バトル、始まる
フジリナです。
この長編シリーズが終わるまで、あと1編を予定しています。
僕は、目の前の敵に手のひらを向けた。僕の手のひらにペンタグラムが宿る。
「なに!?お前も、あの一派だったのか―――!?」と科学者の男。
「そう言われても知らんがな!」と僕。
科学者の男は、僕の手のひらに宿った、ペンタグラムを見て、何かを思い出したようだ。
「あの手のひらのマーク…。フリーメイソンの、哲人王子の印だな!」
哲人王子の印?
全く僕はそういうのを知らなかったのだ。
「あのマークはね、僕の生命そのものなんだよ!」
「僕は、カリフォルニア州で、何度も火災に見舞われたけれど、そのおかげで、この魔法と、魔力が宿ったんだ!」
そう、僕の魔法と言えば、「加州の炎」だ。
「おらあ!」
僕の手のひらから、エネルギーと魔法の炎が放出されていく。
後は、レディ・クラリス由来の、氷の魔法も出てきたのだ。
「まさか、この哲人王子の伝承を聞いたぞ…。」と科学者の男。
その科学者の男が、聞いた哲人王子と哲人王の伝承がこうだ。
この世が泥のような混沌に陥る時、
光を宿し青年現れるなり。
アテナイ人たちはその青年を、
アポロとゼウスの住みし神の御倉にて、
生まれし奇跡と呼ぶ。
オリンポスで育てられ、
王の寵愛と宰相と魔女の愛を受けし男、
魔法を携えて民を導かん。
「という詩歌を聞いたことがあるぞ!これは奇跡だ!私はお前が欲しいのだ!」
科学者は銃や、科学技術で作られた兵器を持ってきた。
「いいや。僕はお前の指図には従わない!」
僕は、炎の魔法を科学者に差し向けた。
科学者は、電子銃で応戦するものの、ティムとマシューが、
「副長官、私達も助太刀しますよ!」と言い、リボルバーを引いて、撃ってきたのだ。
「アンタには負けないからな!」と僕。
時折、迷路のような研究所の中で突っ走って、僕やティム、マシューが銃を撃ったり、魔法の炎をボムにして打ち込んだことがあったのだ。
「哲人王子、ロバート!お前は、やはりクラリス王女と、セシル公爵の子孫だな!それ故の、強い魔力だな!」と科学者は、僕に電子の輪を向けて、拘束したのだ。
「くっ―――!」僕が身動きが取れなくなると、僕の意識は飛んでしまった…。
幼少期の記憶が、ふと蘇った。数年前に亡くなった、僕の祖父のかつての上司の、ヘンリー・キッシンジャーが、4歳の僕を抱きしめて、優しく語りかけていたのだ…。
「ロバート。世界というのは、難しいんだよ。そう、自分に都合のいい展開が来るというのは、それはね、ヒトラーが独裁をしているのと同じなんだ。自分に都合のいい、美味しい思いをするやつは、必ず、自滅するんだよ。」
と老いたヘンリー・キッシンジャーさんは、僕に語りかけていた。
「どうして、美味しい思いをする人たちは、いなくなっちゃうの?正義のヒーローも同じかな?」
「そうかもしれんな。正義のヒーローだって、多くのヴィランという犠牲を生んで、街の平和を守っているんだ。ヴィランと呼ばれた人たちだって、家族や帰る家があったからね。」
「そうなんだね。」
「あと、原爆もね、それでもたらされたからね。残念なことに。」
「そっか…。日本の人たちも、帰る家があったというのに。」
「そうなんだよ。それを、忘れないでほしいよ。」
数々の外交の舞台や、戦争を経験した人だから、そういうことが言えるんだよね。
やはり、正義のヒーローというのは、虚構でしかないんだよな。
でも、目の前の家族に危害を加える、存在がいることを、忘れてはいけない。
立ち上がるんだ。
僕は、拘束用の電子の輪を力ずくで解いたのだ!
「待ってろよ、キッシンジャーさん!おじいちゃんも、あなたのそばで、あなたを支えたんだから!今度は、僕の番だ!」
また、お会いしましょう!




