ストリップポーカーその3
「脱げ、脱げ、脱げ」
レンに対して、容赦の無い脱げコールが飛び交っていた。マックスとフローラはそれを必死に止めさせようとしていたが、二人の声では簡単に周りにかき消されてしまう。
「くそ、レン、脱ぐことないぜ。こんなゲームはお終いだ」
「そうよ。こんなのって不健全だわ」
クーガは机を両手でぴしゃりと叩いた。同時にクラス中に響き渡っていた男子達の叫び声が収まった。
「うるさいな。神聖なゲームを汚さないでくれよ。こんなことならストリップルールは外せば良かったよ。うるさくてイライラする」
クーガは机に肘を乗せると、レンの方を見ながら言った。
「さあ、ルールはルールだよ」
「分かってるよ。ほら、もう脱いだ」
「脱いだだと。何も変わっていないじゃないか」
「脱いだよ」
レンは両足をクーガに見せた。何と上履きを二足脱いでいた。あまりの狡猾さにクーガは閉口してしまったが、すぐに元の無表情に戻り、手を打って今度は笑い始めた。
「面白いね。君、良いよ。そして次は靴下を脱ぐんだろ。分かっているぞ。だけどね、小細工したっていつかは脱ぐ羽目になるんだ。今のうち慣れておいた方が良いかもよ」
「さあ、どうかな」
再びゲームが始まった。レンとクーガは惜しみなくチップを賭けた。しかしゲーム慣れしていないレンには、ビギナーズラックも存在しないらしく、第二ゲームも彼女の敗北に終わった。
「さあてね。今度は靴下を脱ぐんだろう。でも獲得数は9枚だからね。いよいよ誤魔化しきれなくなった」
「うう~くそ」
レンは靴下を両方とも脱ぐと、今度は服の肩を抜いて、ゴソゴソと何かを始めた。
「何してるんだ。早くしろ」
「もう脱いだよ。ほら、プレゼントだ。エロ男子ども」
レンは服を脱がずに、緑色のブラを外すと、それを天井に向かって放り投げた。同時に男子達の群れがそれ目掛けて突っ込んで行った。
「ほほう、器用な真似をするね」
「褒められたものじゃないけどね」
「さて、第3ゲームをしようか」
「ああ、それなんだけど、ちょっと待って」
レンはチップの中心を指で突きながら、クーガの顔を真剣な眼差しで見つめた。
「何だい?」
「はっきり言って、このまま続けても時間の無駄。もう少しで授業が始まるからね」
「まさかドロップかい?」
「いや、違うね。次のゲームで終わるようにするんだ。チップを大量に賭けよう。もう破産するぐらいに」
「ふん、今までの負けを一回で取り戻そうとするズルい考えか。しかし君の言うことは正しい。もうすぐ休み時間が終わる」
クーガは残念そうに言うと、鋭い眼光でレンをじっと見つめながら、こう提案してきた。
「僕の今まで勝って来た分が台無しになるのは嫌だからね、君が負けた時は、素っ裸になるのともう一つ、もし負けたら、素っ裸のまま午後の授業を受けてもらいたいのさ」
「な、何だって・・・・?」
「聞こえなかったかい?」
「いや、聞こえた。だがな、覚悟しなよ。オレは負けないから」
「ふん、上等だよ」