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転生サーガ~異世界勇者録~  作者: よっちゃん
第4章 レン編
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プリンスの反撃

レンは剣を握り締めて、ヒョウに向かって斬り掛かった。


「当たるかよ」

ヒョウは眼前の空気を凍らせて壁を作ると、剣は氷に弾かれて欠けてしまった。

「くっそ」


ヒョウは氷の壁を殴った。すると、壁が粉々に砕け、氷の破片が、レンの右肩に当たり、その肉を軽く削り取った。


「痛、くうう」

レンは背後の階段に足を掛けると、そのまま、ヒョウの方を向いたまま、階段を一段だけ上った。上の階にはエスティーがいる。なるべく一階で決着を着けたかったが。背に腹は代えられない。


「おい、まさか逃げるじゃないよな。自分が助かりたいからってよ。関係無い人を巻き込んじゃダメだぜ」

「はあ。エスティーさんには申し訳ないけど、どうせお前は追って来れない」


レンは階段を一気に駆け上がると、階段の途中に外壁を作ってバリケードとした。

(階段を一段、プリンスで外壁に作り変えた。これで追って来れないはず


レンは作った壁を背に一息付いた。正面には半開きのドアがある。エスティーはきっとその中にいるのだろう。


レンはふと、壁に耳を側立ててみると、反対側から壁を殴る音が聞こえて来た。


「勘弁してよ」

レンは無意識に壁から飛び退くと、半開きのドアの中に入り、気休めにドアをノックした。

入った先は脱衣場で、エスティーの着ていた衣服やエプロンが畳まれていた。その奥には、エスティーと思わしき、線の細い体のシルエットが、ガラスの扉に映っていた。


最悪とはこういう時に使う言葉なのだろう。レンは、そっとエスティーの服を持ち上げると、それを自分の鼻に押し当てた。特に意味は無い。己の本能に従っただけの話である。


「レンちゃん。そこにいるの?」

風呂場からエスティーの声が聞こえて来る。レンはエスティーの服を元の場所に畳んで戻すと、裏返った声で返事をした。

「はい」

「汗掻いてるでしょ。入って良いわよ」

「は、入るって、エスティーさんが…」

「何よ。照れてるのかしら。女同士で」


エスティーの言葉にレンは我に帰った。そうだ。今は女なのだから、一緒に風呂に入ることは普通なのだ。レンの脳内に如何わしい妄想が浮かんだ。


レンがもたついていると、ドアの奥から何かが砕ける音が聞こえて来た。


「きゃ、な、何?」

驚き慌てるエスティー。

「エスティーさん。中にいて」

レンは脱衣場から出ると、壁を壊して入って来たヒョウと、向かい合った。


「アイススマッシャーで凍らせたら、簡単に壊れたぜ」

「にしては、遅かったね」

レンはニヤリと笑うと、急にヒョウの前で上着を脱いで、さらに服まで脱ぎ出した。


「テ、テメー何してんだ?」

「風呂に入るんだよ。服来て風呂に入る間抜けはいないだろ?」

レンは自分の服を掴んで、それを別の風呂敷に作り変えた。


「ほら、プレゼントだ」

レンは布をヒョウの顔に被せて、彼を階段から突き落とした。

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