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Episode25:テスト返却-II

授業は5時間目を迎えていた。

今は数学の時間で唯一赤点ではないテストの返却の時だった。

「壬柳」

先生の名前を呼ぶ声が聞こえた。

余裕な笑みを浮かべてテストを受け取る。

そして点数の方に目をやる。

「87点・・・赤点じゃないよな?」

それを確かめるために山本に聞いてみることにする。

「山本、赤点って何点からだっけ?」

「数学は200点満点だから69以下じゃねぇの」

その答えを聞いて安堵する。

「どうしたんだ?そんな事聞いて?」

「いや、数学赤点なのかなって思ってさ」

「へぇ、どうだったんだ?」

「87点だけど」

「まじ?」

「あぁ、嘘なんていちいちつかねぇよ」

「俺、お前に負けてるじゃん・・・ショックだな」

失礼極まりない奴だな・・・

「何点だったんだ?」

「77点。まぁ赤じゃないだけよしとするか」

赤点だったら良かったのに・・・

「まぁ、次は頑張れよ」

「お前に勉強で励まされると悲しいからやめろ」

本当に失礼極まりない奴だ・・・

「分かったよ」

「それなら早くあっち行け、馬鹿」

その馬鹿に負けたのは誰だよ?

そう心の中で言い返し自分の席へと戻る。

どうやら今回は双葉は寄ってこないらしい。

結局は俺の赤点を馬鹿にしたいだけなんだろう・・・


数学の後の6時間目は体育でサッカーだった。

普段なら結構やる気を出すところだが、今日はでなかった。

ペナルティーの恐怖と賭けの結果がきになるばかりだった。

賭けの結果は明日返ってくる政経で分かるのだけど・・・

多分・・・いや・・・99%負けだと思う・・・

そんな事を考えるとサッカーどころではない・・・


放課後は当たり前のように2週間前に迫った文化祭の準備だ。

土日も集まったわけだが、特に進展はなかった。

変わったといえば双葉の皆に対する態度だけだと思う。

「皆、団結してがんばりましょう」

土曜日の朝はそんな事を笑顔で言っていた。

しかし・・・今となっては

「皆やる気がなさすぎるのよ。もっとしっかりして」

そんな事を怒った顔で言っている。

やっぱり、双葉は敵にしたくない・・・

既にしてるのだけど・・・


「昨日考えたんだけど」

放課後のクラスで双葉がそんな事を口にした。

クラスメイト全員が双葉のほうに目を向ける。

向けないと何を言われるか分かったもんじゃない。

「私一人でクラス皆に指示をするのは難しいわ」

お前をリーダーにした覚えもないけどな。

俺は一人心の中で突っ込む。

「だから男子で一人リーダーを決めてほしいの。

そして私は女子に指示、男子はそのリーダーが指示をしてほしいの」

「リーダーって誰がやんの?」

双葉の提案を聞いて山本がそう質問した。

「それは男子で相談して決めたほうがいいと思うわ」

「そう」

納得したのか山本はそう返事をした。

「じゃあそういう事で男子は今から話し合ってリーダーを決めて。

女子は別の部屋に移動して喫茶店で出すメニューでも決めましょう」

「分かった」

「は〜い」

そういった返事が周りから聞こえてくる。

3分後にはクラスには男子しか残っていなかった。


「誰がリーダーやんの?」

似合わない眼鏡をかけた柳本が先に口を開いた。

「さぁ。俺はやらないよ」

「俺もやんない」

「お前がやれば?」

「いやだよ。そう言うお前がやれば」

そういった会話がいたるところで始まった。

そして1分もせずに教室は騒がしくなった。

俺は騒がしさに嫌気がさし提案をすることにした。

「多数決でいいんじゃねえの?」

俺が言ったとたんクラスが静かになった。

「多数決か・・・いいかもな」

「あぁ。手っ取り早く決められそうだ」

「じゃあ多数決で行くか」

周りからそんな声が聞こえる。

上手くいったと俺が心の中で微笑んでいると

「じゃあ、壬柳がいいと思う人」

山本が大きな声でそう言った。

俺が少し驚いていると周りの人間の手が一斉に挙がった。

「お前以外の全員が賛成なんで決定」

山本がそう言った。

「おい、待て。なんで俺なんだよ?」

「だって多数決で決まったから」

代表して山本が答える。

「もっと適任者がいるはずだろ?」

「でも、お前1番秋月さんと仲がいいじゃん」

「それは関係ないだろ?」

「あるだろ。リーダー同士の話し合いも必要なんだし」

「・・・・・・・」

何も言い返さなかった。

というよりは無駄だと感じ諦めることにした。

「提案しなかれば良かった」

俺の発言を聞き教室は笑いに包まれた。


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