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破壊屋  作者: 全力疾走
10/11

破〜4・中〜壊

はい、今回は若干同情の念が沸くできとなっております

さっきリンからメールで今日帰ってきても大丈夫だよーと書いてあった。嬉しい事この上ないが、今俺はそれどころじゃない

目の前には依頼人の松田 那美まつだなみ

がいる、性別は女性、年齢は24

身長は168cmぐらいかな?

そして何より…体重が95kgもあるのが最大の特徴にして、今回の依頼だ。


ハーー〔破壊対象…私〕に二重線を引き“脂肪”と書き足す。まったく、すんげーここに来るまで焦ったんだからな!!

ヤバイ、自殺志願だったらどうしようとか色々と考えちゃったじゃないッスか


「それじゃあアナタが望む破壊対象は…えっと、あの、脂肪ですか?」


ムシャムシャ

「ええ、そうよ。痩せたくても痩せられなくて……」

ムシャムシャ


そういいながらさっきからリンゴを食べている、かれこれこれで3切れ目だ。


「何かその食欲に心覚えは?」

ゴクッ、ゴクッ…

「ふー心覚えね…ストレスかしら…学校の方で私先生やってるんだけど…ほら学校ってストレス溜まるのよ!ソレが原因だと思うわ…」


そうかストレスか………味覚の方も来てるな…リンゴとコーヒー牛乳は合わないだろ?


「……あの、確認しますが、痩せたい…ですよね?」


ここは重要だ、本人にどのくらいの気があるかでやり方が変わってくる。


ガブッムシャムシャ、ゴクッゴクッ

「もちろんよ!!」

色んな意味でいい度胸してやがる。


「んじゃあ、契約書のほう書いて下さい。」

「はーい」


依頼人が契約書を書いている間、グルっと部屋を見てみる。

ココは都内のアパートで、7階だ、間取りは部屋が2つ、あとキッチンとトイレそしてシャワールームがある。


で今キッチンのテーブルに座っているわけだが、やたらと目立つのはゴミの量だ部屋のアチコチにゴミ袋が置いてある…なるほど、ほとんど食事はインスタントだ、あとは、お菓子の袋が主体だ


…………………頼む、キッチンの水回りぐらい片付けてくれよ…


あれ、何週間溜め込んだの?


ん?

ゴミ袋に……写真…?大量の写真が切り裂かれて、捨ててある。


なんだろう?


「ハイ、書けたわよ。」


依頼人が契約書を書いてくれた。


「さて、と。」

どうしよう…今回はハッピーエンドもバッドエンドもないし。

破壊するものが具体的過ぎて、ぶっちゃけ……つまらない。


まあ、でも、それが仕事だしな、うん今回は真剣に行くって決めたし……よし。



「ストレスからその食欲が来ているなら、どんなに、痩せようとして、運動しても無駄でしょう、仮にそれで痩せても、根本的な解決をしていないので、また繰り返し暴食を起こすと思うんですよ。」


「ええ、きっと、そうなるでしょうね、……私かれこれ3回はダイエットしてますし。」

「ああ、じゃあ、やっぱり繰り返しで?」


「いや、途中で止めちゃうんですよ、コレが!、きっと続けられればいけると思うんです!」


笑顔で、〔破壊対象…脂肪〕

に二重線を引き、“肥大化した度胸”と書き殴る。


「……そうですか、やっぱりそれは、根本的な問題を解決した方が楽そうですね。」


「ええ!お願いします!!」


よし、いい返事だ。

ただ、その右手に持った、ポテチを置け!!




………………………………………………


「あの…」


「はい?どうかしました?あっ!流しはずいぶん掃除してなくて…ごめんなさい、汚くて…。」


「い、いえ、大丈夫、大丈夫なんですけど…………すみません、掃除していいですか?」


…さっきから臭さくて集中出来ない……

俺、鼻がよく効くからなー…

だから、出来立てのコンクリートの匂いとかで、吐きそうになるし、、強い香水とかしてる人は避けるし。




……まあいいや。


とにかく、片したい。この部屋を!!


「え?いや、そんな大丈夫ですよ!」

笑顔で返す那美さん


「いや、俺がダメなんです。」


そういい有無を言わせず片付け初める。

まずは…流しだな。










―――――

―――――――

今、夜の8時だ

ジンはまだ帰って来てない、ま、良いけどね黒岩さんもなんか霧川さんと一緒に買い物行って帰って来ないし…ユリちゃんは部屋にいるけど、…多分寝てるな…

さて、リン事私は何をしているかというと、暇なんで、ジンが担当してる人の情報を集めてます。


なにぶん、今回のはヤバそうだし、バックアップしないとさすがに可哀想だわ…


と、言うことで今調べてるんだけど、へーずいぶんと美人じゃん、一年前の写真だけど、まぁそんな変わらないだろ……


今は、学校の先生やってんだー。

なんだろう、なにがあったのかな?

まさか、生徒と出来たとかそういう色恋沙汰かな?

これだけ美人ならみんなほっとかないだろうし…


――――ブーブーブー


携帯が震える、ディスプレイには……馬鹿犬とかいてある。


「もしもーし?首尾はどう?」


「…ああ、最悪…今、片付けてる所

――――あっ、ちょっ触んないで!!

いや、大丈夫ですって俺も男ですし。」


「なッ!?何やってんの!!?」


「いや、片付けてんの…ほら、綺麗だとやりやすいじゃん?」


「や、やりやすい!?」


待て待て待て、一体何ヤッてんだ?あの馬鹿犬!

「あっ…俺今日帰れないから、晩飯の俺のオカズ適当にリンがしまつしておいて。


―――……早く来てーー!

悪い、切るねー!」



「ちょっ!!」


切れた…待て待て待て、待って!!

いくらジンが最近サルになりぎみだからってそれは無いでしょ?

………………だってアイツ、女性恐怖症だし……

ふっとパソコンの画面の笑顔の美人教師に目が行く。

そういえば、彼女の自己紹介文で………《生徒の悩みに正面からぶつかって行きたい》って…………


まさか………




―――――――――

――――――

―――

『ジン君…私ダメな先生なの、生徒一人救えなかった…』


『いや…那美さんは立派ですよ、立ち向かった、それだけで充分、生徒にとって救いになったと思います。』


『…………ありがとう、ジン君……』


『いえ、これが仕事ですから…』


『………そう、なら、アナタの悩みは何?』


『え?』


『私にも仕事をやらせて欲しいの、ねぇ?ジンは何か悩んでる事あるの?』



『……………俺、実は女性が恐いんです、昔ある女性にイタズラされて、それ以来恐くなって…』



『…大丈夫、おいで…恐くなから…』


『那美さん…』


『ううん…今は、先生って呼んで…』


ガバッ!!


―――――――――――――18禁―――――


「うぎゃああ!!!」

自分で考えておいてなんだが…凄まじい鳥肌が………


「待ってよ、でも実際有り得ない話しではないのよね……」


ヤバいな、うん、ヤバいぞー

「何がヤバいんだ?」

ビクン!!!!!!!!!!!!


「おっ!良い反応だな!」

無精髭に優顔……


「…ッ黒岩さん!!」

「ただいま、どうした?そんな真っ青な顔して?」


ジンが今、大人の階段転がり落ちてサルになりました、伝えられるわけがない。


いや、待てよ?

………………黒岩さんなら、相談してみても平気なんじゃないかな?

男の事はやっぱり男に任せないと……


「あの、実は…」


「なんだ?相談か?良いのか俺なんかに相談して?」


うーん、私も悩む所なんだけど…


「…………ここは、男である黒岩さんの方が良いかと…」



「……なるほど、まあ聞くだけ聞こうか…」

黒岩さんって真剣な顔すると、なんだか眠そうな顔に見えるのよね………まぁ、慣れたけど。

「実はジンが今…」


「あー何か、霧川が言ってたな…まぁ、男なんてそんなもんだよ。」

「…………………いや、それが、今、ジンひょっとしたら、大人の階段転がり落ちて発情犬になったかもしれないんですけど……?」


「いや、男なんてそんなも……」


黒岩さんは欠伸一つ、つこうとして口を開けたまま止まっている…

ああ……やっぱり、アンタは眠かったんだね

「リン…!!」


うっわー、超真顔!!!!!

何?!マジで恐いんだけど!!?

タカみたいな目になってやがる。

と、とら…殺られる!!


「いいか、リン!絶対この事は他言無用だ、いいな!!これには人命が掛ってる、マジな話しでバレたらアイツが危ない!!」


イッターい!!

ガシッと黒岩さんが私の肩を鷲掴みして、離さない。


「い、言わないですよ!それに私の勘違いかもしれないし…」


「ふー…なんだ、びっくりさせるなよ…。」

フーーやっと肩から手が離れる。

痛かったー

「…ただ、今日ジンが依頼人の美人先生の所に泊まるって電話があって…」


ガッシィィィ!!!


うっぎゃあああああああ!!!!!


「リン!!!!!マジなのか!?ソレは事実なのか!?!」


千切れるぅぅ!


黒岩さん!!肩肩肩ぁ!


それに顔近ぇし、押し倒されそうだし、はた目からみたら、マズイ絵柄だな、コレ

「ちょっ!止めて下さい黒岩さん!!落ち着いて!!」


「……あ、ああ、悪い…ちょっと気が動転してた。」


そう、はた目から見ればマズイだろうな。


「………………」


この時、私は初めて見たんだ。


「へー気が動的して、リンを襲ったのか?アキラ?」

マジ切れしてる、霧川さんを……


「……い、い、いや、アケミ、落ち着け…違う、うんだ」


黒岩さん、今日は表情豊かだね。


「アキラ……先に私の部屋行ってろ、何も言わず、ただ従う犬の如く……行け。」


マジこっえええ!!



黒岩さんは黙って椅子から立ち上がって奥に歩いてく…、アレ?なんか黒岩さんジンと被って見える?


「逃げたら、お前の狼権は剥奪するからな!」


あっ……やっぱし?

黒岩さん、ビクッってなって振り向かずに歩いてく…ああ、ありゃ哭いてんな……


「………リン、大丈夫か?」

霧川さん、まだちょっと顔恐いよ……


「え、えっと大丈夫です、あ、あああの、」

「大丈夫、お前は悪くない、悪いのは男だ、な?」


「………」

ごめんなさい黒岩さん、私もう恐くて泣きそうなの。

だから弁解してあげられないわ……


「大丈夫、私がなんとかするから……ただ、今日は絶対私の部屋覗くな?ユリにも伝えとけ、いいね、絶対覗くなよ?」



大丈夫、例え霧川さんの正体が恩返しに来た鶴だとしても

私達はまだ若い、こんな所で死にたくなんかない。




霧川さんは拷問部屋もとい自室に歩いてく…


……サーテ、今日ノバンメシナニニシヨウカナー?







―――――――――――――――――― ――――――


よし、ある程度片付け終わったな…


イヤー初めてみたよ…ゴキブリが飛ぶ所…まだ、何かが洋服の下でうずいてる気がする…


「さて…、那美さん。」


「はい?イヤーずいぶん綺麗になったわねー、4時間もかかったけど…」


今、深夜2時だ。


「貴方のプランが決まりました。」


「あら?どんなのになるの?」


那美さんはもう眠いのか、ただ言葉を繋げてるだけだ…


「カウセリングをやります。」


ハハハ、もちろん免許なんて持って無いッスけど、マネ事なら出来る、っていうか、ただ名前だけ言ってみただけなんだけどね。


「ええ、じゃあソレでお願いするわ…」


「それじゃあ、明日詳細は決めますんで、今日はもう休みましょう。」


「ええ……」


さて、やる事は決まったし、俺も寝よ、ソファーがあったし、ソコ借りよう…




―――――――――――――――――――――――――



トン、トン、トンとリズム良く包丁で野菜を切る、今日は3人分で足りるだろ。


さっきユリちゃんが起きて来て、おはようなんて言ってたが、今は22時、……早すぎるよ?

さて、霧川さんの部屋にはもちろん近づいていない、晩飯は冷蔵庫に入れておけばいいだろうね…もちろん一人分だけどね


「あれ?霧川さんと黒岩さんはぁ?」

ユリちゃんは眠そうでそして興味なさそうだ

「う〜ん、今黒岩さんは霧川さんの部屋で拷問中ー」


「わーたいへーん」


只今ユリちゃん睡魔と格闘中、あれなんだよね…寝言と会話しちゃいけないんだよね?……でも、ダメな理由が分からないんじゃ、つまらないよね?


実験開始!!


「今日の晩御飯はコロッケに肉じゃが、野菜炒めです、お味はどう?」


「…肉がいね〜」


「…黒岩さん大丈夫かな?」


「ジン君いないね」


………なるほど、噛み合わないからか。まあいいや、ジン君いないね〜か、まぁ、黒岩さんはきっとジンの事吐いちゃうだろうしな〜

へへへー、明日は面白くなりそ。




―――――――――――――


ハァ、ハァ、ハァ、グッ…

〔暗い部屋で男女が二人〕ここからアナタは何を想像するだろうか?

おそらくは、いやらしい感じを少なからず覚えるだろう、では…〔縄に両手両足を縛られ、天井から吊され、上半身裸の男、それを眺める女〕はどんなイメージだろうか?

おそらくそういうプレイと考える人が多いだろう、が…〔マジ泣きの上半身あざだらけの縛られた男、それを見る、切れ顔の女〕これで大部イメージが変わってきたと思う、いや正確になってきたと思う、そうこれはエロチックの欠片も無い、拷問である



「だ…から…アレは襲ったんじゃなくて、聞き出そうと…」

霧川の右手の竹刀がしなった(シャレじゃないし、シャレにならない)

バンッ!


「!?グハッ!」


「…だから何を聞き出そうとしたのかな?」

霧川は竹刀を黒岩の喉元に突き着ける。とられる、これは絶対殺られる。


「最期のチャンスだ、私もこんな酷い事はしたくないんだよ?」

そう言いながら霧川は黒岩の腹を蹴り、ニヤニヤ笑う。


た、すけて…


「霧川…いやアケミ聞いてくれ、コレは言うわけにはいかないんだ…」

頼む、もう蹴らないで…


「…ふーん、私に話せない事なんだぁ?」


ヤバいヤバいヤバい、子供みたいな笑顔を霧川がした時は絶対、そう、絶対に目を合わしちゃいけない、この前なんか、ちょっと実験していい?とか言って、俺の体を左手で探って、右手には〔秘孔、一撃で決める〕と題された本。

その後の記憶が無くなっている事は、今生きてる事の素晴らしさを物語っている。


俺は目を合わせないようにそっぽを向いた。

「ねぇ、アキラ?アイアンメイデンって知ってる?」

そりゃ知ってる、要約すれば“鉄の処女”中がトゲだらけの棺桶みたいなやつだろ?有名な拷問器具の…

「それがどうした?」

「私思ったの、処女があるなら童貞があってもいいんじゃないかって、“鉄の童貞”なんで無いの?」


「…いや、だってなんかソレ、意地張ってるだけっぽいし。アイアンチェリーってなんか、カッコ悪いじゃん。」


「そう、じゃあ仕方がない、今作ってみようか?」


話し噛み合ってねぇな。

だけど言いたい事は伝わったぞ。


悪い、ジンお前の事喋っちゃうわ、もう恐くて泣きそうなんだ。

許せよ……










―――――――――――――


pm3:00


いやー、仕事の打ち合わせが思いの外手間取ったな。

疲れた…家帰って少し休もう。


「ただいまー」


ガラガラと扉を開けた。

目の前に人が倒れてる。黒岩さんか?コレ?

「ジン、逃げ、ろ。まだ後、30秒残ってる…」


なんだかバスケのラストみたいな感じだけど…悟れたよ。

何が原因かはわからない、だけど、今日になってから一度もリンとは連絡が取れず、クロネコは俺になついて、この様な黒岩さん、そして近づいてくるこのプレッシャー、間違いない。


後24秒


踵を返し扉へ向かう


後20秒


黒岩さん悪い、俺は振り向けない、すまない

後17秒


扉を開ける、よし、行ける!


後15秒


目の前には無限に広がる自由、ああ助かったんだ…!


後13秒


視界にちらっと黒い何かが映った、なんだ?

後12秒


「喰らえ、外道!!」とリンは奇声を発した、しまった!俺とした事が!“何故黒岩さんは玄関にいたのか”答えは簡単だ、“直ぐに帰って来る人に会いたかったから”だ、ではなぜ倒れていたのか?“ソレを邪魔したい奴がいるから”だ。

そしてソレは霧川さんじゃない、霧川さんはまだ後10秒ある

つまりは他にも敵がいたわけだ。

ぬかった…!


ブンッ!


リンは木刀で平一文字を描くが、しょせん素人タカがしれてる、

「使い慣れて無い得物をいきなり実戦に使うのは自殺行為だ」って黒岩さんが昔言ってたぜ!!

俺は腰を落として、ソレをかわす、そしてリンの脇を走り抜ける


後4秒


行け…!!


体とコンクリートが擦れる。どういう事!?

「ハハハハ、馬鹿めぇ!バナナの皮で滑るとはまるで漫画ねー」


しまった!!木刀は伏せん、狙いは足下のバナナの皮から目をそらせる事!


後1秒


霧川さんの姿が肉眼で確認出来た。

…黒岩さんを普通に踏んでる…

あれ?黒岩さん、霧川さんの足を掴んで、俺に視線を投げてる


…!


まだ、間に合う!!距離にして5m、霧川さんでも4歩はかかるだろう。

立ち上がり前を向く。行ける、と自分の震える足に叩き込み、走り出す。

黒岩さんの行為と勇気を無為には扱わない!

「トウ!!」


ガンッ!!


な!リン、アイツ木刀を投げたの!?

足に木刀が絡む、またコンクリートに体が擦れる。


Game Over


「お帰り、ジン。待ってたのよ?」

霧川さんが俺の服を掴み破壊屋に連れ込む、助けて、助けて助けて!!!


「ココか…」

トスッ…アレ?

何か霧川さんが俺に触れた瞬間、意識が……


「秘孔、試しておいて良かったわ…」


遠のく意識の中で俺にはそう聞こえたんだ。







ハイ、それで今に至る訳です、私ことジンは猿ぐつわを口にさせられ、天井から吊され、長々と拷問と恥辱の限りを尽され、ようやく(4時間後)、猿ぐつわを外され、言い訳でも聞こうか?と発言権を許された訳です。


「あの、何で…俺こんな…目に?」

息もまともにできず、遠のく意識を必死に捕まえる。


「あら?自分が何をやったのかも分かって無いの?」

と霧川さん、やめて、その左手に持ったカメラを下ろして。


今、俺はほとんど裸、パンツだけ、装着を許されてる、つまり、今、最期に言い残したい事は?と死刑執行人に聞かれてるような物なんだ。


「あるわけないですよ、だってコイツ発情したんですもん」

とリン、コイツは俺の身体中にマジックで“犬”“発情中”“躾は必要”“犬権決定”とか書き殴ってる、テメェそれ、油性だろ?


「発情って…何の…こと、ですか?」


「アナタ昨日美人先生のお家にお泊まりしたんだって?」

霧川さんは今まで撮ってた俺の写真をパソコンに取り込むまさか…


「残念だ、君なら理性を保てると思ったのに」

と霧川さんは悲しい目をするが、口がにやけてる


まさか……


「君には罰をあたえなきゃならない、そう君の写真を全世界に公開だ!」


やーめーろー!!


「ちょっ、ちょっと…待って、下、さい、俺発情なんてしてない、ですよ?」

恐くて涙が出てきた、もう喉も痛くて、意識が俺だけは!って逃げようとしてる。


「してない?あんた昨日私に電話で〈綺麗だとやりやすい〉って、言ったじゃん?」


「いや…ソレは掃除…の………事だ。」


逃がすか!と意識を必死で掴む。


『掃除?』


リン、霧川さんは顔を見合わせる、まさか、まさかコイツら、勘違いで、俺や黒岩さんをこんな目に?


あ、ちなみに黒岩さんは俺の足下で〈ジンを助けた裏切り物、強いて言えば女の敵〉っと紙を張られ倒れてる、上半身は裸だが、酷いアザだらけだ……


昨日何かあったな?


そしてもう“物”扱いなんだな…


「深夜に依頼人のしかも女の家で掃除だぁ?」

霧川さんはカメラを置き代わりに竹刀を出してくる。


ああ、黒岩さん…アナタ昨日、拷問受けたんですね。

なのに、俺を助けようとしてくれたんですか?、アナタ本当に漢だよ、もう尊敬しか出来ねぇよ。


「…掃除っと、言っても……実際は調査で、す……ゴミ袋が家に、溜まってて……その中に写真…が入ってて、ビリビリに破れて…て、ソレが気になって………回収するために……掃除を……………今その紙切れは、…俺の財布の中に………」



リンが俺の財布からビニール袋を取り出し中身を確認する。


「………………入ってます。」

久々の真顔だな。


「………………………………………」

霧川さんは何か考えてる。


黒岩さんは隣で唸ってる。


リンは笑ってる。


ああ、リン

「お前のせいかぁぁ!!!」


渾身の怒声をリンに浴びせ、俺の意識は旅立った


まったく、この怒りは誰にぶつけよう…………







―――――――――――――――



pm9:00


俺は部屋に倒れてた。身体中が痛くて、しかも悲しくて悔しくて、涙は止まらない。


しかも今この部屋真っ暗で余計に感情のタガが外れる。


ああ頼む、もう犬でも猿でも獣でもなんでもいい、どうか、どうか今日だけはいや今だけは独りにしてくれ……


ジン君は立ち直れるでしょうか?

俺だったら、多分無理かと思います。

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