Episode7:校長と海斗
「君は一体何を考えているんだね?」
「・・・・・」
俺は今と校長先生と向かい合って話中です。
ちなみに俺の隣にはあと1人男がいます。
どうして俺達がこうなっているかというと・・・
時間を少しだけ遡って・・・
「眠たい・・・」
2日連続で早起きさせられた俺はかなりの寝不足だった。
いつも通り前の席に座っている山本が話しかけてくる。
「一週間で学校最後の日だぜ。もっとテンション上がらないの?」
今日は金曜日で普段なら俺もいつもよりはテンションが高い。
しかし、今日はそれどころではなかった。
とにかく眠かった・・・
なんとか0校時の授業を終えて朝のHRの時間になった。
だけど今日は職員朝会があるという事になりHRは無くなった。
これで眠る時間が増えると思っていたときだった。
「よぉ、佑斗」
どこかで聞いたことのあるような声がする。
俺がその方向を振り向くと懐かしい顔があった。
「あれ・・・お前、海斗じゃん」
「久しぶりだな」
「あぁ、っていうかお前この学校だったの?」
「あぁ、来たのは今日が初めてだけどな」
海斗は中学3年の途中まで学校が一緒だった。
一学期が終わる頃に隣街の学校に転校していった覚えがある。
「何で来てなかったんだ?」
「入学式来る途中に事故にあってさ。そのまま入院」
「へぇ・・・」
馬鹿らしくてなんて言っていいか分からない。
「それよりお前いろいろやらかしてるらしいな」
「そんな事誰から聞いたんだよ」
「だって病院にいても、いろいろ噂は聞いてたしな」
「あぁ、そう」
俺の噂はあんな所まで流れてたのか・・・
「それより双葉とは仲良くやってんのか?」
「別に、相変わらずだけど」
「ふ〜ん」
「どうかしたのか?」
「いや、お前にも言ってなかったけどな・・・」
「あぁ」
「俺ずっと双葉の事好きだったんだ」
何を言い出すかと思えば・・・
「あぁ、それで」
「でもあいつはお前と仲がいいしな」
「仲がいい=恋人ではないぞ」
「あぁ。だから今考えてんだろ」
「あぁ、そう」
なんとなくだんだん返事が適当になってる。
「まぁ、また仲良くやろうぜ」
「分かったよ」
俺と海斗は中学校時代はかなりの悪戯好きだった。
何かやらかしては生徒指導室へ投げ込まれて説教を受けていた。
今の俺がこうなっているのもそれから来ているのかもしれない。
学校の皆からは面倒兄弟と言われていた。
俺たちは当時そんな事を気にしていなかったけど・・・
今考えてみればかなりださい名前のような気がする・・・
「じゃあ俺そろそろ行くな」
海斗がそう言って自分の教室の方へと歩いていこうとする。
普通に返事をするつもりだったがその瞬間ある考えを思いついた。
「海斗」
俺は戻ろうとする海斗を急いで呼び止める。
呼ばれた海斗はこっちを振り向く。
「何だよ?」
「面白い話があるんだけど」
そう聞いた瞬間、海斗の顔が輝いた気がした。
多分、悪戯の話しだと悟ったのだろう。
「何だ?」
「多分終わった後は凄いことになるけどいいか?」
「それぐらいのリスクがなけりゃ楽しくないぜ」
前は罰を受けることを恐がってたのに・・・
成長したんだなと思う。
「決行は昼休みが終わった後の授業だ」
「それで」
「必要な物は赤色の絵の具だ」
「OK、後で美術室からお借りしとくぜ」
「よし。大まかな内容だけど・・・」
俺は3分ほどで説明し海斗は自分の教室に戻っていった。
「これで風紀委員の野郎どもを驚かしてやる」
俺は少し笑みを含めた顔でそう呟いた。