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転生サーガ~異世界勇者録~  作者: よっちゃん
第4章 レン編
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レンの受難

 レンは仁を見失うと、仕方なく、彼の言っていたコロンコロンというカフェーを訪れた。店内は小洒落たコーヒーショップのようで、カウンターがあり、丸い木のテーブルがいくつも備えてあった。


「いらっしゃい」

 カウンターには茶色のスカートに茶色のエプロンをした、ショートヘヤーの女性がいた。その女性はレンの方を振り向くと、ニコッと愛想の良い笑みを浮かべていた。

(うわ・・・・美人だ)

 彼女はレンのストライクゾーンを完全に打ち抜いていた。所謂、優しくリードしてくれるお姉さんタイプの女性だった。


「あ、あの、オレ、いや、私、仁って人から言われて・・・・」

 緊張して言葉が上手く出て来ない。すると女性はカウンターから出て来て、再び優しげな笑みをレンに向けた。


「話は聞いているわ。私の名はエスティー、よろしくね」

「あ、どうも・・・・」

 レンはペコリと可愛らしく頭を下げた。すると突然、エスティーがレンを両手でギュッと抱きしめて来た。

「ええ、ああ?」

 自体が呑み込めず戸惑うレン。

「あら、ごめんなさいね。私ってあなたみたいな可愛い女の子が大好きなの。勘違いしないでね。変な意味じゃなくって、私、一人っ子で妹が欲しかったのよ。それでつい、あなたが妹だったらって、想像しちゃって。そしたら嬉しくてね」


 レンは抱き付かれた時に感じた、柔らかな胸の感覚を生涯忘れないことだろう。


「さあてね、早速だけど、この雑巾でテーブルを拭いてもらおうかしら」

「ああ、はい。任せてください」

 レンは雑巾を受け取った。同時にコロンコロンの中に客がやって来た。

「あら、いらっしゃ・・・・」

 言い掛けたところで、エスティーの顔が強張った。そこには、とても客とは思えないような大柄の、顔に何本もの金属のボルトを刺した醜男がいた。


「客じゃねえよ。俺はなぁ」

 大男は突然、右手を振り上げた。

「エスティーさん危ない」

 大男の平手がエスティーの頬を思いきり打った。

「あう・・・・」

 エスティーは衝撃で吹き飛ぶと、カウンターの中に逆さまに落ちて、そのまま床の上に仰向けに気絶してしまった。打たれた右の頬が赤く腫れている。


「き、貴様・・・・」

「ああ、何だよ。何見てんだよ。このメスガキが。畜生、この店の中はよお、メス臭いんだよな」

「メス・・・・?」

「ああ・・・・メスだよ」


 レンの顔が怒りで引き攣っていた。男はそれに気付かずに、鼻をほじりながら欠伸をしていた。


「寝てろ」

「ごふ」

 突然、男の体が店の扉に激突した。見ると、レンが思い切り男の顔を右足で蹴り上げていたのである。レンはそのままコーヒーグラスを手で掴むと、それを剣の形に変化させた。


「ムカつくぜ。クソが。せっかくエスティーさんと知り合いになれたってのに、お前みたいな蛆虫のせいで台無しだ」

「げほ、げほ。て、テメーも持っていたのか。キラキラをよお」

「ああ、キラキラだと・・・・?」

「そうさ。俺も持っているぜ」


 突然、男が両手を広げた。すると店の天井のシャンデリアが突然割れて、ガラスの破片をレンの頭上に落ちて来た。


「ちっ」

 レンはそれを避けると、剣先を男に向けた。

「仁さんが言っていた超能力って奴か。俺の親父も持っていたらしいしな」

「名乗っておいてやるぜ。俺の名はゲスラー。能力名はブルーインパクトと呼んでいる。念じるだけで、近くにある物質を破壊できるんだ。生き物は無理だけどな」

「そうかい。じゃあ俺も名乗っておこうかな。俺の名はレン。能力名はプリンス(今名付けた)という。良く分からないが、触れた物を別の物に作り替えられるみたいだ」


 レンは剣を構えると、そのままゲスラーに向かって斬り掛かった。すると、ゲスラーはニヤリと口元を歪めて笑った。


「ブルーインパクト」

 突然、レンの隣のカウンターに置かれていたグラスが一つ割れた。そしてその破片が、レンの頬を切った。

「ああ・・・・」

 レンはバランスを崩すと、かろうじて床に足を付けた。

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