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魔女と哲人王子  作者: フジリナ
第二部・王子と世界編

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イスラエルの古代遺跡

フジリナです。

フリーメイソンがなぜ、哲人王を欲するのかの核心に迫るお話です。

 僕は、イスラエルの古代遺跡へと旅立った。そう、なぜこの世に哲人王が必要なのか、そして、僕が悪魔を狩るという意味を、調べに行くためだ。

 イスラエルのエルサレムの地下にある古代遺跡。そこは、聖書時代に作られた、お墓なのらしいが、侵入者や盗掘を避けるための、手の込んだトラップが、数多くあり、それで僕と、盟主さま、そしてレディ・クラリスも何かと苦戦したのだ。

「哲人王が、なぜこの世の中に必要なのか。…その答えは、エルサレムにあるはずよ。私は、エリザベスとメアリという姉がいたから、余計に感じるのですが、乱世を鎮めるためだと、姉のエリザベスの宰相を務めた、セシル家の当主から聞きましたわ。十字軍遠征の際に、哲人王という概念が、イングランドにもたらされたのです。」とレディ・クラリスは、懐中電灯を持ちながら言った。

「そうなの、おばあちゃん…。確かさ、中世のヨーロッパって、教会による極端な支配が進んでいたはずなのでは…。」

 僕はおぼろげな歴史の知識を交えながら言った。

「そうなのよ。教会による支配は、ますます民衆を苦しめたわ。そう、私も例外ではなかった。私は敬虔なキリスト教徒である、姉のメアリ一世によって、火あぶりの刑にされそうだったのよ。でも、妹を殺すというのは、たとえ、異母姉妹であってもできないと思ったのか、姉は見逃してくれたのよ。」

 レディ・クラリスは、複雑な表情で僕に言う。

「そうなんだね…。」

「そう、ロバート。セシル家は、哲人王を輩出できるように、フリーメイソンという組織を立ち上げたのだよ。アメリカという国家は、その実験装置という役割なのだ。…教会による支配は、やがて聖職者でさえも、堕落という側面を持ってしまったのだ。」と盟主さま。

 

 最奥に進むと、そこには、王様と王妃の棺があったのだ。当然、中は重いのと、死者の尊厳のため、開けることはできない。

 棺のそばには、石像が置いてあった。古代ユダヤかなんかの王様と王妃の石像らしい。時代はおそらくは、ソロモン王の時代で、ちょうど古代イスラエル王国の時代らしい。

 すると、僕そっくりな悪魔でもある、闇の王こと、ナセルがやってきた。

「ロバートさま!ようやく、ここにたどり着きましたか!ではでは、この石像にお祈りを捧げてください!」

 とハイテンションでナセルは煽った。

 何を考えているんだ、こいつは。悪魔のくせに。

 僕が、祈りを捧げると、石像が光って、幻影が現れた。それは、とても賢そうな古代ユダヤの王様と、どこかよその王国の女王様がおられたのだ。

「君がロバートというのか。私は、ソロモン。」とソロモン王。

「ようやく来てくれたわね、ロバート。」と女王様。もしや、シバの女王か。

「あの、僕はこの世界に、なぜ哲人王が必要なのか、そしてなぜ悪魔を僕が狩る必要があるのかを、知りたいんです!」

 僕はようやく、思いを打ち明けることができたのだ。

 すると、ソロモン王はおっしゃった。

「…なるほど、それは面白い問いだ。…なぜかというと、人間は文明を築くたびに、水や食料を欲するのだ。そのエネルギーが枯渇し、なおかつ、人間が文明を築くようになると、無限の欲望が湧いてくる。だが、その欲望に対して、資源というのは、とても有限なのだ。そのときに、欲望に負けると、文明と王国はやがて滅びの時を迎える。その滅びへの抑止力と、そしてギリシアの哲学者が問いた、徳を積めるように、哲人王というのは必要なのだよ。現代は、まさに、欲望が、無限どころか、宇宙にまで広がっていき、政治家がますます欲望を煽ってしまっている状況なのだ。」

 そういうことだったのか。

「あなたは、無欲であり純粋な存在ゆえに、真理から選ばれたのよ」とシバの女王さま。


 僕は帰り際に、哲人王子としての自覚を、改めて持ち始めたのだった…。

またお会いしましょう!

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