おれ、ねっこ
おれ、ねっこ。
なまえは、ある。
でも。
にんげんは、おれのことを。
「ねこちゃーん」
ってよぶ。
だから。
たぶん。
おれのなまえは、ねこちゃん。
まあ。
いい。
おれ、ねっこだから。
*
あさ。
にんげんが、おきた。
「んー……」
おそい。
おれは、もうとっくにおきている。
だから。
おれは、にんげんのうえにのる。
「うっ……」
おきた。
よし。
きょうも、おれのかち。
「おもいよぉ……」
しってる。
おれは、ちょっとだけおおきい。
でも。
これは、おれがわるいわけじゃない。
おいしいごはんが。
そこにあるから。
*
にんげんが、へやからでていく。
おれもいく。
「ついてこないでよー」
ついていく。
「トイレだよ?」
しってる。
でも。
にんげんがどこにいくかは。
おれがかんりしなければならない。
おれは、ねっこ。
いえの。
いちばんえらい。
だから。
かんしはひつよう。
*
にんげんが、ごはんをたべている。
おれは、となりにすわる。
じっとみる。
「……だめだよ」
まだ。
じっとみる。
「これ、人間のごはん」
しってる。
でも。
おれもたべたい。
「だめ」
……。
おれは。
ゆっくり。
にんげんのめをみる。
「……その顔してもだめ」
まだだ。
ここから。
おれのほんき。
「……にゃー」
「……」
「にゃ」
「……」
「にゃぁ」
「……ちょっとだけだからね?」
よし。
おれのかち。
*
ひる。
ひなたがある。
おれは、そこにいく。
そして。
ねる。
これは。
しごと。
にんげんは。
「いいなぁ、猫は」
とかいう。
なにをいっている。
おれは、いそがしい。
あさは。
にんげんをおこす。
ごはんをたべる。
にんげんをかんしする。
ひるは。
ひなたをあたためる。
たいへん。
だから。
ねる。
すやぁ。
*
よる。
にんげんが、ねる。
おれは、まだねない。
まず。
いえをみまわる。
きょうも。
だれもいない。
よし。
つぎ。
にんげんをみる。
ねている。
よし。
おれは。
にんげんのところへいく。
「……ん?」
おきた。
でも。
おれはきにしない。
ふとんにはいる。
にんげんのおなかのうえ。
「重い……」
しってる。
でも。
ここが。
いちばんあたたかい。
「どいてぇ……」
どかない。
ここは。
おれのばしょ。
にんげんは。
しばらく。
なにもいわなかった。
そして。
おれのあたまをなでた。
「……おやすみ、ねこちゃん」
おれは。
めをとじる。
まあ。
きょうだけは。
なでさせてやる。
おれ、ねっこ。
きょうも。
にんげんを。
ちゃんと。
かんりした。
えらい。
だから。
もうねる。
おやすみ。
にんげん。
あしたも。
ちゃんと。
おれに。
ごはんをだせ。
おれ、ねっこ。
そして。
このいえで。
いちばんえらい。




