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転生サーガ~異世界勇者録~  作者: よっちゃん
第3章・ジン編
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雪原の決闘

 ジャスティスとディズィーは向かい合った。ディズィーの持っている刀は紅色に怪しく光っている。彼はその刃を舌で舐めると、刃先をジャスティスに向けた。


「こいつは、ムラサメという刀鍛冶の男が、高名な魔道士と組んで生み出したという呪われしアーティファクトだ。その名もアメノムラクモ。人を斬れば斬るほど、切れ味が増すように造られている」

「説明ご苦労様。しかし僕には勝てないよ」

 ジャスティスは拳を構えた。そしてゆっくりとディズィーににじり寄って行った。刀を持っている分だけ、リーチでは負けている。狙うならば短期決戦しかなかった。


「僕の能力はインパクト。殴ったものの中に衝撃を与え、内側から破壊する」

「じゃあ、無意味だな。俺の刀を掴むことはできない」

 ディズィーは刀で空を斬った。その瞬間、ジャスティスの鳩尾から鎖骨に掛けてパックリと皮膚が裂けた。

「がは・・・・」

 ジャスティスは思わずその場で蹲ると、斬られた箇所にそっと手を触れた。見ると、真っ赤な鮮血が指に付着しており、傷口から血が止まる様子は無かった。不可解なことに、ジャスティス自体は直接斬られていない。ディズィーは刀を振ったが、刃がジャスティスの体に触れるには、後、2メートルは必要だった。


「驚いたな。くくく、斬撃を飛ばしたのさ。最もお前には見えないだろうがな。刃が直接触れなくたって、お前を真っ二つにできるんだぜ」

「な・・・・げほ・・・・」

 ジャスティスは立ち上がると、傷口を右手で押さえながら一歩後ろに下がった。

「どうしたんだ。逃げるのか?」

「逃げるだと。まさか・・・・」

 ジャスティスはニヤリと不敵な笑みを浮かべると、突然、ディズィーに背を向けて反対方向に走り出した。


「やっぱり、逃げる気じゃねえか」

 ディズィーは呆れたように言うと、そのままジャスティスの後を追い掛けた。

(厄介な敵だな。僕の能力の苦手とする遠距離タイプだったとは。しかし勝機はあるぞ。あの場所まで誘導できれば)

 ジャスティスには秘策があった。彼は断じて逃げているわけではないのだ。ディズィーはそれに気付かずに、彼を追い掛けていた。

「おい、どこまで逃げる気だ?」

「広い場所の方が闘いやすいだろ」


 ジャスティスは村外れの凍った池の上まで逃げると、突然、ディズィーの方を振り返った。

「ようやく諦めたか」

「僕の勝ちだな。ここに来たらもう・・・・」

 ジャスティスは腰を落とすと、足元の氷に向かって拳を叩き付けた。

「インパクト。氷に衝撃を与えた。見ろ、お前の足元を」

「何・・・・」


 ジャスティスが叩いた氷から、ディズィーの足元に向かって、ヘビのようなヒビができていた。それはディズィーの足元で止まると、そのまま砕け散ってしまった。ディズィーはそのまま足元から崩れ落ち、冷たい水の中に足先から突っ込んでしまった。

「ぐあああ、貴様・・・・」

「まだ、生きているな。上がって来いよ。僕を馬鹿にした罪は償ってもらうぞ」

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