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転生サーガ~異世界勇者録~  作者: よっちゃん
第3章・ジン編
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決戦。ギースと仁その6

「やりましたわ」

 レベッカの一撃はギースの額を完全に捉えていた。ギースは背後に仰向けに倒れると、体を震わせながら、ユラユラと立ち上がった。まるでノックアウト寸前のプロボクサーのような姿だった。


「貴様、馬鹿な・・・・」

 銃弾が当たったという事実がよほどのショックだったらしい。ギースはビルの壁に手を突くと、肩で息をしていた。

「ああ。何故だ。全ての害悪は私の元から弾かれるはずなのに、何故なんだ・・・・」

「どんな生命体にも限界と終わりはある。その終わりを物理的に破壊するのが殺界。お父様ありがとう」

「敗北感を感じているぞ。無敵のジャッジメントに綻びがあるなんて。しかし、運が良かった。あの時、私は一瞬、貴様の気迫にほんの少しだけ圧倒されていた。その際に、無意識に腰を引いていたのだ。そのおかげで、額にめり込んだ銃弾は、脳に到達することなく、寸前で止まってくれたのだ。しかし、これは完全な運だ。精神的には貴様が勝っていた」


 ギースは額の弾丸を引き抜くと、それを空中に固定した。

「そしてさらばだ。最早躊躇はしない。自分の弾丸で死ぬが良い」

 ギースは弾丸を指で弾き飛ばした。同時に、弾丸がレベッカの元に真っ直ぐと飛んで行き、彼女の心臓を貫いた。

「ああ・・・・」

 レベッカの体がフワッと宙に浮いた。そして静かにコンクリートの床に仰向けに倒れた。そして静かに眼を閉じて、体の力を抜いた。


(殺界・・・・。この男を倒すこの世で唯一の方法。早く、これをジンに教えなければ。お願いです。もう少しだけわたくしを生きさせてください・・・・)

「はあ・・・・はあ・・・・。くそ、これで二人目だというのに、全く生きた心地がしない。この女の悪あがきのせいか。しかし、これで良い。後はジンを殺し、ジャンヌとかいう天使崩れも斬殺処刑にしてやろう」


 ギースはその場で地面を蹴り上げ跳躍すると、そのままビルの屋上に着地し、そこから街の様子を一望した。


「奴らを殺る前に、この無様な額の穴を塞ぐか」

 ギースは、忍者のようにビルからビルへと飛び移って行くと、その中の一つの窓を突き破り、ビル内の部屋に入って行った。


「きゃああああ」

 ギースが入ったのはバスルームだった。そこには丁度、シャワーを浴びていた若い女性がおり、改造があまりされていないらしく、顔には金属片の類は埋め込まれていなかった。

「おいおい、騒ぐなよ。すぐに済むから」

「ギース様でしたか。御気分は如何ですか?」

「ああ。最高の気分だよ。この額の傷を治すために君の生命エキスを頂きたいのだが、構わんよな?」

「え、それは・・・・」


 女性が言い切らぬうちに、ギースは彼女に覆い被さり、彼女の首に指を突き刺した。

「んん。やはり若い女の養分は良いなあ。傷も治り、ついでに腹も満たされたぞ」

 ギースは窓の外から外に飛び出すと、そのまま空を飛んで、上空から仁の行方を捜していた。

「ククク、何処だジンよ」

 ギースが辺りを見回していると、突然正面から、赤いレンガが一つ飛んで来た。ギースはそれを咄嗟に指で叩き落とした。

「ぬう・・・・」


 ギースの正面のビルに、仁が立っていた。彼はギースを見てニヤリと口元を歪めて笑っていた。


「咄嗟に叩き落としてしまったが、レンガを貴様に跳ね返してやれば良かったよ」

 ギースがそのまま仁の立っているビルの屋上にまで飛び、ゆっくりと彼の前で着地した。

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