Episode21:トリック
「決戦は明日か・・・」
双葉との賭けが決まった中間テストは明日に迫っていた。
「確か、明日の今日は数学と政経だったよな」
鞄をあさってテストの時間割の載った紙を探す。
しかし、5分経っても見つからなかった。
「どこに置いたんだっけ」
そう呟いた時だった。
ベッドに置いていた携帯から着信音が響いた。
携帯を取り画面を見てみると、双葉からだと分かった。
おそらく、皮肉でも言うために電話したのだろう。
一瞬だけ迷ったが後々を考え電話に出る。
「何か用?」
双葉が何か言う前に俺がそう言った。
「別にこれといった事はないんだけどね」
「じゃあ、かけんなよ」
「別にいいじゃない。どうしてるかなって思ったのよ」
「普通だけど。それより双葉聞きたいことがある」
「何?」
「明日のテストって、数学と政経だよな?」
「・・・・・・」
「どうしたんだ?」
「・・・何でもないわ。思い出してただけ」
「で、どうなんだ?」
「当たってるわよ」
「そうか、良かった。じゃあ勉強するし切るぞ」
「そう、せいぜい頑張ってね」
「そっちこそな」
俺はそう言ってから電話を切った。
それと同時に画面を見て時間を確認する。
「もう9時か・・・そろそろ始めるか」
俺は机の上に数学の教科書を開き椅子に座り勉強を始めた。
結局、数学と政経の勉強を終えたのは3時過ぎだった。
次の日、眠たいのを我慢しながら遅刻せずに登校した。
もう慣れてしまった皆の驚き顔を見ながら席につく。
それから、数学の教科書を取り出す。
そこで、皆は違う驚きの顔を作った。
俺は男子で一番頭のいい唐崎の席に向かい歩いた。
唐崎にわからない所を教えてもらうためだった。
「唐崎、ここ教えてくれないか?」
「いいけど、どうしたんだ?」
「双葉と賭けしててな。勉強しなくちゃいけないんだよ」
「へぇ、数学で賭けでもするの?」
「いや、全教科だけど。どうかしたのか?」
「今日のテストに数学はないからさ」
「え・・・・」
「今日は国語と英語と生物だよ。数学は明日」
「・・・・・」
声が出なかった。
そんな気力もなかった・・・
双葉にだまされてしまった・・・
「騙される奴が悪い」
双葉がそう言ってるのが聞こえてくるようだ。・・・