表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生サーガ~異世界勇者録~  作者: よっちゃん
第4章 レン編
171/243

鬼ごっこしようよ。その2

ガキはレンから素早く離れると、滑り台の方に逃げて行った。レンは慌ててその後を追う。


(あのガキ、本当に能力者なのか?)

レンが滑り台に到達した頃には、ガキはかなり離れた位置にまで逃げ延びていた。

「速い」


ガキは壁際に追い詰めようとしても捕まらず、そもそも、彼の周囲1メートル以内に入ることすらできなかった。


「はあ、はあ」

「辛そうですね。休んだらどうですか?」

「どう見ても、ガキの脚力じゃない。どんなイカサマを使ったんだ?」


レンの一言に、ガキの表情が固くなった。緊張ではなく、どうやら怒っているようだった。


「いい加減にしてくださいよ。マジでムカつくな。自分がイカサマするような人間だからって、それを他人もしてると考える。寂しい人ですね。僕はこれでも勝負師だ。能力についても全て話したし、使うのは、ここの遊具と己の肉体だけだ」


ガキはそう言うと、わざと砂を蹴り上げて、レンから距離を取った。


「あのガキ、自分の能力に誇りを持っているタイプか」

「はっきり言いますよ。あなたじゃ僕には追い付けない。鬼ごっこは子供の遊びじゃない。精神と肉体、そして知力のぶつかり合いなんです。全てが上回った者が勝つ」


 ガキは滑り台の上からズボンとパンツを脱いで、尻を突き出すと、それを手で叩いて挑発して来た。

「ここまでおいで~」

「偉そうなこと言ったくせに、やっぱりただの子供じゃないか」

 レンは溜息を吐くと、付き合ってられないとばかりに、公園の出口へと歩いて行った。背後でガキが何かを喚いていたが、全て無視した。

「悪いけど。帰らせてもらうから」


 レンは公園の出口、つまりレンガ造りの歩道に右足を出したが、何故か右足はレンガの道路を踏むことはなく、消しゴムで消したかのように、その部分だけ消えてしまった。


「うわあああ」

 驚いたレンは、思わず右足を引込めた。すると、消えていた部分が元に戻り、傷一つ付いていなかった。


「言ったでしょ。僕の能力にあなたは閉じ込められているんですよ。早く捕まえないと、マジで死にますよ」

「どうなってるんだ・・・・」

 レンはガキの方を振り返った。ガキはレンから2メートルほどの位置にまで近づいて来ていた。

「お前、背が高くなってないか?」


 ガキの身長はレンよりも低かったはずだが、いつの間にか、レンよりも高くなっているように見えた。

「僕の能力はさっき説明した通りです。背が高く見えるというのは錯覚ですよ。あなたが僕を恐れているから、僕のことが大きく見えているんじゃないですか。あなたの精神よりも僕の精神の方が上だということですかね」

「いい気になるなこの・・・・」

「じゃあ、来れば良いじゃないですか。最も、あなたのことだから、僕を油断させようとするでしょうけど」


 レンは足元の砂をガキの眼に向かって蹴り上げると、そのまま両手でガキに向かって突っ込んで行った。


「痛、やっぱりね。砂で視界を塞いでから来る。あなたらしい作戦です」

「けっ、何か嫌になって来たな。このゲームを続ければ続けるほど、自分が情けない人間であることを認めるみたいで、凄くつまらない。やーめた」

 レンはそう言うと、ガキを追いかけるのを止めて、滑り台の下の影の中に入り、砂の上に肘を突いて、ゴロリと横になった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ