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Episode8:双葉の気持ち

3時間目の授業の終わりを告げる鐘が鳴る。

言い方を変えるならば昼休みの始まりを告げる鐘がなったとなる。

「佑斗」

海斗が鐘が鳴り終わると同時にやってきた。

「例のもの用意しといたか」

「あぁ」

例のものとは勿論、赤い絵の具の事である。

「よし、じゃあ作戦会議だ」

俺たちは人の少ない所で作戦会議をするため屋上に向かった。

しかし屋上には少し予想していたことだったが桜井さんがいた。

なるべく誰にも聞かれたくないため俺たちは場所を変えることにする。

けど結局いいところは見つからず何故か図書館の隅っこですることになった。

「作戦会議って特にすることあるのか?」

こんな馬鹿なことを言っているのは海斗君である。

説明は大まかにしかしてないのに成功する気でいるようです。

「さっきは大まかにしか説明してないないだろ」

「・・・そういえばそうだったな」

とても先が思いやられます・・・

「じゃあ、さっさと教えろよ」

なんともまぁ、クソ生意気な奴・・・

「分かってる。最初は・・・・」

俺は15分程かけて作戦を説明する。

最初は海斗も面白そうに話を聞いていたが、

途中顔が険しくなった時があった。

「俺の制服汚れちゃうじゃん・・・」

そう言ったのは海斗だ。

「まぁな。でも作戦には犠牲が必要だろ」

「そうなのか?」

「あぁ、必ずといっていいほどにな」

「そうか・・・それなら仕方ないな」

馬鹿は扱いやすい。

「あぁ、だからそこら辺は我慢してくれ」

「OK、じゃあ続きを説明してくれ」

「分かった」

俺たちはこうして作戦会議を終了した。

その後はそれぞれの教室に戻り作戦開始の時間を待った。


「キーンコーンカーンコーン」

午後の最初の授業の始まりを告げる鐘が鳴った。

俺と海斗にとっては作戦開始の合図でもある。

教室に先生が入ってきてHR長が号令をかける。

その後は授業が始まり俺はそこで寝たふりをする。

1分もしない内に足音が俺の席の近くに寄ってくる。

誰かは勿論分かりきっていることだ。

足音が俺の席の隣まで来た時にその人物が声を張りあげる。

「佑斗。また取調室に運ばれたいの?」

俺はその大きな声で目を覚ます。

寝たふりなのでこちらも起きたふりをしているだけだ。

いかにも眠たそうな目をしながら俺は双葉に言う。

「お前のせいで眠いんだ。少しは許せよ」

生意気な言葉にカチンときたのか双葉は

「取調室連行決定!」

と、更に大きな声で言った。もう叫んでいるに近い・・・

俺は慌てたふりをして急いで教室を出る。

そして急いで屋上の方へと向かっていく。

「よし、ここまでは完璧だ」

俺はそう呟きながら屋上までの階段をダッシュした。


屋上についた俺は急いで金網の方へと近付く。

そしてそれをよじ登り反対側に下りる。

勿論、そこの幅は小さいが金網に捕まっていれば落ちる心配は無い。

下りてから履いている靴を脱いで片方を隠し持ち、

もう片方を自分の足元に置く。

そしてその後は反対側に戻り隠れそうな場所を探す。

屋上といっても少しぐらい隠れる場所はあるものだ。

俺は屋上へのドアがあった部分の上にあったタンクの影に隠れた。

5分ほどしてから屋上のドアが開いた。

入ってきたのは言うまでも無く双葉とその他の風紀委員だ。

いつもはここで俺を見つけてる双葉とその他の風紀委員さん達は、

俺が居ないことに相当驚いた顔をしている。

俺ってそんな単純に見えるのでしょうか?

そして、居ない俺を一生懸命探し始めた。

20秒も経たないうちに1人が俺が金網の反対側に残した靴を見つけた。

皆、周りを軽く見渡して俺が見つからないので青ざめた顔になった。

そして1人が金網を越え下のほうを見ると・・・

「うわ〜人が下で血を流してる・・・」

金網の反対側にいる風紀委員の人が大声で叫んだ。

その声を聞き一斉に風紀委員は走って屋上を出て行った。

1人だけ例外がいた。双葉だった。

「佑斗が死んじゃった・・・」

双葉の目から涙が零れ落ちる・・・

「どうしよう・・・私のせいだ・・・私が・・・」

その後は声が出ないようだった。

次第に涙は溢れ俺の心も申し訳なくなってきた。

「さすがにやり過ぎたかな・・・」

俺がそんな事を呟いたときだった」

「佑斗、どうして・・・私・・まだ好きだって言ってもないのに」

俺は耳を疑った。双葉が俺を好き?考えた事もなかった。

俺は聞き間違いだと思うことにした。

しかし、次の言葉を聞いて聞き間違いではないと分かった。

「戻ってきてよ・・・佑斗。私の気持ちをちゃんと聞いてよ」

「まじかよ・・・」

俺は言った瞬間、しまったと思った。

あまりにも驚いて大きい声でそう言ってしまったのだった。

勿論、双葉に聞こえたはずが無い。

そして・・・

30秒も経たずに俺は双葉に見つかってしまった。


その後、俺は双葉にこっぴどく叱られた。

その時の双葉の顔が少し赤かったのは当たり前の事だろう。

結局、俺は捕まり勿論、海斗も捕まった。

そして2人で仲良く取調室に連行されているときだった。

「お〜い」

1人の風紀委員が走ってやってきた。

「何だい?」

西条さんが代表して返事をする。

「校長先生が2人を連れてこいってさ」

校長?何で校長先生が出てくるんだ?

「そうか。分かったよ」

西条さんがそう返事すると風紀委員は戻っていった。

「お前らやってしまったな・・・」

西条さんがそう言った。

「校長先生に呼ばれたら何かあるんですか?」

俺がそう質問すると西条さんはこう答えた。

「非常によくない何かが起こると思うよ」

俺と海斗はただただ落ち込むだけだった。


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