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魔女と哲人王子  作者: フジリナ


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現代のマクベス

フジリナです。

このお話は、ウィリアム・シェイクスピアの「マクベス」を、現代のイギリスで起きたらどうなるのかを、想像しながら、書きました。ですが、シェイクスピアはけっこう難解な内容なので、難しかったらごめんなさい。ですが、うんとわかりやすく書いたつもりです。

2025年8月25日

 僕は、スコットランドの小さな町で事件が起きたのを、テレビ局の報道で知った。ニューヨークグランドロッジの豪華な居間にある、テレビでは、女性アナウンサーが淡々とした声でニュースが読み上げられていたのだ。

「9時のニュースです。イギリス、スコットランドのエディンバラ近郊にある、リビングストンの市長のダンカン・ヤロス氏が、先日ホテルにて、遺体で発見されました。警察は、周囲の状況から、殺人事件として捜査しています。――中継です、ジョンさん。」と女性アナウンサー。

 ジョンと名乗るリポーターが、殺人事件の現場になったホテルの前で、報告を行っていた。この状況は、やはり、ただの殺人事件じゃなさそうだ。

「はい。ダンカン・ヤロス氏が殺害された事件で、スコットランド・ヤードは、周囲の人物による犯行と見て、調べています。ダンカン・ヤロス氏は、リビングストンではとても信頼できる市長で、市民によると、とても温厚で、市民からの信頼が厚くて、今回の事件で、衝撃を受けているとわかりました。…」

 まさか、あんな事件が起きるとは思わなかった。僕は、この事件は、ヤロス氏のことが気に食わない人物がいて、市長の座を狙っているとしか思えないのだ。

「こういうのさ、なんかマクベスというので聞いたことがあるなあ。これさ、なんか既視感があるんだけど。」と僕。

 シェイクスピア劇は、やはり内容だとかが濃すぎて、時代を超えて読みつがれているものの、一般人には難解な内容かも知れない。ただ、劇の内容をそのままコピー・ペーストして、なおかつそれを題材にするだけでは、一般人には受け入れられないだけかも知れない。けれど、先代のイギリスの女王様は、夫君と、シェイクスピアが複数人いるとか(というのも、インターネットがない時代、色んな国を舞台にできる物語をかけるわけがないからだ)、あとは別人なんじゃないかという説を、議論していたぐらい、シェイクスピアというのは、どちらかというと、一般人というよりかは、貴族や王様が読むものという感覚なのかも知れない。

 歴史的にも、王室の方々に気に入られているというのを知っているから、近寄りがたい印象を受けるのかも知れない。

「マクベスでさ、下剋上というのは聞いたことあるんだけど」と僕。

 すると、ダンカン・ヤロス氏を殺し屋を使って、殺害した疑惑があるのは、やはりリビングストンの副市長である、マックス・ケイリー氏が、テレビに出演し、

「私は、彼を尊敬してます。彼を殺害した不届き者を逮捕させてほしい」と主張。殺害については否認。

「おい、父親を殺害したのに、『犯人を探せ!』と大声で言ってる割には、睨まれるという、オイディプス王じゃんか。」

 僕はそうつぶやくだけだった。どうして、オイディプス王の例えを使ったと言うと、神話では、父親のライオスを殺害したのに、母のイオカステーと結婚し、スフィンクスという怪物を討伐したのに、オイディプス王が治める国で、災いが起きていて、その原因は、「ライオス王を殺害した不届き者がいる」と家来から言われて、自分で手をかけたくせに、「犯人を探せ」と主張する。これはさすがに、「自分がやりました」と平気で自白しているのと同等だ。

「ロバート。この事件は、レディ・クラリスからの依頼だから、現地に赴いて、捜査してきなさい。」と盟主さまはそう言うと、紅茶を飲まれる。

 

 …


 その後に、急きょ選挙もなく、マックス・ケイリー氏が市長になったのだ。その市長になった途端に、側近が次々となんの正当性なき理由で、更迭されていき、それかつ市政も停滞してしまったのだ。市政の停滞と言えば、ゴミ収集も止まってしまい、そして学校も休校になり、子どもたちの教育を受ける権利でさえも、停滞してしまった。

 僕達は、急きょ航空券を予約して、現地へと向かった。

「これさ、完全に独裁者になっているね。」と僕。僕は、レディ・クラリスと盟主さまとともに、現地を視察して、荒廃した町の中を歩いていたのだ。

「これはひどい。」と僕。

「これは…完全に裏目に出てしまったわね。」とレディ・クラリス。「あの女のせいよ。」

「あの女?」

「マックス・ケイリー夫人こと、ミセス・ケイリーよ。ミセス・ケイリーは、あまりに軟弱な夫に対して、市長になることを強く勧めたそうよ。だけど、場合によっては、殺人ほう助になりうるわね。」レディ・クラリスは、ため息を付く。たしかに、いくら市長の座を得るために、強く勧めたとしても、殺害するように強く教唆すると、これは完全に、殺人ほう助になりうるのだ。

「それは、確かに。」と僕。


 …


 スコットランド・ヤードの捜査によると、そういう記録が、市職員のICレコーダーで、確認できたのだ。

 その音声がこちら。

「あなた。ダンカンという市長を、ぶちのめせばいいのよ!」

「そんなことできないよ。あんなやつなんかさ、温厚なんだし、わたしにはムリだ。」

「何を言っているの!市長になるにあたっては、あなたしかいないのよ!それなら、国の政治家にもなれるのよ!!」

 全く持って、彼女の尋常じゃない野心が丸見えだ。

「これは、全く持ってひどすぎるな。本当にさ、なぜこんなことをしでかしてまで、欲望をあらわにしたのだろうか。」

 ただ、僕には意味がわからなかったのだ。

「そうね。」


 …


 その後、マックス・ケイリー氏は不正事件やヤロス氏に関する、殺害指示疑惑によって、市長の座を降りられてしまった。百日天下ならぬ、一日天下だった。

 すぐに警察に逮捕されて、取り調べによると、

「妻にそそのかされた」と供述した。

 また、ミセス・ケイリーは、殺人ほう助の罪でも逮捕されたのだった…。

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