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Episode32:真夜中のお誘い

「なんで、あんた泊まんのよ?」

おばさんが食器の片づけを始めた頃、双葉が俺にそう言った。

「だっておばさんの頼み断れるわけないじゃん」

「はぁ・・・断りなさいよ」

「しょうがないだろ。俺だって悪いと思ってるよ」

「じゃあ今から帰ったら?」

「無理なこと言うなよ・・・」

「はぁ」

そんな露骨に溜息つくなよ・・・

「まぁ悪かったって」

「本当にそう思ってんの?」

「思ってるよ」

「どうだか・・・」

そう言って双葉はまた溜息をついた。


時間は11時を過ぎ、少しずつ眠くなってくる頃。

俺はおばさんと2人で話に花を咲かせていた。

正しく言うならばおばさんのマシンガントークを聞かされている。

それなりに面白いのだけどさすがに眠い。

だけど、おばさんの話はあと1時間は確実に続きそうだ。

俺は必死に欠伸を噛み殺しおばさんの話を聞いていた。

結局、開放されたのは1時だった・・・


「おやすみなさい、おばさん」

おばさんに挨拶を済ませてから二階へとあがる。

昔はよく入った双葉の部屋を通り過ぎ隣の部屋に入る。

昔からこの家に泊まる時はこの部屋だった。

そのため結構、俺の私物が部屋に置かれたりしている。

今更だが本当に第二の家って感じがしてきた。


部屋に入りベッドの上に倒れこむ。

家のベッドとは違いふかふかでとても気持ちいい。

このままだと3分あれば余裕で眠れるだろう。

俺は毛布をかぶり目を閉じる。

辺りは静かで時計の音だけが妙に煩く聞こえる。

2分ほど経った時、俺は完全に眠りにつこうとした。

しかし、その時だった。

「コンコン」

部屋のドアが叩かれる音がした。

俺は重たい瞼を持ち上げそれよりも重たい体をおこした。

ベッドから出てドアの方へと向かい、ドアを開ける。

そのドアの先には双葉が立っていた。

「どうしたんだよ、双葉。寝てなかったのか?」

「そのつもりだったんだけど。全然眠れなくてさ」

「それで?」

「うん。暇だから何か話そうかなって思って」

「俺・・・眠たいんだけど・・・」

「私は眠たくないわよ」

「いや・・・そうじゃなくて」

「いいじゃない。一日ぐらい寝なくたって死なないわよ」

お前は寝かせるつもりがないのか?

「でも、せめて違う日に・・・」

「佑斗は私の僕でしょ?さっさと言うとおりにする」

「・・・・・・・・・・・」

「文句でもあるの?」

「いや・・・ないよ」

「そう。じゃあ入ってもいいかしら?」

「あぁ。ってかお前の家だろ」

「それもそうね」

そう言いながら双葉は部屋に入ってきた。


「文化祭のことなんだけどさ」

「お前・・・話って文化祭のことなのか?」

「うん」

まじかよ・・・・

何で学校以外で文化祭の話し合いをしなきゃいけないんだよ・・・

「待て、他の話にしよう。面白味がなさすぎる」

「じゃあ何か話題はあるの?」

「いや・・・ないけど」

「じゃあ、いいじゃない」

「待て、やっぱりある。恋の話でいいじゃないか」

「はぁ?」

「お前と西条さんの話をきかせろ。その方がまだいい」

「嫌よ。何であんたなんかに話さないといけないのよ」

「いや・・・だって双葉が話題あるかって聞いたんだろ?」

「常識の範囲内にしてよね」

「恋の話って常識の範囲外なのか?」

「うるさい」

逆ギレかよ・・・

「じゃあ、その話はいいよ。でも、他にないんだよな・・・」

「じゃあ、決まりね。文化祭の話にしましょ」

「待て、お前そこから少し離れろ」

「どうして?」

「どうしてって学校以外で俺はそんな話したくねぇよ。

文化祭楽しみだねぇとかそんな話なら全然いいけどさ、

どうして文化祭をどうするかについて語り合うんだよ?」

「これぐらいしないと凄いのはできないでしょ?」

「俺は別に普通のでいいんだけど」

「私は前から言ってるでしょ。普通のは嫌って」

「・・・・・・・・」

「それにどっちみち、あんたは私の僕なんだから」

「ったく・・・分かったよ」

「初めからそうであったらいいのに・・・」

そう言って双葉は溜息をついた。

溜息をつきたいのは俺のほうだよ・・・


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