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Episode17:近づく文化祭

「ピンポーン」

朝早くから耳障りな音が聞こえてくる。

ゆっくり起き上がり時計に目をやると6時半。

「・・・・・」

また双葉かなと思いながら玄関へと向かう。

その途中にもう一度インターホンが鳴り頭に響いた。

不機嫌な気分でドアを開けてみると

「オッス!」

そこには予想外にも海斗が立っていた。

「・・・・・・」

「何で黙ってんだよ。オッス!」

何でこんなにテンションが高いんだ?

「オッスじゃないだろ。何だよこんな朝早くから」

「お前を遅刻せずに学校へ連れて行くためさ」

「どうして・・・いきなり?」

「いやぁ。双葉に頼まれちゃってさぁ」

「へぇ〜」

「という事で行くぞ」

「嫌だ・・・まだ眠る」

「何我が侭言ってんだよ」

「うるさいな。もっと小さな声で喋れよ」

「お前が行くなら小さく喋ってやる」

「はぁ?」

「行かないと言うなら段々大きくするぜ」

「・・・・ったく、分かったよ」

「分かればよろしい」

何かこいつに主導権握られるの嫌だな・・・


着替えなど一通りの準備をして外に出る。

「やっと来たか。遅いぞ」

大きな声で海斗が出迎えてくれる。

「悪かったな。先に行ってても良かったのに」

「そうしたらお前寝るだろ」

「あぁ」

「やっぱりな。居て正解だったよ」

何を誇らしくてそんなに威張ってるのだろうか


学校に着いて教室に入ると皆が驚いた顔をしていた。

「壬柳が秋月さんなしで遅刻せずに来てる・・・」

「うっそ、壬柳君が来てる」

「あいつも、とうとう秋月さんに愛想を尽かれたか」

最後のはどうかと思うけどな・・・

俺が席に着くと山本が話しかけてきた。

「珍しいな。お前がこの時間に一人で来るって」

「初めてだと思うけど」

「それもそうだな。面白いな?」

何が?お前の頭か?

その後、適当な話をして0校時が始まる鐘が鳴った。


眠い・・・眠い・・・とにかく眠い・・・

授業から20分が経った頃、俺の限界は当たり前のようにきていた。

普段だったら今頃起きるのに・・・

眠たい体を懸命に機能させ双葉の方を振り向いてみる。

そこには怖い笑顔を作ってこっちを見ている双葉がいた。

目が合った瞬間に前を見る。

そしてそのまま時計に目をやり溜息をつく。

そして、もう一度双葉に顔を向けてみる。

同じ顔で俺を見ていたので笑顔を返してみる。

その瞬間、少し怒った顔になり目を背けられた。

俺は何か悪いことをしたのか?

真面目な風紀委員の考えはいまいち分からん。

そんな事を考えていると先生が俺の名前を読んだ。

「壬柳、これ分かるか?」

そう言って持っている長い物差しで黒板に書かれた数式を指す。

5+(3x+7y)(4x+9y)9-3

・・・・・・・・・

考え始めて10秒が経つ。

しかし、握っているシャーペンは動こうとしない。

はっきりいえば、全然分からない。

・・・・・・・・・

30秒が経つ。先生があきらめ顔になる。

「分かりません・・・」

正直に答えてみると、

「そうか、次はがんばれよ」

と、励ましの言葉が返ってきた。

その言葉にクラスに笑いが起きた。

そんなに簡単な問題なのだろうか?

何も分からぬまま俺は笑い声を聞いていた。

皆の笑い声がやんだ後、先生が双葉を指名した。

どうやら俺の解けなかった問題を当てられたらしい。

「108xx(x二乗の意)+414xy+567yy(y二乗の意)+2です」

「正解だ」

どうやら正解らしい、俺には分からないのだけど・・・

その後は特に何もなく睡魔と戦い続けていた。


6時間目はHRの時間になっていた。

今日は近づいている文化祭の話し合いのようだ。

「私達のクラスは何がいいと思いますか?」

双葉が率先してクラスの中心に立っている。

俺はそれを遠くから眺めている。

俺達の今の距離もこれと似たようなものなのかだろうか。

そんな事を考えていると双葉に声をかけられた。

「佑斗、何かいい案はある?」

「・・・・・さぁ?俺は何でもいいし」

「張り合いないわねぇ。じゃあ鈴木さんは?」

双葉はこの後も順に一人ずつ指名して当てていった。

結局この時間では決まらず放課後に持ち越す羽目になった。


「これが決まらないと帰れないわよ」

双葉が少し声を荒げながら言った。

時間は6時半。最終下校まで残り30分。

まとまりがないのか全然決まりそうになかった。

・・・・いつ帰れるんだ・・・・

一応さっきに比べると案はあがるようになっていた。

ミニゲーム場、たこ焼き屋、喫茶店などである。

結局決まらないのは普通なのは嫌という双葉の我が侭のせいである。

「双葉、お前は何かないの?」

俺がそう聞いてみると

「あったらとっくに挙げてるわよ」

「・・・そうだな」

何で俺が怒られるのだろう?

結局、最終下校限界まで考えたが多数決で喫茶店となった。

双葉も渋々了解していたが明らかに不満そうだった。

俺も遅くまで残された事に不満だった・・・


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