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Episode4:復習プランは宣戦布告

「ピンポーン、ピンポーン」

眠っている俺の耳にそんな音が飛び込んでくる。

重たい体を持ち上げ何の音か確認する。

「ピンポーン、ピンポーン」

どうやらインターホンの音らしい。

首を何度か回して時計を覗き込み時間を確認する。

「まだ、6時半じゃん・・・誰だよ」

愚痴を呟きながら俺は玄関へと向かう。

「ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン」

っていうか連打しすぎだろ。

少し苛立ちながら玄関のドアをあける。

そこにいたのは幼馴染であり俺の敵の風紀委員である双葉だった。

俺は双葉の顔を確認してからドアを閉めようとする。

それに気付いた双葉は脚を間にいれてくる。

「何すんだよ」

「あんたこそ何すんのよ」

「・・・・何かよう?」

俺が先に折れて話を聞こうとする。

そして、普通に話を聞けばいいものを双葉は

「あるから来たんでしょ」

などと期待通りのことを言う。さすが双葉だ。

「だから何?」

朝早く起こされて不機嫌な俺はそれが態度に出てしまう。

「学校行くわよ」

「・・・・・は?」

「学校行くって言ってるんでしょ」

「まだ6時半まわったばかりだぜ」

「あんたが準備したらいいぐらいになるでしょ」

「まぁ・・・多分」

「なら早く準備してよ」

「お前はどうしてるの?」

「はぁ?家に入って待ってるに決まってるでしょ」

「そうですよね・・・ウザイ奴」

最後の部分は聞こえないように言っといてあげた。

双葉を家にいれ俺は洗面所へと向かう。

さっさと顔を洗い乱れた髪の毛をセットする。

それが終わったら、制服に着替える。

着替え終わったら朝食をとることにする。

朝食はいうといつものようにトースト。

俺がトーストにマーガリンを塗っていると双葉が話しかけてきた。

「おばさん達、今何処にいるの?」

「知らない。ペルーとかじゃねぇの」

俺の両親は世界中を二人揃って飛び回っている。

それが仕事なのか俺は昔は気になったが今は気にしていない。

「あんた・・・知らないって」

「いいって別に。どうせ楽しくやってるだろうしさ」

こっちは昨日、漢字一万字書いたというのに・・・

俺がトーストを食べ終わってゆっくりしてるとまたもや双葉。

「佑斗、そろそろ行くわよ」

「早いだろ・・・」

「何言ってんのよ。もう7時10分よ」

俺達の学校は7時半から最初の授業が始まる。

本当に一体何を考えているんだか。

「十分早いだろ・・・」

「うるさい。遅刻するわよ」

「・・・・分かったよ・・・ウザイ奴」

勿論、後ろの部分は聞こえないようにね。


学校について教室に入ると皆が驚いた声をした。

「おい、壬柳がきてるぜぇ」

「壬柳君が遅刻せずに来るなんて雪でも降るのかしら」

「あいつ、また秋月さんを独り占めしやがって」

俺が遅刻せずに来ただけでこんな風になるのか・・・

ってか、また独り占めってなんだよ・・・遅刻と関係ねぇよ


遅刻せずにやってきた私は生まれて初めて0校時を受けるはめに・・・

感想はというと、明日からは絶対に遅刻しよう・・・

こんな朝早くから授業受けれるわけがない・・・

結果俺にとっての0校時は、

0校時=睡魔との闘いの時間になった。

基本的に0校時だけに限らず授業は体育と音楽以外全部だけど・・・

ちなみに今日は体育があるので微妙にテンション上がってる。

でも、0校時の授業と打ち消しあって普通・・・


授業が始まって20分が経過した。

俺の体内時計は1時間を回っていた。

常に襲ってくる睡魔と格闘しながら俺はなんとか起きていた。

本当は寝たいところだが、嫌な予感がする。

次に起きたら多分・・・取調室連行中か取調室にいる気がする。

その後も、なんとか耐えてさらに10分が過ぎた・・・

60分授業なので残り半分・・・

「誰だよ・・・60分授業なんかにした奴・・・」

中学校は50分授業だったため凄いぐらい長く感じる。

たった10分でも俺にとっては信じられないぐらい長いものだった。

耐えて耐えてさらに20分が経過・・・

「あと、10分・・・」

欠伸交じりの声でそう言った。

前の席に座っている山本が話しかけてきた。

「眠たそうだな」

「まぁな。こんなに早く来たの初めてだしな」

「なんでお前この学校来たんだよ?」

「俺は何処でも良かったんだよ。でも双葉がな」

「秋月さんがどうかしたのか?」

「何処でもいいんなら同じ学校行こうって言ってな」

「それで、この学校に来たんだ」

「まぁな・・・」

「良く受かったな。こっち偏差値結構高いぜ」

「双葉にみっちり勉強させられた・・・」

「断る気はなかったのか」

「あったけど・・・あっちの両親が何故か喜んでな」

「喜ぶ?」

「あぁ、俺と双葉が同じ高校に行くことを」

「何で?」

「知らない。だから期待を裏切れなかったというか」

「何で?」

「あいつの両親にはかなりお世話になってるの」

「なら、しょうがねぇよな」

これはこいつの口癖なのだろうか?

「まぁな」

「なぁ、俺思うんだけどさ」

まだ話は続くのかよ・・・

「何だ?」

「秋月さんってお前の事好きなんじゃねぇの?」

「はぁ?」

何を言い出すかと思えば・・・

「だってさ・・・同じ高校に行きたいって言ったんだろ」

「あぁ、それがどうした」

「それが好きだっていう証拠じゃねぇの?」

「多分ない。俺の予想だと両親に丸め込まれただけだ」

「・・・・それもあるかもな」

「いや、多分それしかないと思うけど」

「ふ〜ん、なら、しょうがねぇか」

何が?何がしょうがないの?やっぱりお前の頭?

そんな事を考えつつ俺はまた睡魔との戦いにうつった。

時間を確認すると、残り5分・・・

「よし、もう少し・・・」

そう呟いたとき、俺の頭の中にあるアイディアが浮かんだ。

俺は鞄から紙と筆記用具を取り出してそれにいろいろ書き込んでいく。

「風紀委員野郎どもへの復習プラン」

それがタイトルだ。内容は勿論タイトル通り。

「よし、午前の授業は全部これに当てるか」

俺はどんな事がいいか精一杯考えを巡らせる。

「キンコーン、カンコーン」

授業の終わりを告げる金が鳴り響く。

続きは後にしようと思い席を立つ。

その時、強い風が吹き、教室の中へと入ってきた。

そして俺のタイトルだけを書き込んだ紙を吹き飛ばした。

そしてそれは風に乗って双葉の前に落ちた。

俺は一瞬、青ざめた・・・

すぐに双葉の元へと駆け寄ろうとする。

でも、時既に遅し・・・・

双葉はそれを手に取りなんなのか確認する。

俺は教室から出るために回れ右をする。

そしてそのままドアの方へ向かって歩く。

その後ろから双葉の怒った声が聞こえてくる。

「これは私達への宣戦布告と見たわ」

何か訳の分からん事を言っているがそれを無視して逃げる。

「あぁ・・・何でこんな事になるんだよ」

俺はそう呟きながら走っていった。



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