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転生サーガ~異世界勇者録~  作者: よっちゃん
第3章・ジン編
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決戦。ギースと仁その7

ギースと仁はビルの屋上で対峙していた。互いに瞳を尖らせて、互いの顔をじっと見つめ合っている。永遠とも呼べる静寂の中、先に口を開いたのはギースだった。


「すでに、レベッカとルミナスは始末したぞ。次は貴様だな」

「能天気な野郎は羨ましいぜ。悪いが、二人は無事だ。ジャンヌが手当てしているからな。もうすぐ動けるようになるはずだ」

「何を言っているのだ?」

「耳クソが詰まってて聞こえねーなら謝るがよ。俺の仲間は無事だ」


仁は右手に力を込めると、一歩ギースの方に踏み込んだ。


「殴るのか。殴れるのか。この私を

「やってみなきゃ分からないぜ」

仁はギースの顔目掛けて、右ストレートを放った。


「ぐ…」

仁の拳はギースの顔前で弾かれて、彼の体ごと後ろに大きく吹き飛んだ。フェンスを乗り越え、空中に体を投げ出し、そのまま、地面に向かって落下していった。


「アーツ」

仁は両足を強化して、地面に着地した。本来ならば骨折どころでは済まない話だが、能力のおかげで、かすり傷すら負わずに着地できた。


「野郎、攻撃が全て自分に返っちまう」

「ジン」

仁の元に、ジャンヌの回復魔法により治癒した、レベッカが現れた。彼女は額に汗の粒を浮かび上がらせ、何かを焦っているようだった。


「ギースの体全体ではなく、彼の輪郭を見るのです。物の寿命、生命の終わりが見えるはず」

「おい、いきなり現れてなんだ。急にポエムみたいだな」

「落ち着いて聞いてください。物の見方を変えることで、新しい何かが見えてくるはずです。物体の寿命を形として見る。殺界という技術です」


ギースはビルの屋上から飛び降りると、空中に浮いたまま、両手を大きく広げた。


「少し遊ぶか」

ギースの体の周りに透明な膜が出現した。

「バリアーだ」

膜は周りのビルなどを巻き込んで、徐々に大きさを増して行った。


「おい、伏せろ」

仁とレベッカは咄嗟に伏せると、ギースの纏っている透明な膜が一気に拡がり、建物を薙ぎ倒し、周りの物を吹き飛ばしてしまった。それはまるでハリケーンのようにも見えた。


「無事か、レベッカ」

「ええ」

二人は瓦礫を体から振り落とすと、周りの様子を見て、思わず目を丸くした。


建物はほとんどが倒壊し、ギースの立っている場所を中心に、大きなクレーターのような穴ができていた。ギースはそこから出ると、仁とレベッカの前で着地した。


「少しやり過ぎたな」

「おい、レベッカ。物の輪郭を見るんだな」

「はい」

「よし」


仁はギースに向かって走ると、木刀を取り出して、それをギースの頭部に振り下ろした。

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