンはそれを見て、静かに前に出ると、右手に力を込めた。
(ジェイが命を捨ててまでくれたチャンスだ。もう逃げないし、迷わない)
リオンの右手を金色の光が包み込んだ。そしてそれは剣となってリオンの手に装備された。以前エクスダスとの戦いで発現した不思議な力である。それを見たエドウィンは表情を強張らせた。
「お主、それは光の剣ではないか・・・・」
「僕も良く知らないがな」
「なるほど、やはり我らは出会う宿命にあったのだな。それは勇者のみが扱うことができる天使からの授かり物よ。お主は勇者だったのか。私とお主が出会ったのは世界の理ということだな」
エドウィンは何かを察したように言うと、突然、地面を蹴り上げて空を飛んだ。
「待て、逃げる気か・・・・」
「ふん、挑発しても無駄だ。私は力を大分使ってしまった。私と決着を付けたいのならば、デビルズマウンテンに来い。私はそこの頂上に城を構えている」
エドウィンはそれだけ告げると、そのまま天高く舞い上がり、何処かに消えてしまった。
「済まないジェイ・・・・」
リオンは涙を拭いながら、リリィ達とともにディタールへと帰った。
ディタール城では、古くからの名将の死に誰もが涙していた。それは家政婦として来ていたメイドも含め、一見何の関係も無いはずの人物の耳にも届き、彼らを悲しませた。如何に彼が様々な人に愛されていたのか、今になって分かるのである。
「リオン王」
センは両手に剣を持った状態で王室に入って来た。張りつめた空気が王室に流れ、リリィやレイナも緊張していた。
「セン、僕の言いたいことは分かっているはずだ。僕はデビルズマウンテンに行く。そしてジェイの仇を討つんだ」
「それを聞いて安心しました。俺も行きます」
デビルズマウンテンは、ブリタニカ世界の中央に位置している雲を貫くほどの高さを誇る山である。山の表面が魔物が口を開けているように見えるため、デビルと冠されているのである。そこの頂上部に禍々しいオーラを放つ城が存在していた。そこのテラスでエドウィンとギースの二人がいた。
「その体では、勇者を相手にするのはきついだろう?」
ギースは椅子に座り、傷を手で押さえているエドウィンを見て言った。
「何が言いたい・・・・」
「俺はあいつとの戦いを一度経験している。あいつは見た目以上にタフな精神を持っているが、所詮は俺の敵ではない。そこでだ。俺がデビルズマウンテンの中腹で奴を足止めしてやる」
「ふん、貴様にしては積極的だな」
「もちろん条件がある。俺は人間の頂点に立ちたい。お前が魔族の王ならば、俺は人間の王として君臨したいのだ。そのためにも土地がいる。俺が奴らを始末できたら、世界の3分の1を俺にくれ」
ギースの発言に、近くで見張りをしていた魔族が、腰の剣を抜いてギースの前に立ち塞がった。
「貴様のような魔族もどきが、エドウィン様に催促するな」
「止めろ」
エドウィンは兵士の剣を奪うと、そのまま部屋から追い出した。そしてギースの方に視線を戻した。
「悪かったな。本当に奴らを始末できるのか?」
「まあな。それよりどうなんだ。俺に世界の一部をくれるんだろ?」
「分かった。もし奴らを始末できたら世界の3分の1をやる」
「そう来なくっちゃな。後、もう一つだけ。さっきの生意気な兵士を殺しても良いか?」
「何だ急に・・・・」
「態度が気に喰わんのだ」
「好きにしろ」




