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魔女と哲人王子  作者: フジリナ
第二部・王子と世界編

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85/88

バトル、始まる

フジリナです。

この長編シリーズが終わるまで、あと1編を予定しています。

 僕は、目の前の敵に手のひらを向けた。僕の手のひらにペンタグラムが宿る。

「なに!?お前も、あの一派だったのか―――!?」と科学者の男。

「そう言われても知らんがな!」と僕。


 科学者の男は、僕の手のひらに宿った、ペンタグラムを見て、何かを思い出したようだ。


「あの手のひらのマーク…。フリーメイソンの、哲人王子の印だな!」


 哲人王子の印?

 全く僕はそういうのを知らなかったのだ。

「あのマークはね、僕の生命そのものなんだよ!」


「僕は、カリフォルニア州で、何度も火災に見舞われたけれど、そのおかげで、この魔法と、魔力が宿ったんだ!」


 そう、僕の魔法と言えば、「加州の炎」だ。

 

「おらあ!」


 僕の手のひらから、エネルギーと魔法の炎が放出されていく。

 後は、レディ・クラリス由来の、氷の魔法も出てきたのだ。


「まさか、この哲人王子の伝承を聞いたぞ…。」と科学者の男。


 その科学者の男が、聞いた哲人王子と哲人王の伝承がこうだ。


 この世が泥のような混沌に陥る時、

 光を宿し青年現れるなり。

 アテナイ人たちはその青年を、

 アポロとゼウスの住みし神の御倉にて、

 生まれし奇跡と呼ぶ。

 オリンポスで育てられ、

 王の寵愛と宰相と魔女の愛を受けし男、

 魔法を携えて民を導かん。


「という詩歌を聞いたことがあるぞ!これは奇跡だ!私はお前が欲しいのだ!」

 科学者は銃や、科学技術で作られた兵器を持ってきた。


「いいや。僕はお前の指図には従わない!」


 僕は、炎の魔法を科学者に差し向けた。

 科学者は、電子銃で応戦するものの、ティムとマシューが、

「副長官、私達も助太刀しますよ!」と言い、リボルバーを引いて、撃ってきたのだ。


「アンタには負けないからな!」と僕。


 時折、迷路のような研究所の中で突っ走って、僕やティム、マシューが銃を撃ったり、魔法の炎をボムにして打ち込んだことがあったのだ。


「哲人王子、ロバート!お前は、やはりクラリス王女と、セシル公爵の子孫だな!それ故の、強い魔力だな!」と科学者は、僕に電子の輪を向けて、拘束したのだ。


「くっ―――!」僕が身動きが取れなくなると、僕の意識は飛んでしまった…。


 幼少期の記憶が、ふと蘇った。数年前に亡くなった、僕の祖父のかつての上司の、ヘンリー・キッシンジャーが、4歳の僕を抱きしめて、優しく語りかけていたのだ…。


「ロバート。世界というのは、難しいんだよ。そう、自分に都合のいい展開が来るというのは、それはね、ヒトラーが独裁をしているのと同じなんだ。自分に都合のいい、美味しい思いをするやつは、必ず、自滅するんだよ。」

 と老いたヘンリー・キッシンジャーさんは、僕に語りかけていた。


「どうして、美味しい思いをする人たちは、いなくなっちゃうの?正義のヒーローも同じかな?」


「そうかもしれんな。正義のヒーローだって、多くのヴィランという犠牲を生んで、街の平和を守っているんだ。ヴィランと呼ばれた人たちだって、家族や帰る家があったからね。」


「そうなんだね。」


「あと、原爆もね、それでもたらされたからね。残念なことに。」


「そっか…。日本の人たちも、帰る家があったというのに。」


「そうなんだよ。それを、忘れないでほしいよ。」


 数々の外交の舞台や、戦争を経験した人だから、そういうことが言えるんだよね。

 やはり、正義のヒーローというのは、虚構でしかないんだよな。

 でも、目の前の家族に危害を加える、存在がいることを、忘れてはいけない。


 立ち上がるんだ。


 僕は、拘束用の電子の輪を力ずくで解いたのだ!


「待ってろよ、キッシンジャーさん!おじいちゃんも、あなたのそばで、あなたを支えたんだから!今度は、僕の番だ!」

また、お会いしましょう!

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