表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生サーガ~異世界勇者録~  作者: よっちゃん
第4章 レン編
176/243

ミーシャ先輩は気が短い

 レン達は、あと一歩というところでウィリアムを逃してしまった。彼は今後、さらに警戒を強めて慎重になり、平穏なグリーンマイルの中で、さらに能力者を量産していくのだろう。そして少しずつ、平和ボケした人間達に罰を与えるかのように、無垢な人々の心を恐怖で蝕んで行くのだろう。


 話は変わって、いくら敵が身近にいるといっても、学生である以上、毎日学校に通わなくてはならない。レン達からすれば退屈な学校生活であったが、今日だけは違っていた。


「よし、全員集まったな。これから課外授業を始める。今から3時間の間に、岩場にいるザリガニとか魚をカゴに入れて捕まえるんだ。一番多く捕まえたクラスが優勝だからな。じゃあ行くぞ。よーいスタート」

 仁の掛け声とともに、生徒達が海岸の岩場に向かって、一斉に走り出した。今日は課外授業ということで、エンシャント学園中等部の面々は、町外れにあるダイヤモンド海岸に来ていた。今日は一日、2年生と3年生合同で、自然を尊びながらの自然観察会を行う予定である。レンとフローラ、そしてマックスは同じ班なので、協力して岩場の魚を捕まえようと必死だった。


「おい、フローラ、カゴ持てよ。俺が捕まえるから」

 マックスは膝を捲って水の中に入ると、水の中を泳いでいるナマズを両手で捕まえようと、手を伸ばしていた。


「なあ、マックス。聞きたいことがあるんだけど・・・・」

 マックスの背後でレンが、日差しに眼を細めながら言った。

「何だ?」

「お前、超能力者何だってな」

「ああ、だが今は関係無いだろ」

「いや、関係あるよ」


 レンはマックスの手を掴んで、じっと見つめた。照れているのか、彼の顔は赤くなっていたが、レンはそんなことを気にしない。


「能力は?」

「ビートダウン。熱とか炎を操る能力だ。火の玉を掌から飛ばしたりできる。だが、別にどうでも良いだろ。俺は生まれつきこんな力を持っちまって後悔してるんだ」

「別にお前のことをとやかく言うつもりはないけどさ、仁さんから聞いたかも知れないけど、ウィリアムって男がこの町に潜伏している。きっと、俺達を倒そうと、色んな能力者を送り込んで来ると思う」


 レンはヒソヒソと音量を小さくしながら言った。


「何だよ。怖いのか?」

「違う。今ここに、ウィリアムの送り込んだ刺客がいるような気がするんだ。言葉じゃ上手く言えないけど、今までの経験ってやつかな?」

「ふん、安心しなって。俺が守ってやるからさ」

 マックスは笑いながらレンの方を優しく叩いた。


「あら、あなた達、全然魚が捕れていないじゃない?」

 話し込んでいるマックスとレンの隣から、スッと黒い漆黒のような髪を腰まで垂らした、透き通るような白い肌をした女子生徒が現れて、二人にニコッと微笑んだ。


「ミーシャ先輩」

 マックスは急に借りて来た猫のように、姿勢をピンと真っ直ぐに正した。隣にいるレンはそれを眠そうに見守っている。

「あら、あなたは見兼ねない顔ね」

「あ、オレ、じゃない。私は先月からこちらに転入したレンと言います」

「そうなの。お人形さんみたいで可愛いわね。ちょっと失礼」


 ミーシャはレンの頬を両手で優しく挟むと、突然、彼女の唇に自分の唇を押し付けてキスをした。


「んん・・・・?」

「んん・・・・ちゅ」

 ミーシャがレンの首に手を回して、がっちりと固定した。近くで見ていたマックスやフローラは思わず石像のように固まってしまった。無論、関係無い周りの生徒も大体同じような反応をしていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ