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Episode22:決定

「やっと気がついたの?」

「・・・・双葉・・・・お前・・・」

「ごめんね。まさか本当に引っかかるなんて思わなかったから」

こいつ・・・微妙に笑いをこらえてやがる・・・

「お前、本当に謝る気あるのか?俺は必死に勉強してたんだぞ」

「らしいわね。珍しく朝早くから来ちゃって」

「畜生・・・どうすればいいんだよ」

「とりあえず、今日の3教科は赤点決定っぽいわね」

「っぽいじゃない・・・確実にだ」

「じゃあ私の勝ちね。今日の教科はどれも得意だし」

「・・・・・・・・」

「でも、それじゃ面白くないわね」

「え・・・・」

「今日の教科はなしでいいわ。明日の2教科だけでいいわよ」

「本当か?」

「えぇ。私の卑怯で勝っても嬉しくないもの」

「よし、明日の2教科だな。これは絶対に赤点は取らない。つまり負けない」

「そんなに自信あるんだ?」

「まぁな。お前は1教科でも落としたら負けだぜ」

「分かってるわよ。本当にその通りにいったらだけどね」

「行くんだよ。本当に自信あるからな」

「そう。せいぜい頑張ってね」

双葉の最後の一言は俺の耳には届かなかった。


「始めてください」

今日の1教科目のテストの国語が始まった。

俺が分かっているのは200点満点ということだけだった。

「とりあえず、分かりそうな所から」

頭の中でそう呟きながらテスト用紙に目を通す。

一番、簡単そうなのは小説の範囲だった。

なんとなく授業で聞いたことのあるようなタイトルだった。

ゆっくり小説を読み進めた後に問題を見た。

まったく分からなかった・・・

結局、書けたのは記号問題と漢字を少しだった。

他の範囲も似たようなものだった。

古典にいたっては古文と漢文があったのだが、

漢文は記号問題する存在せずその部分は白紙となった。

結局、解答用紙の4分の1埋めたか埋めてないかで終わってしまった。

その後の、英語と政経も似たようなもんだった。

勿論、赤点は確実・・・


「佑斗、どうだった?」

その日の放課後、双葉が笑顔で俺にそう聞いた。

「分かってることを聞くな」

「そう、じゃあ赤点3枚は確実なんだ?」

「まぁな」

「これでペナルティーは決定ね」

「え・・・ペナルティーって?」

「もう忘れちゃったの?西条さんから聞いたでしょ」

「あ・・・・・」

「馬鹿ねぇ。普段から勉強してれば良かったのに」

「・・・・・・・・・・・・・」

「せめて明日のテストを頑張って私との賭けは取り消しに出来たらいいわね」

「・・・・・・・・・・・・・」

「じゃあねぇ」

「・・・・・・・・・・・・・」


心身ともに疲れ果てた俺は家に帰ってからすぐ寝ることにした。

明日のテストもあるのだが、考えられる余裕はなかった。

「ペナルティー」

その言葉だけが俺の頭を支配していた。

一体どんな過酷な罰が待っているのだろうか・・・

考えただけで鳥肌がたってしまうようだった。

結局、そのせいで俺はなかなか眠りにつけず、次の日の寝不足は決定的となった。


「佑斗、おはよう」

いつも通り遅刻した俺を双葉は笑顔で迎えてくれた。

どうやら今日は取調室への連行はなしのようらしい。

それにしても双葉が憎たらしい・・・

「昨日はちゃんと勉強やったの?」

「ほとんどしてない。どうせ赤点は取らないし」

「ふ〜ん。まぁ私も自信あるから今回は引き分けになりそうね」

「・・・・あぁ」

「どうしたの?今日は元気ないけど」

「お前、分かってて聞いてんのか?」

「勿論」

「・・・・・・どっかいけ・・・」

「もう、そんなに怒らないでよ。やりすぎたと思ってるわ」

「だったらペナルティー手伝え」

「それは無理よ。風紀委員の立場として」

「・・・・・・使えないな・・・」

「悪かったわね」

「あぁ、悪すぎだよ」

「まぁ、頑張ってね」

あの悪女め・・・





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