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Episode3:漢字の書き取り

昼食を食べ終えた俺は屋上へと向かっていた。

勿論、次の授業をサボる為に。

屋上についていつもの場所で横になる。

今日は天気が良くて日向ぼっこには最適だった。

3分もすると睡魔が襲ってきて俺は抵抗せず眠りについた。

それが地獄への始まりだと知らずに・・・


目を覚ますとなんとなく変な感じだった。

というより、腕と脚が引っ張られてるようだった。

周りを確認して冴えない頭で何が起こってるのかを考える。

どうやら俺は4人がかりで運ばれているようだった。

1人ずつ右手、左手、右足、左足を持っている。

問題はどうして俺が運ばれているかだった。

まだ冴えない頭で考える。

「・・・・・・」

嫌な予感が頭に浮かんでくる。

全員の顔を確認する。制服のネクタイから2、3年だと分かる。

そのついでに気付いたがその周りに3人ぐらい付添い人みたいなのもいた。

そしてその中に俺の予感を正解だと教えてくれる人間がいた。

少しだけ震えた声で質問してみる。

「皆さんは風紀委員の方ですか?」

「そうだが」

右手を持っている男がそう答えた。

「そうですか・・・」

俺は絶望するはめになった。

「今日はいい日だと思ってたのに・・・」

俺はその言葉を何度も呟きながら取調室へ運ばれた。


昨日も座った椅子に無理矢理座らせられる。

勿論のように不機嫌になる俺。睨む風紀委員。俯く俺。

しばらくの間なぜか沈黙が続いた。

どうして屋上で寝てただけでこんな事に・・・

他にも理由があるのは分かってます。

風紀委員の1人、詳しく言うなら幼馴染の双葉さんが

「あんた、何でここにいるか分かってるわよね」

と、言った。

「勿論でございます・・・」

「そう。今日のペナルティは何がいい?」

「俺が決めていいんですか?」

答えは分かりながらも明るい顔で言ってみる。

「駄目よ」

「・・・・・・・」

「西条さん。どうしましょうか?」

西条さん?誰だそれ?

俺は双葉の目線の先にいる人物を確認する。

ネクタイから2年生だというのが分かる。

多分さっき俺の左足を持っていた方だと・・・思う。

「昨日のペナルティにも堪えていないようだからなぁ」

「いいえ、昨日のは相当堪えました」

「それなのに昨日の今日でこんな事をするのかい?」

「まぁ・・・癖って奴ですかね」

愛想笑いの俺。睨む風紀委員。俯く俺。

「ごめんなさい・・・」

素直に謝っとくことにする・・・

「あんた、本当に反省してんの?」

する訳ないじゃん。これぐらいの事で。

そんな事を胸の中で叫びながら

「うん・・・」

「本当に?」

本当にウザイ幼馴染だ。

「うん・・・」

「じゃあ今日のペナルティは漢字の書き取りね」

そう言ったのは西条さんだ。

「漢字の書き取りですか・・・・」

「うん。漢字の書き取り」

この人の顔からするに冗談ではないようだ。

「西条さん。それってペナルティになります?」

当たり前だろ。勉強させるだけで拷問に等しいだろ。

「うん。なるんだよ秋月さん」

「そうですか」

とりあえず引っ込んでろ双葉。

心の中でそう叫びながら

「じゃあ俺始めますんで・・・」

さっさと終わらせて帰ろう。

この時、俺の頭の中は簡単に終わるもんだと考えてた。

しかし、次に西条さんから放たれる言葉は俺のそんな考えを無情にも切り裂いた。

「ちなみに、一万字だからね」

「一万字っすね。分かりました・・・え・・・」

「どうかした?」

「一万字ですか?」

「うん」

「・・・・・一万字?」

「うん」

「・・・・・」

返す言葉が見つからない。

全部「一」っていう漢字でやっても総画数にしたら・・・

3秒ほど考える。一万画じゃん・・・

「あと、それと」

まだあるの?これ以上地獄を作るの?

勿論、西条さんには俺の心の声なんて届くはずがありません。

「漢字はこっちで選んであるから」

「選んである?」

「うん。15画以上の漢字を200個」

「15画以上の漢字を200個?」

「うん。全部50回ずつ書いてね」

「50回ずつ書く?」

「うん」

「・・・・・・・・・」

15画以上の200個もの漢字を50回ずつ・・・

総画数に直すと・・・少なくとも15×10000。

1分考える。15万画以上を書かなければならない。

「それはちょっと無理じゃないですか?」

なるべく笑顔で言ってみる。多分引き攣りまくりだ。

「できるよ」

西条さんは笑顔だ。

この人を笑顔鬼の西条さんと命名しよう。

「良かったわね。佑斗」

そんな事をいってるのは俺の幼馴染さんだ。

何が良いんだ?人の不幸を喜びやがって。

「変わってやろうか?」

「そうしてもらい所だけど忙しいから」

「俺がそれを変わりにやるけど?」

「黙って漢字の書き取りしなさいよ」

「はい・・・」

恐いです。やっぱり双葉さんは気が短いです。

俺はしぶしぶ漢字の書き取りを始めることにする。

紙と筆記用具と漢字リストは西条さんから渡された。

あらかじめ準備されてる所から初めからこれにする気だったのらしい。


その後、放課後になっても俺が漢字の書き取りをしていたのは言うまでもない。






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