風邪引きレン
ヒョウとの闘いで、上半身裸で走り回った上、ヒョウの氷のせいで体を冷やしたレンは、熱を出して寝込んでいた。今、彼女はコロンコロンの二階。つまり、エスティーの部屋を借りていた。
高熱に苦しむレンの部屋に、二人の来訪者が現れた。マックスとフローラである。
「レンちゃん大丈夫?」
「辛そうだな」
レンは見舞いに来た二人に手を振るのがやっとだった。頬は紅潮し、息も荒かった。そんな彼女を見て、マックスはフローラに言った。
「弱ってる女ってエロいよな」
あまりにも不謹慎な発言に、フローラの蹴りがマックスの脛に当たった。
「痛ぇぇぇぇ」
「こら、静かに」
「テメーが蹴るからだろ」
「はあ、体が熱いよおお」
レンは天井を見つめながら、譫言をブツブツと繰り返していた。
「そうだ。私がね。美味しいお粥作るから。マックス。レンちゃんの体を、濡れタオルで拭いたあげて。きっとスッキリするから」
「おい。男にやらせることじゃないだろ。お前が拭け」
二人の争いなど、どうでも良さそうに、レンは起き上がると、パジャマのボタンを自ら外した。
「マジで頼む。体が汗ばんでて気持ち悪いんだ」
「早くしたあげて」
「分かったよ。後で文句言うなよ」
マックスはやけくそ気味に言うと、タオルを水で濡らして、部屋に戻って来た。同時に、お粥を作りに、フローラは階段を降りて行った。
「本当に良いのか?」
「早くしてくれ。お前に汗で体がベチャベチャになる辛さは分からないのか?」
「分かったよ」
マックスはレンのパジャマを脱がせると、彼女の肌から匂う汗の臭いと、女性の甘い匂いのコントラストに目眩を覚えた。馴れない官能に、思わず唾を呑んだ。
「じゃあ、背中から」
レンの胸を見ないように、彼女に背中を向けさせると、タオルを優しく彼女の素肌にあてがった。
「ああん、冷たくてイイ」
鼻に掛かったエロティックな声で、レンは鳴いた。マックスはタオルを彼女の、背骨辺りまでスライドさせた。
「いきなり、そんな。ああ」
「こ、今度は前も拭かないと」
マックスはレンを、自分の正面に座らせると、発育途中の、芯を持ち上を向いた桜色の乳首に、タオルの先端を付けた。
「んん・・・・」
レンの体がビクッと震えた。同時にマックスの生唾を呑み込む音が、室内に響き渡った。
「おいおい、やばいぜこれ。これ以上続けたら・・・・」
マックスは無意識にタオルをレンから離した。すると、レンの潤んだ瞳が、マックスの顔を切なげに見上げた。
「ねえ、もっとちょうだいよお」
「や、止めろ。お前、俺を社会的に抹殺する気か?」
犯罪一歩手前のギリギリな状況の中、エスティーが二人分の紅茶を持って、二階に上がって来た。
「二人とも、今日はお見舞いありが・・・・」
言い掛けたところで、エスティーは、紅茶の入ったカップを床に落として割ってしまった。あまりにも衝撃的な映像が、目の前にあったからである。こともあろうに、マックスは見舞いに来たふりをして、レンに悪戯をしようとしている。そう解釈した彼女が、箒片手にマックスに襲い掛かるまで、1分と必要無かった。
「よくも、よくも私のレンちゃんの純潔を・・・・」
「いや、待ってくれ。俺は何も・・・・」
マックスの言い訳も聞かず、彼のこめかみを箒の先が横切った。咄嗟に立ち上がった彼は、半開きのドアに突っ込むと、そのままエスティーに捕まり、こっぴどく叱られた。丁度同じ頃、フローラはお粥を作っていた。