秘密は無しにしよう
仁達を乗せたリムジンはレッキングヒルズに到着した。いよいよ旅にも終焉が訪れたのだ。丁度、仁達がガイア世界を旅立ってから、1ヶ月が過ぎていた。最終決戦に挑もうというこの時に、ジャスティスは咳払いをしながら、仁に言った。
「仁、この際だ。互いに気になる部分を全て明らかにしよう。秘密は無しだ」
「隠し事は無しということだな。じゃあ、俺から質問させてもらうがよ。レベッカの銃に弾切れはあるのか?」
「シルバーブレッドの弾丸は、私の魔力その物です、私が力尽きない限りは無限にあります」
「じゃあ、次は僕から質問させてもらうが、ルミナス君、君は本当に男性なのかい?」
ジャスティスの指摘に、ルミナスは一瞬戸惑っていたが、すぐに真剣な表情で切り返した。
「それって僕に失礼じゃない?」
最後に妙な空気になったが、仁達は互いに抱いていた疑問をスッキリさせ、リムジンから降りた。
「ひでぇ場所だな」
仁はレッキングヒルズについての率直な感想を述べた。空気は汚れていて、深呼吸なんてしたら、病気になりそうだった。さらに、ビルが建ち並んでいると思えば、ビルの間には、神社やら、カジノ、ゲームセンター、映画館、教会なとが、何の法則性も纏まりも見せず、乱雑に並んでいる。混沌と表すのが相応しい街だった。
「みんな見てください。あの黒いビルを。あそこから禍々しい力を感じます」
「ギースの野郎はそこから俺達を観察してるわけだな。悪趣味極まりねえぜ」
「ピピ、前方より敵発見」
リンは突然、両目を光らせて言った。
リンの言葉と同時に、仁のすぐ隣にあった酒場の扉が開いた。そして、まるで掃除機のように、強い引力のようなものが、仁とルミナス、そしてレベッカを吸い込んだ。
「なんだ。こいつは」
「体が言うことを聞きません」
三人は酒場の中に突っ込んで行くと、そのまま酒場の扉が閉まった。まるで建物自体が意思を持っているかのようにも見えた。
「しまった。仁達と分断されてしまった」
「ジャスティス。ここは私達で行くしかないようです。万が一、三人が今ので再起不能に陥った場合、私達しかいません」
「そうだな。先を急ごう」