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魔女と哲人王子  作者: フジリナ


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盟主さまと衝突

こんにちは、フジリナです。

今回のお話は、盟主さまとの大喧嘩のはなしです。

一度は、家族や友達やネット上のフォロワーなどと衝突し合うことはありましたか?私は、人生に何度かありますし、みなさんは誰しも経験します。

そんな不器用なロバートと盟主様のお話。

2025年8月18日

 僕は、盟主さまと大喧嘩した。

「盟主さまなんか、僕のこと、あまりわかっていない!おまえみたいな、サイコパスに、僕の気持ちなんか、わかるわけないんだ!」

 僕は烈火の如く、激怒したのだ。どうして、激怒したかと言うと、あまりに普通の状況から、立場が変わりすぎて、なおかつ、僕はいままで「ごく普通の男性」として過ごせていたのが、いつしか、「哲人王」の後継者である、「哲人王子」という称号を与えられて、世の中から隔離されてしまい、メイソンの兄弟たちから、「あなたは特別なのですから、外界から出てはいけません。外界は非常に汚れています」と言われて、閉じ込められていくからだ。その夢というのが、哲人王子ではなく、ただ小説家になるのが、僕の夢だったのだ。

「なんで、オレが小説家になって、ベストセラーになるの、許してくれないんだよ!!」

 僕は、居間で涙を流しながら、怒って叫ぶ。

「おまえは、とても繊細なのと、なおかつ些末なことで注目を浴びてはいけないんだ。」

「そんなことよりかは、僕は、夢を叶えたいんだよ!なんでだよ!!」

「おまえは、夢を叶えるのなら、哲人王子でもあり、なおかつニューヨークの地方銀行をやめて、中央銀行の総裁になることなのだ。」

 盟主さまは、固く譲らなかったのだ。

「なんで、オレは出世せざるを得ないんだ!出世なんか、僕は望んでいないんだよ!ゴルフもしたくないのだし!」

 紳士方のゴルフなんて、ただの「お世辞テロ」なだけだ。ひたすら、忖度しあって、お世辞をしあって不正が生まれる。「バイトテロ」ならぬ、「お世辞テロ」。はたまた、「忖度テロ」でも可。僕達Z世代、ないしはミレニアル世代にとっては、経営者になって、ゴルフをし合うなんて、もってのほかだ。

「ゴルフはね、とても重要な会合のひとつなのだよ、ロバート。何に怒っているんだ、ロバート。」

 盟主さまは、優しくなだめたとしても、僕にとっては、あまりに許されないものなのだ。

「僕はもう大人!子どもじゃないんだ!!」

 僕は、そう反発したのだ。26歳は立派な大人であり、年長者にも認められるべき年齢なのだ。

「ロバート様、まだあなたは若いのです。26歳ともいえども、あなたは年長者でもなく、まだ伸びしろがあります。」と65歳のエマニュエル・ハロルド。

「そんなことなんかない!!もうさ…いいや、もう!!」

 僕はブチギレて、更にこう言い出した。

「別れよう、さようなら」

 と言い、公園に出ていった。


 夕方のセントラルパーク。怒って出ていった僕は、公園のベンチに座って、空を眺めていた。周囲の公園にいる人達は、未だに僕の複雑な状況がわからないのかわからないのか、悠々自適に過ごしていたのだ。タンクトップ姿で、ワイヤレスイヤホンをして走っているランナーと、学校帰りと会社帰りの人たちが、お散歩をしたり、あとはおしゃべりをしていたのだ。

「オレの状況なんかわからないだろ…。」

 哲人王子として、ただただ、社会から隔離されて、勉強ばかりさせられていて、オンライン講義では、大学教授の哲学と現代地政学などをひたすら習わされる。

「そんなの、わかりっこないやん。フリーメイソンという組織は、公開されている秘密結社とは言えども、あまりオープンにしてないところがあるからな。」

 それで、あまりに常識が通じない世界で、たったひとり、同世代の男子と同じ常識が通じあえる人がいない中、僕はただひたすら、フリーメイソンという異常な環境下で、不条理な試練やそれかつ、理不尽な目に遭ったり、あとは現代の常識で言ったら、ほぼパワハラとしか思えない行為をされたりと、めちゃくちゃなことになっている。

 オレの状況自体が、もう普通じゃないんだよな。なんだこれ。もう…。何してくれているんだ。

 すると、チリンという鈴の音がして、公園にいた人たちが、ざわめき始めた。

「この人さ、フリーメイソンの…?」

「すごく、高貴なお方じゃないのか?」


 そう、盟主さまのお成りだ。

「ロバート。誤解を生むようなことをしてしまった。私はただ、おまえが立派な世界のリーダーになれることを、祈って、育成計画をしていただけなのだ。」

「でもオレは、よほど自信過剰な人じゃないとさ、世界のリーダーになんかなれないよ。」

 僕は、よく見かける世界のリーダーと称している人たちを見て、こう思っていたのだ。

「僕みたいな、おとなしいのは、なれないじゃないか。だって、ユリウス・カエサルも、ナポレオン・ボナパルトも、めちゃくちゃ野心なリーダーで、自信過剰で、なおかつ『自分が皇帝じゃないと気がすまない』と言うやつじゃんか。」

 盟主さまは、じっと僕を見つめていた。

「いいか」

「ユリウス・カエサルも、ナポレオン・ボナパルトも、悲劇的な末路を辿っている。ユリウス・カエサルは、独裁者になった後に、あまりに横柄で、独裁的すぎて、あのブルータスに殺害されてしまったのだ。『ブルータス、おまえもか!』というのが、有名だろう。そのぐらいは、おまえは知っているだろう。あと、ナポレオン・ボナパルトは、1812年のロシアの戦争後に、ブルボンの復位前に、百日天下という形で、一度は美味しい思いを味わったのだが、最終的には、セントヘレナ島に流されたんだぞ。本当に、すばらしい世界的な指導者は、お前のように、内省をして、自分のことを客観的に見つめて、なおかつ内気なやつが目立つんだ。素晴らしい素質があるのだから、お前は、このまま信念を貫け。事なかれ主義や、保守的なやつに流されるな。かといって、革新的すぎるな。革新の運動は、行き過ぎてしまうと、自分を見失ってしまい、ただ暴走してしまうだけなのだぞ。」

「はい…。」

 盟主は僕に父としての愛を僕に分け与えていただけなのだ…。

 盟主さまの、その不器用な愛は、僕を支える、大きな柱なのだった…。

いかがでしたか?

反抗しても、反抗してもやがてわかる、盟主様の愛をふみしめた、ロバート。

明日はどんな展開が待っているでしょうか。では。

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