Episode23:テスト終了
「テスト始め」
今日の最初のテストである数学が始まった。
さすがに勉強してるだけあってそこそこ解けている気がする。
勿論、応用問題みたいなのはお手上げなんだけど・・・
テスト時間の半分が過ぎた頃に俺は解答を終えた。
ざっと見ても半分以上は埋まっていて安心した。
双葉の席の方をチラッと見ると余裕そうな表情で解いていた。
「あれは本当に9割とれそうだな・・・・」
俺は素直にそんな事を思った。
まぁ、俺が赤点取る心配はないしいいんだけど。
「始め」
今日の2教科目かつ中間テスト最終教科の政経が始まった。
これも時間をかけて勉強してあるのだから赤点はまずない。
そう思ってテストに取り組んだが・・・
何だろう?この無力感は・・・まったく分からない・・・
落ち着いて問題を読んでもまったく理解できない。
「ストック?フロー?そんなの勉強してない」
そういった考えばかりが俺の頭を支配していた・・・
そして5分後。たどり着いた答えは・・・
テスト範囲・・・間違ってた・・・
もう・・・どうしようもない・・・
ただでさえペナルティーも決定なのに・・・
双葉との賭けにも負けてしまうなんて・・・
本当にヤバイ・・・
しかし、そんな俺にも一筋の希望の光が差し込んだ。
問題のほとんどが記号問題だということだ。
奇跡が起これば、赤点を免れることができるかもしれない・・・
俺は全神経を集中させ今までを振り返った。
4択の記号問題で一番多かったのは何番目だ?
確か俺の人生の中では3番目が一番多かったはずだ。
「よし」
俺は心の中でそう呟き気合を入れる。
記号問題の解答欄部分に全部3と書き入れた。
後は・・・願うだけだ・・・
そうやって俺の高校最初のテストは幕を下ろした。
「どうだった?」
「俺は結構出来たと思うぜ」
「私はちょっと危ないかな」
テスト2日目かつ最終日の放課後、教室内はテストの話題に溢れていた。
皆、他人がどれぐらい出来たのか気になるようだ。
さすが進学校の生徒だけあるなと密かに感心する。
自分もその生徒の1人なのだけど・・・
そんな事を考えていると後ろから声をかけられた。
「佑斗」
「うん。何だ双葉か」
「私で悪かったわね。それよりテストは出来たの?」
「数学は大丈夫。だけど政経は分からん」
「へぇ、あんなに自信たっぷりだったのにね」
「うるさいな。お前はどうなんだよ?」
「私?9割確実かな」
「自信たっぷりだな?」
「だって今回のテストは簡単だったじゃない」
「それはお前みたいな天才野郎だけだと思うけど」
「そんな事はないと思うけど」
「そうですか・・・」
「うん。それじゃあ私は風紀委員の集まりあるから」
「あぁ。じゃあな」
「じゃあね」
そう言って双葉は教室を出て行った。
「佑斗」
双葉と別れた後、帰りの準備をしていると海斗がやってきた。
「どうしたんだ?」
俺がそう聞くと。
「いやぁ、お前のテストの結果が気になってさ」
「3教科は赤点決定。政経の結果次第で4教科」
「何だ、お前も赤点だらけじゃん」
「もしかしてお前もなのか?」
「あぁ、余裕でな。多分、全教科赤点だ」
「へぇ」
「まぁ馬鹿同士で仲良くやろうぜ」
「それは別に構わないけど、お前良くそんなに元気でいられるな」
「赤点ぐらいでクヨクヨしてられるかよ」
多分、こいつは知らないんだ。ペナルティーのこと。
「お前らしいな」
「何だ?お前はしてんのかよ。テストの結果なんて気にしないと思ってたけど」
「別に気にしてる訳じゃねぇよ。他に気になることがあってな」
「ふ〜ん。まぁ、どうでもいいや。それよりも遊びに行かねぇ?」
「悪い・・・今日はそんな気分じゃない。他の日にしてくれ」
「まじかよ、ノリ悪いな。じゃあ違う日に誘うわ」
「あぁ、悪いな」
「いいって。じゃあな」
「あぁ」
結局、最後までハイテンションのまま海斗は何処かへと消えた。
あいつも知っていたら、俺みたいだったんだろうな。
教えなくて正解だったろうな・・・