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破壊屋  作者: 全力疾走
5/11

破〜2・中〜壊

お姉さんに連れられて、僕は変な裏路地に入ってた。


下心なんて可愛い物は無くて、恐怖に身が震えてる。


「着いたよ。」


お姉さんがポツリと言った。


見上げると

〔破壊屋〜アナタの願いぶち壊します〜〕

という看板……

今からでも逃げられるかな?



「ああ、大丈夫よ、名前がダメダメなだけだから、さ、どうぞ。」

ガラガラと音をたてて扉が開いた。


中は駄菓子屋?みたいなかんじで、見たことないような、怪物のお面や変な色の液体が棚に並んでる。


「霧川さーん!お客さん連れてきた!!」


お姉さんが一段上がった奥に声をかける


「…分かったーー、今行くー」


返事が帰ってくる、女の人みたい。


「大丈夫、何もしないから、ね?」

そういって、お姉さんは変な色がぐるぐるしてる飴玉をくれた

アレ?なんかこれ、警戒色だよ?


「おう、リンお帰りー、そしていらっしゃ……」

綺麗な女の人が出てきた。あー魔女ってやっぱり美人が多いんだなーー


今僕をジーと見てる。

そして、首を傾げてリンさん?だっけ?まぁここに連れてきたお姉さんに聞いた。


「これ、お客さん?」

「ええ、破壊したいのは嫌な奴を殴る想像だそうです。」


「……………どゆこと?」


「楽しい想像しないと家に笑顔で帰れないんだそうです。」


「………イジメか」

奥から出てきた女の人は僕の頭をクシャクシャ撫でて。

「強い子だな」って言った。

何が強いんだろう?

僕は弱いからイジメられてるのに……


「分かった、リンしっかりやれよ。」

リンさんは笑顔で頷いてた




僕は奥に通されて、今、チャブダイって奴にリンさんと向かいあって座ってる


そこで僕はあらいざらい全部の事を吐いた


小4までみんな仲良かった事

大原は頭もいいし顔もよく、ただなんか昔から浮いた所があった事

小5になってから急に大原が僕をイジメ出した事

周りの子はその流れに抵抗出来ずに一緒になってやってる事


……女子は大原の気を引くために我先にと率先してやってる事

などなどだ



「そう、大原君、ね?リーダー格は?」

「うん」


「用はその子がリーダーじゃなくなればいいわけだ…」


「え?う、うんそうなのかな?そうじゃない?」


「よし、やる事決まったし、コレ書いて」


リンさんは一枚の紙を出してきた


「契約書?」


そう書いてある。


いくつかの質問が書かれてる


・お名前

田口 雄介

・ご住所

●●●−◇◇◇−○○○

・電話番号

○○○−◇◇◇−◎◎◎

・破壊したい理由

家に帰りたいから


・破壊したら元にはもどせませんがよろしいですか?


ハイ


・破壊後にクレームは受け付けません、よろしいですか?


ハイ


以上事をもちまして契約成立とみなします



「書きました」


「ん、よし。おーけー。さて、今は8時だ、君は迷子になって公園で寝ていた所を私に保護された。」


「……え?」

何を言い出したんだ?リンさんは?


「いや、言い訳だよ。破壊屋ーなんとかなんて言ったら親に心配かけるだけだよ?イヤでしょ?」


「うん、イヤ」


「だからこの言い訳、いいね、私は通りすがりのお姉さんよ。」


「うん」


「よし、じゃあ帰ろう。」


リンさんに手をひかれて僕は家に帰った。


嫌な想像はなくなって警戒色の飴玉は甘くて、美味しかった



お父さん、お母さんは心配してくれてた。


それでリンさんに何回も頭を下げてた

違うよお母さん、ソイツのせいだよ


お父さんはわざわざタクシーを呼んでリンさんを送っている

違うよお父さん、そいつ今心の中で大笑いだよ。

「じゃあ、なんか色々とすみません、じゃあね雄介君、また今度ね。」


「う、うん」


リンさんは笑顔で帰って行った。






ふー



タバコ臭いタクシーの中、ため息をつく私がいます


やると決めたらやるそれが私だ。

だから、滅多に他人の事に手を出したりしない、なのに今回はどうも、浅薄だ。

あの子は放って置いちゃダメだ

自分の中の何かがそう叫んだんだ

まぁ、イジメとか比較的潰しやすい仕事だから良かったけど、ハズレだったら大変だったな……


「お客さん、本当にココでいいの?」


運転手が聞いてきた、どうやらいつの間にか着いていたらしい。


暗い暗い路上裏への入り口。

絶対人こねぇな……と今、つくづく思う。

「そ、いくら?」


お金は雄介の父さんがくれました。

猫被るのは得ね。


さて、面倒いけど協力頼みますか。


盗聴、盗撮、ピッキング、さらには只今ハッキングの勉強中である。破壊屋の一員で、もっとも可愛い女の子

そして

もっともビビリな女の子

ユリちゃんに。

向かうは二階。


コンコン…


ドアをノック。

ドアには両方にウサギが描かれているネームプレイトがついている。

そしてそこに〔YURI〕と書かれている。

はー

女の子してるなー


「はーい」


ここで普通に出るのは面白くない。

「あ、俺だけど、時間いいッスか?」

声色を靭風にして言ってみる。

「え、じジン君?」

おっ動揺してるな。

「えっちょッ…待ってて。わーどうしよう」

ハハハ、面白い。

「なんて、私でした。」

ドアを開ける。

そこにはパニクッてオロオロしてるユリがいた、いやー可愛いな。

「…………リンちゃん?」

「そっ、リンちゃんでしたー」

おっおっ、泣きそうな顔してるぞ。

相当ビビッてたな。

身長160cmの小柄で肉付きはいい感じ、胸も大きいし。

顔はうーん、可愛いねって言われてた子供がさらに可愛くなった感じ??

髪は肩まで伸びててアジアンビューティーって感じかな


いつみても抱き心地良さそう。


「冗談だよ、もう、ユリちゃん、そんな泣きそうな顔しちゃってー」

とか言いつつ抱きつく、うーわーマシュマロか?この子はマシュマロなのか!?



「リ、リンさん、ちょっと、ね、ねぇー」


この子イヤだとはハッキリ言えないのがまた可愛いい。


「どうしたんですか?急に?」

なんかユリちゃん抵抗するの辞めて、座りこんじゃった。

もちろん私抱きついたままね。

「うーん、ユリちゃんの事抱きしめたくなって。」


耳元で凄くイヤらしい感じに囁く。

おっ顔赤くなったぞ。

面白ーい!そして可愛いい!さらに柔らかーい!

もう最高だね、ユリちゃんは。

なんでこんな可愛い子がジンなんて馬鹿犬に惚れちゃったかは一生の謎ね……

しかもジン、霧川さんの“躾”で女性恐怖症だしね


ハー報われないわよね。

この子のために破壊屋ってあるべきだと私は思うわ。


「うん実はね、盗聴機貸して欲しくて。」


「と、盗聴機ですか?」


「そ、今回の仕事そっち路線でいきたいんだ」


「いいですけど、盗聴機にも色々ありますよ?」


「うーんじゃあ壁越しにできるやつある?」

「ええ、ありますよ。あ、でもコレ送信型じゃないから、近くにいないといけない奴ですよ?」


「あーそっか、うんでもそれでいいや、貸してー」


「じゃあ一日40円でいいですよ?」


う、この子金銭面では相当しっかりしてるのよね。

霧川さん、家計の事全部ユリちゃんに計算させるからなー。


「うん、じゃあ、借りてくねー」


ユリちゃんの部屋を出ようとしたその時。

「あっ、リンさん。」

「ん?何?」


「ちゃんと分かってますよね?」


「ああ、大丈夫、ちゃんと使えるよ?」このタイプの盗聴機は何回かユリちゃんから借りてるし。


「いや、使い方じゃなくて、それを使う意味です。」


「え?」


「盗聴するというのは、つまり相手がもっとも安心出来る場所でしか存在しえない情報を、盗み、探るという事です、つまり相手の中に土足で入り込むわけです。その情報が不用意に広がったりしたのなら相手の居場所を無くす事にもなります。最悪、その人を一生孤独にしてしまうかもしれません。」


なるほど、さすが優しい子だ、盗聴も盗撮も必要最低限な所だけ、後は聞かず見ざる言わざるついでに知らざるを通すわけだ。

まぁ、盗撮、盗聴するにはかわりないんだけど、それでも相手の事を考えて行動する


ここが私とユリちゃんの違いよね。


「大丈夫、うまくやるよ」


だけど、その心配はいらないよユリちゃん。もう今回のターゲットは独りの居場所を無くし、帰る場所まで奪おうとしたんだから


情け無用


今度はあの子が居場所を無くす番なんだから。







な、なんとか、今日も学校をしのいだ僕がここにいます。


あの日からもう4日は経ちました、まぁ、今まで耐えてこれたのに今更プッツン切れちゃう僕じゃないですよ。相変わらず大原には殺されかけてますが、家には笑顔で帰れてます。


ところで今、ホームルームが終わろうとしていますが、先生からの連絡事項の中に『最近不審な人物が目撃されている。なんでも凄い毒舌の持ち主らしく、それと色々と生徒の事について聞いてるらしい。』っていうのがあった


まさかね……


リンさん、アナタじゃないよね?




アレ?


日毎にイジメが沈圧化してきてます、女子の作った籠城攻めホーメーションは最近ずいぶんとやっつけ仕事で、トイレに行けるようになりました。

授業中の名指し攻撃、“アイツ見て見て〜”も一日五回から一日一回、しかも相当ソフトになってきています


「先生、田口君が寝てます。」

いや、これは僕が悪いのかな。


なにより一番の変わったのは、笑顔が自然と作れるようになった事です。



…………楽しいです

「いってきまーす」

も、楽に言えます。



でも、不思議です。

最近、皆が大原を避けてます、大原自体あんまり、動きません


これは、やっぱり……リンさんが絡んでるのかな?


何があったのかな?

ずいぶん、暗いオーラが大原から出てます。




後日、聞いた話しだけど大原の両親離婚したらしい。


決め手になったのは、大原のお父さんの浮気がバレた事らしいです


後、こんなのも聞きました、大原の家に最近不審者がうろついているという事。


そして、大原のお母さんがその不審者とたまに接触してるという事。


実は離婚云々より、もう大原の家は崩れかけてて、その不審者は大原のお母さんの浮気相手なんじゃないか、っていう噂がながれてる事



なんだろう、どれもこれも、リンさんが頭に浮かぶのは、確信してるからなのかな?


人間面白いもので、他人の不幸はとことん楽しめるようだ。

僕も何回か、クラスの子達が大原の噂を口にしてるのを聞いた。


僕の立場は“同情に値すべき者”になって、優しく、クラスの奴が僕に話しかけてきている。


初めは作り笑顔で対応してたけど、今は普通に笑い合えてる。


友達に戻れた理由がキレイな理由じゃなくとも、また友達になれたんだから、僕はそれでいい。


高望みの精神は、イジメを通して無くなったみたいだ…

そこは、感謝すべきだろう。






帰り道、確かに想像は無くなったな。


普通の毎日。

殴らない、責められない、バカにされない、そんな普通

だけどそれ以上なにを望むというんだろ。


アレ?


リンさんだ。

こっちに手を振っている。


笑顔だ。

「リンお姉ちゃん。あの、これってお姉ちゃんがしてくれたんだよね?」


「うーん、ちょっとココで離すのはあれね」

…っと、近くにあった公園に連れていかれた

不思議と今はときめきみたいな感じがある


前とは大違いだ。


「さて、と、じゃあ話してあげましょう、リンさんマジックを!」

リンさんはキレイに本当にキレイに笑って。話し始めた。

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