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Episode2:戦利品はお弁当

初めて捕まった昨日から一日が経ち今日になった。

勿論のように今日も俺は遅刻。

学校に着いたのは昨日とほとんど同じ時間。

ドアの前に立って少し考え事をする。

「まさか昨日と同じ手を使ってはこないだろうけど」

そう思ってドアを開けようとしたが手が止まる。

「いや・・・でも・・・あの双葉だぞ」

双葉は勉強は出来るが馬鹿だ・・・

なんていうか、簡単に言えば単純な人間である。

「多分あいつのことだから今日も同じ手でくる」

俺は用心しながらゆっくりドアをあける。

「今日も遅刻ね、あんたというあんたは」

やはり同じ手で馬鹿双葉は待ち伏せをしていた。

俺はまだ少ししか開いていないドアを閉める。

そしてそのまま少し横に移動してドアを背にして立つ。

すぐに双葉は俺の閉めたドアを開けた。

そして俺が何処かへ逃げたのだと思い込んでいたのか、

走って教室を抜け出そうとする。

そこが俺の狙い目でもあったんだけどね。

俺は右足を前に突き出し双葉の脚にかける。

勿論、双葉は転びます。そして俺の勝利です。

転んだ双葉は立ち上がり怒った顔で俺を見る。

その顔を見て少しやり過ぎたか?と思う。

「あんたね・・あんたね・・・」

怒りすぎて言葉が続かないようです。

「あんたね・・・逮捕する」

やっと出た言葉がいつも通りの言葉。それでこそ双葉。

俺は教室に入り自分の席の方へと走る。

勿論、天下の双葉様は追いかけてきます。

俺は自分の席の前を通り過ぎて双葉の席まで走る。

そして双葉の席まで来た所で急停止。

止まった俺の後ろには双葉がいるのは当たり前。

その右手にはあの憎たらしい手錠を持っている。

俺は双葉の方をむく。

「さぁ観念しなさいよ・・・佑斗」

「それより、双葉お前顔が赤いぞ。熱でもあるんじゃないか」

俺はそう言って右手を双葉の額の上におく。

突然そんな事をされて双葉は驚いた顔になった。

その顔をみて俺はしめたと思う。

開いている左手で双葉の手錠を奪いそれを双葉にかけ、

片方を双葉の椅子につける。

「あんた・・・」

双葉は更に怒った顔になる。

当然といえば当然のことですね。

俺はさっと双葉の横を通り抜け机の横に置いてある鞄を取る。

「あ、それは・・・」

「この中に鍵が入っているのはお見通しだぜ」

「・・・・」

「どうする。双葉?」

「・・・・」

「俺をもう追いかけないって誓うなら返すぜ」

「・・・・・分かったわ」

「約束だぞ」

「えぇ」

双葉は悪いことが嫌いだから約束は守るはず。

そんな考えのもと俺は双葉に鞄を返してあげる。

「じゃあな」

同じ教室にいることになるそんな捨て台詞をはき席へと戻る。

自分の席に座ると突然、達成感がこみ上げてきた。

すごいすっきりした気分だった。

「毎回、毎回、良くやるよなお前ら」

俺が良い気分になっている時に前の席に座る山本が話しかけてきた。

「しょうがねぇだろ。あいつウザイし」

「夫婦喧嘩って感じだな」

「は・・・何処がだよ」

「いろんな所が」

「あ、そう」

「それよりさぁ、壬柳、お前さぁ」

「何だよ」

「秋月さんをあまり独り占めしないほうがいいぜ」

「してるつもりねぇけど」

「秋月さんもてるからな。既にこのクラスにも数人狙ってる奴がいるぜ」

「あ、そう」

「なんだよ、つれねぇなぁ」

「悪かったな」

「まぁ気をつけろや」

「あぁ」

一体何を気をつけていいのかは分からないが分かったふりをする。

それにしても何であんな奴がもてるんだか。

世の中は分からないもんだよな。

ちなみに双葉は中学校から双葉はもてていた。

1度、付き合っていたこともあるようだが2週間で破局。

「やっぱり好きじゃない人とは付き合えない」

双葉のそんな一言で短い交際は幕を閉じたらしい。

とんでもない一言だなと思う。


午前中の授業も終わり俺は昼飯を買う為に購買へと向かうことにする。

「ねぇ、佑斗」

腰を上げたときに後ろから双葉の声がする。

「何?」

「お母さんがあんたの弁当も作ったから、はい」

そう言って俺の前に突然弁当箱を差し出す。

「どうして?いきなり」

「そろそろあんたが私の料理に飢えてるはずよ。とか言ってたわ」

「そう」

まぁ、確かに双葉の母さんの料理は上手くて少し食べたいとは思っていた。

それにしても双葉の母さんの自信はどこから来てるのだろう。

とりあえず昼飯代がうくに越したことはないので有難く頂戴する。

自分の席につくと山本が突然話をかけてきた。

「お前、弁当作ってもらってんの?」

「あいつのお母さんがだけどな」

「親が認めたカップルなのか?」

「・・・・・・」

「どうした?」

「俺達幼馴染だぞ・・・」

「そうだったっけ」

「あぁ」

「それならしょうがないな」

何がしょうがないんだろうか?お前の頭か?

気を取り直して弁当箱を開けてみる。

するといい匂いがこみ上げてくる。

見た目もグッドでかなり美味しそうだ。

今日は双葉に勝利も収め美味しい昼食も食べていい日だな。

俺はそんな事を思った。



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