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おれ、ねっこ

作者: 夜乃氷空
掲載日:2026/09/03

 おれ、ねっこ。


 なまえは、ある。


 でも。


 にんげんは、おれのことを。


「ねこちゃーん」


 ってよぶ。


 だから。


 たぶん。


 おれのなまえは、ねこちゃん。


 まあ。


 いい。


 おれ、ねっこだから。


 *


 あさ。


 にんげんが、おきた。


「んー……」


 おそい。


 おれは、もうとっくにおきている。


 だから。


 おれは、にんげんのうえにのる。


「うっ……」


 おきた。


 よし。


 きょうも、おれのかち。


「おもいよぉ……」


 しってる。


 おれは、ちょっとだけおおきい。


 でも。


 これは、おれがわるいわけじゃない。


 おいしいごはんが。


 そこにあるから。


 *


 にんげんが、へやからでていく。


 おれもいく。


「ついてこないでよー」


 ついていく。


「トイレだよ?」


 しってる。


 でも。


 にんげんがどこにいくかは。


 おれがかんりしなければならない。


 おれは、ねっこ。


 いえの。


 いちばんえらい。


 だから。


 かんしはひつよう。


 *


 にんげんが、ごはんをたべている。


 おれは、となりにすわる。


 じっとみる。


「……だめだよ」


 まだ。


 じっとみる。


「これ、人間のごはん」


 しってる。


 でも。


 おれもたべたい。


「だめ」


 ……。


 おれは。


 ゆっくり。


 にんげんのめをみる。


「……その顔してもだめ」


 まだだ。


 ここから。


 おれのほんき。


「……にゃー」


「……」


「にゃ」


「……」


「にゃぁ」


「……ちょっとだけだからね?」


 よし。


 おれのかち。


 *


 ひる。


 ひなたがある。


 おれは、そこにいく。


 そして。


 ねる。


 これは。


 しごと。


 にんげんは。


「いいなぁ、猫は」


 とかいう。


 なにをいっている。


 おれは、いそがしい。


 あさは。


 にんげんをおこす。


 ごはんをたべる。


 にんげんをかんしする。


 ひるは。


 ひなたをあたためる。


 たいへん。


 だから。


 ねる。


 すやぁ。


 *


 よる。


 にんげんが、ねる。


 おれは、まだねない。


 まず。


 いえをみまわる。


 きょうも。


 だれもいない。


 よし。


 つぎ。


 にんげんをみる。


 ねている。


 よし。


 おれは。


 にんげんのところへいく。


「……ん?」


 おきた。


 でも。


 おれはきにしない。


 ふとんにはいる。


 にんげんのおなかのうえ。


「重い……」


 しってる。


 でも。


 ここが。


 いちばんあたたかい。


「どいてぇ……」


 どかない。


 ここは。


 おれのばしょ。


 にんげんは。


 しばらく。


 なにもいわなかった。


 そして。


 おれのあたまをなでた。


「……おやすみ、ねこちゃん」


 おれは。


 めをとじる。


 まあ。


 きょうだけは。


 なでさせてやる。


 おれ、ねっこ。


 きょうも。


 にんげんを。


 ちゃんと。


 かんりした。


 えらい。


 だから。


 もうねる。


 おやすみ。


 にんげん。


 あしたも。


 ちゃんと。


 おれに。


 ごはんをだせ。


 おれ、ねっこ。


 そして。


 このいえで。


 いちばんえらい。

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