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転生サーガ~異世界勇者録~  作者: よっちゃん
第4章 レン編
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アイアンメイデンの洗礼

人形になったレンを掴んで、ビールスはニヤニヤと笑っていた。それを正面にいるフローラが対峙する形で睨み付けている。休み時間が終わり、朝のホームルームが始まった。生徒達は、二人を除いて、全員教室の中にいた。


「可愛いだろ。この人形。さっきまで偉そうにしてたくせに、こんなに綺麗だなんて、反則だろ」

ビールスはレンの頬を舌で舐めた。そして、舌先を器用に動かして、彼女の唇をなぞっていた。人形となったレンは、無表情のまま、テラテラと唾液で光っている。


「最低」

フローラは吐き捨てるように言った。それがビールスの策略とも知らずに。


「俺を気持ち悪いと思ったろ。それで良い。そして、俺の素顔を見せてやろう」

ビールスは眼鏡を外して、クシで髪を整えた。何と彼はイケメンだった。


「俺の能力、ドールは、相手に気持ち悪いとか、不快とかいう感情を抱かせれば勝ちなんだ。あんたが俺を嫌いになってくれれば、ドールは発動する」


フローラの背後には黒い人影が出現している。そして、大きく口を開けて、彼女の頭に被り付こうとした。


「不思議な力だね。でも、私もそれと似た力があるんだ」

フローラは心の中で、アイアンメイデンを呼んだ。同時に緑色の水晶のような物体が、ビールスの頭上に現れた。

「遅いぜ」


フローラの体がドールの中に呑み込まれた。同時にアイアンメイデンが、ビールスの後頭部目掛けて、機関銃の如く、弾丸を連続で発射した。


「うぎゃあああ」

ビールスの体が大きく吹き飛んだ。そして、血塗れになりながら、廊下の上を這っていた。


「ああ、クソ。保健室に行かねえと。血が止まらねえ。人形を楽しむのは後だ」

ビールスは保健室に辿り着くと、のあ入り口の扉を手で叩こうとした。しかし、その寸前で、突然背後から現れた仁に、服の襟を掴まれた。


「ひ、ひい」

「おい、昼休みは終わったぜ。速く教室に戻りな」

「せ、先生。良く見てください。階段から落ちて怪我しちまってる。保健室で手当てしないと

「おお、本当だな。辛そうだから開けてやるよ」


仁は保健室の扉を開けてやると、そのまま階段を上ろうとした。


「た、助かったぜ」

「待ちな」

階段を上ったはずの仁が戻って来て、ビールスの真ん前に立ちはだかった。

「まだ、何か?」

「階段から落ちたと言っていたが、どう見てもその傷、何かに撃たれたとしか思えないんだよな。穴だらけだしよ」


ビールスは思わず唾を呑んだ。仁の眼がビールスへの疑いの念で、どんどん鋭くなっていた。


「そ、そうだ撃たれたんだ」

「ほう、あれにか?」

仁は天井の周りを旋回している、緑色の衛星を指して言った。


「そ、そうだ。アレにやられたんです」

ビールスの発言に、仁の表情が一気に固くなった。

「そうかい。じゃあテメーは黒だな。アレはフローラの放った能力で、超能力者以外には見えないんだ。テメー言ったよな?」

「ひ、ひい」

ビールスの顔面に仁の強烈な蹴りが入った。

「ぷぎゃああああ」

ビールスは勢い良く吹き飛ぶと、窓ガラスに顔をぶつけていた。

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