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転生サーガ~異世界勇者録~  作者: よっちゃん
第3章・ジン編
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エピローグ~新たなる出会い~

 ギース亡き後、世界は束の間の平和を享受していた。現在、ギースとの闘いからガイア基準で、数えるに9年が経過していた。仁は大学を卒業し、中学校教師になっていた。彼はガイアでの一般人としての生活を送りつつも、裏では天界と協力して、「機関」という組織を立ち上げていた。機関とは、ギースが超能力と呼んでいた力を研究する組織である。ギース以上の邪悪で強力な超能力者が現れることを未然に防ぐ。それが主な目的だった。


 ある日、機関の研究員達が、ある恐るべき事実を発見した。それは、ギースに子供がいるというバッドニュースだった。ギースとガイアの日本人女性との間に子供がいたのだ。子供は男性で、現在は中学2年生の14歳。名前は田中蓮。旧姓を蓮・ブラッドという。現在は日本の公立中学校に通っているという。

 仁はギースの子供を見るために、田中連の住んでいる神奈川県の某所へと向かった。そして調べて行くうちに、さらなる驚愕の事実を知ることとなった。


 ギースは、仁達と闘う一か月前に、ガイアに訪れていたのだ。それは彼が子供の存在に感づいていたことになる。彼がガイアにいた時間は約10400秒。何故、彼はガイアにやって来たのだろうか。自分との血の繋がりを持った存在を排除しようとしたのか。いや、それは違う。何故なら、ギースは非常に几帳面な性格をしており、一度立てた計画は必ず実行するタチだからだ。つまり、彼は子供を始末しにガイアを訪れたのではない。ならば、他に考えられる説が一つだけある。


 純粋な好奇心。これが仁達の到達した答えだった。ギースは自分の子供に純粋に興味を持ち、一目見たいと思い、ガイアを訪れたのである。そして、途中で興を削がれたのか、疲れたのかは分からないが、子供に会うことなく、レッキングヒルズに帰っている。ギースは子供を見たいと思いガイアに来た。ただ、それだけの話だった。


「気味悪いぜ・・・・」

 仁は電車から降りると、天界から受け取った地図を頼りに、田中連の住む家を探していた。

 ギースにも父親のような側面があったのではと、考えると吐き気すら覚える。彼は息子に会ってどうするつもりだったのか。始末しないのであれば、連れて帰って育てるつもりだったのか。とんだブラックジョークだと、仁は苦笑した。彼亡き今、それを突き詰めることは不可能に近いが、少なくとも、確実に言えることとして、ギースは蓮の存在を知っていた。ギースは蓮を殺すつもりはなかった。この二点である。


「もし、ギースの血を引いた奴が、悪党であったら」

 天界からの命令は実に簡単だった。それは田中連を秘密裏に始末しろ。これだけだった。しかし仁にそのつもりは無かった。彼が悪党であれば別だが、田中連は父親こそ悪いが、彼自体は今まで問題も起こさずに、今日まで平穏に暮らしていたのだ。いくら、神だろうと何だろうと、真面目に暮らしている人の命を脅かす権利は無いはずだ。だからこそ仁は、田中連に会いたかった。


 新たなる出会いが訪れようとしていた。

 

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