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魔女と哲人王子  作者: フジリナ


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レディ・クラリスと秘密の手紙

フジリナです。

ようやく書き上げました。テーマは、SNS疲れです。27歳の青年ロバートと、500歳の魔女で、1500年代生の魔女である、レディ・クラリスとの文通の記録です。

みなさんは、SNS疲れについてどう思いますか?わたしは、夜にデジタルデトックスを、寝る前に行っています。

 僕は、主要なSNSに疲れている27歳だ。

 仲間同士の悪口、気に入らんやつの悪口や陰口が目立ち、オタ友同士の結束力が強く、仲間はずれにされたり、他人の投稿と芸能人のエンゲージメント数と比べてしまうのだ。

 バズを狙って、キラキラ投稿やお金持ち自慢、そして変わりものや、SNS映えするドリンクや、SNS映えを狙う女子に迎合する姿勢を見ると、とても疲れてしまうのだ。

 また、下品なものもあるし、余計に疲れる。

 僕はそれでも他人とつながりたいから、秘密の手紙を模したマイナーSNSは、あまり推奨されないし、プライバシーの侵害や、女性を相手にした犯罪まがいの行為を行う男たちが、わんさかいるので、僕はあえてやらないのだ。


 秘書のエリカが、僕に手紙を差し出した。どうやら、レディ・クラリスかららしい。

「ロバート様。レディ・クラリスからお手紙が届いてます」

「わかった。じゃあ、開けておくよ。」


 レディ・クラリスからの手紙はこんなものだった―――。


 親愛なるロバートへ

 寒い中元気にしてる?あなたが、ニューヨークのロッジで元気にしているのを聞いて、わたしはとても安心しました。それで、あなたに聞いてほしいことがあるのよ。それが、私の夫についてのことなの。

『ねえ、アルバートのことなんだけれど、うんとおじいさんになって、それかつあまりに頑固になってきて、ロバートの流行りであっても、それで、そんなものはくだらない!と主張するのよ』

『年を取るのは仕方ないのだよ、クラリス。デイビッドとの混血なのだから。デイビッドは人間なのだからね。』(デイビッドこと、デイビッド・マイケルは、僕の父方の曾祖父だ。)

『愛するデイビッドが人間ですって!?まったく、そんなものなのかしら!』

『仕方ないさ、クラリス』

 私の夫の、エドワード卿は、そんなものなのだから。本当にわたしは、旦那があまりに薄情なのだから。本当に嫌になってしまうのだわ。

 ロバート。あなたは、数字に惑わされて、自分を見失っていないか心配なの。

 SNSだとかは、夢がかなって、それで、うれしくなるものだけれども、やはりあなたが相当頑張っている証拠でもあるのよ。だから、がんばってね。がんばるのもいいけれど、休みも入れてね。

 あと、最近見かけた妖精がね、わたしにりんごときのこの収穫をお知らせしてくれるのよ。

『クラリス、りんごの実りはもうすぐ。青いりんごは、まだ若いから、少し硬いもんね。だから、秋になると、赤く熟していって、秋の芳醇な味がするよ。さあ、何にする?りんごのタルト?パイ?』

 とね。あとは、秋のポルチーニの香りも、妖精が伝えてくれるのよ。

 あとは、ブルーベリーで、美味しいジャムを作ったから、ぜひ朝ごはんに食べてね。

                               じゃあね、レディ・クラリス

「おばあちゃんにお手紙出しておくか。えっ〜と…。レターセットも買い出しておくか。」

 僕は、近くの文房具店で、レターセットを買いに行こうかとしたのだ。

 その様子を見た、盟主さまは、そっとハロルドさんに耳打ちをしておいた。

「ハロルド。ロバートのためにレターセットを調達してもらいなさい」

「かしこまりました、盟主さま」

 

 僕はハロルドさんが調達したレターセットで、レディ・クラリスにお手紙を出し始めた。


 拝啓おばあちゃん

 お手紙ありがとう。僕の心がほっこりするようなものだったよ。

 オレは、SNSをやっているけれど、主要なSNSは、やはりよほど外向的な性格の人じゃないとムリだよ。それで、バズっている当行は、ものすごくどうでもいい、いわゆる「面白系」のほうが、めちゃくちゃバズてて、僕が投稿しているもののような、考えさせられるもの系より、ナンセンスなもののほうが、受けるんだね。おばあちゃんが、こないだ書いた、旦那さんの話や、妖精のことや、僕のことを気遣う方が、僕にとっては大事なんだけれど、そっちの方はやはりどうでもいいんだよ。

 某青い鳥系のSNSって、なんでこんなにどうでもいい情報ばかりが、広がってて、なんでささいなことで、感情的になって、「#拡散希望」だなんて出すのかな。

 オレって、人の気持ちとか深読みしすぎるから、たとえSNSでも、しつこくしたら嫌われてしまうかなって…。

 それで、オレは本当のことは、ネットでもテレビでも伝わることはないんだなって思ったんだ。


 3日後に、レディから返事が来た。とてもあたたかみがある文章だ。


 ロバート。あなたは、とてもいい子ね。確かにおどけてて、おかしな写真を見て、おもしろい!って鳴るのはいいことかもしれないけれど、それは小学生の男の子がやることね。面白いけれど、すぐに飽きられちゃうのだし。すぐに、新しいの、新しいのとなる。楽しいことが大好きで、明るい性格の人であれば、いわゆるオタク友達や、おかしな写真を見せて、仲良しっこするのなら、SNSは向いているのかもね。

 でも、あなたは思慮深くて、人の心の痛みがわかる子なんだから、仲良しっ子をしたいのに、気に入らなくて余計なことを言って、傷つくことがないから、いいんじゃない?


 それを読んで、僕はとても気持ちがほぐれた感じがしたのだ。それで、僕は早速、返事を書くことにした。


 芸能人や、ネット上の有名な人と比べてしまうことがあるし、あとはめちゃくちゃお金もち自慢をしてきたり、あとは、SNSでの映えを意識する女子に合わせて、奇抜なデザインとかのドリンクが売れたりして、長い目で見たら、続かないでしょって思う時がある。

 それで、「自然界隈で、教会の緑を楽しんできました!」とか、「影絵ポーズが今若い人に人気」と言うけれど、服装から見てさ、結構派手な格好で、トレンドのデザインだから、「若い人」ではなくて、おそらくはインフルエンサーか、自己主張が強めの人なんだと思う。

 それなのだから、僕は不快に感じることがあるんだ。


 すると、3日後に、僕のもとに手紙が届いた。

 手紙の封筒を開けてみると、赤と白のバラの花びらがあり、あのテューダー・ローズだったのだ。

 それで、花びらの入った封筒には、こんなメッセージがあったのだ…。

「あなたは、うんと深読みする子なんだから、とても思いやりがある子なのね。それだから、うんと感じやすい子なのね。

 それだから、うんと感じやすいと思うの。

 さあ、あなたの心を大事にしなさい。」

 僕は、うれしさのあまり、涙を流したのだった…。

フジリナです。

SNS疲れについて、ご覧になれましたか?

夜の読書にどうぞ。

では。

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