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魔女と哲人王子  作者: フジリナ
第二部・王子と世界編

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52/75

アイオワのテロ事件

フジリナです。

アイオワシティでの硝煙編です。ロバートはどう事件と向き合うのでしょうか。

 僕がグラウンドロッジの、豪華な居間にて休んでいると、CIAの秘密回線のスマホが鳴った。どうやら、警報系のプッシュ通知のようだ。

「緊急警報、緊急警報!アイオワシティで銃撃事件!テロリストの要求は、身代金の要求とのこと!」と女性のオペレーターの声。

「じゃあ、オペレーションルームに行くよ!」

 僕は、すぐにオペレーションルームに向かい、ヘッドセットを取り付けることにしたのだ。オペレーションルームは、デスクトップPCと、たくさんのモニターがある部屋で、全世界の現場が見れるのだ。

「アイオワシティに、エージェントを派遣してくれ!あと、文民の保護にも、勤めなさい!」と僕は、エージェントの派遣を命令した。特殊部隊の派遣も急いでやることにした。

「特殊部隊も派遣しておくれ!!」と僕は命令したのだ。

「エージェント、Aチーム了解!」とヘッドセットの音声。

 

 モニターの様子では、アイオワシティが硝煙に包まれ、多くの市民が逃げ惑っていた。

「地元の警察に、避難を誘導して!群衆雪崩が来ると、危ないから!」と僕。なにせ、梨泰院の事故も同様なのだ。

「了解!」

 現場は、ショッピングモールで起きていて、急に銃撃の音がして、買い物中の市民を襲ったのだ。

「やばいな…。ソフトターゲットがまさに、ショッピングモールだしな。」と僕。

 すると、盟主がやってきた。

「ロバート。オペレーションの具合はどうかな?」

「どうするかわからなくなってきた。」

 僕は迷っていた。テロリストから市民を守らないといけないけれど、市民の泣き顔と、犠牲になった人たちとその家族の涙は見たくない。けれど、テロリストであっても、帰る家や、愛する家族もいるはずだ。なのに、僕の命令一つで、テロリストを射殺して、なおかつ、市民の期待に答えなきゃいけない。

 僕はどうしたらいいんだ。

「…」

 僕は辛くなってしまった。

「副長官、オーダーを!」

「…テロリストたちを、生かせ。説得に応じるのなら、たとえ重罪判決が出ても、刑務所でやり直せるようにしなさい。もし、応じないのなら、容赦はするな。」

「了解!」


 そして、日本人の保護も行わなければいけいない。日本の新聞社に勤める、小林記者と林原記者が、邦人保護の動きに協力してくれるみたいなので、よかった。ちなみに、彼らは僕の友人なのだ。

「小林さん、林原さん!現地日本人の状況は?」

「――いまのところ、全員無事です」と林原さんの声が。林原亜希子さんという、女性の記者なのだ。

「じゃあ、鎮圧に向かうよ!」


「交渉は進んでいるか?」と僕は交渉役のエージェントに尋ねる。

「いまのところ、テロリストたちは頑なです。要求が通らない限りは、決して銃を下げないと。」

「なら。――田舎の母さんが、泣いてもいいのかと。」僕は感情に訴える作戦を取る。

「――だめです。自分たちは、母親に虐待されて育ったので、母の愛など、知らないと。」

 やはり、頑なだ。テロリストたちは悲哀と心の貧困に苛まれているみたいだ。

「…わかった。なら、テロリストたちに訴える。…自分たちが望んでいるのは、生か死か。」と僕。

「――死にたいそうです。」

「じゃあ、やりなさい…。」僕は、救えなかった後悔を胸に秘めて、そう命令するしかなかった…。

 やるせない思い。僕は、なんて家族にも言えない罪を犯したんだ。本当に…。これでいいのか…?母さん、ごめん。


「おじいちゃん。てろりすとって、みんな悪い人なの?」

 ふと、幼い頃を思い出した。僕が2001年、9月11日のあの日のことを尋ねたのだ。議員の祖父は、優しく言う。

「そうとは限らないよ、ボビー。お国の人が守っているんだから」

「そのお国の人が守ったとしても、お父さんお母さんのもとへ帰れなかったらどうするの…。」

「それは難しい質問だな。」


 じいちゃん…。僕は、じいちゃんとの約束を果たせなかった。ごめんなさい…。

「ロバート。お前は、テロリストでさえも、後悔をしてしまう優しさがあるのだから、お前を、CIA副長官にしたのだよ」と盟主さまは言う。

 僕は、一生分の後悔をするだろう…。

 アイオワシティの硝煙は消えたのだが、果てしない後悔と、罪を背負っていくと、僕は決めたのだ。

またお会いしましょう。

ぜひ、ブクマとコメントをよろしくお願いします。

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