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魔女と哲人王子  作者: フジリナ


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スマートウォッチと覚醒

フジリナです。この作品を手にとって、何がウソで、何が本当なのかがわからない世の中を通して、先行きが見通せない世の中を観察し、その本質を探っていただけると幸いです。

2025年8月11日

 僕のスマートウォッチで健康生活が始まったが、盟主さまのお顔がまた浮かんで、もはやお祓いもできない。

 僕は、スマートウォッチをはめた上で、散歩に出かけた。夏なので、暑さが比較的落ち着いている、朝の時間帯に、散歩をすることにしたのだ。

「少し涼しいな。」と僕。「蒸すけれど、運動したほうがいいかもね。」

 セントラルパークのもとへ向かうと、僕のスマートウォッチがバイブして、盟主さまのお顔が、浮かんで、ニヤニヤと笑って、こっちを見ていたのだ。

「ロバートよ。」と人を食った笑みを浮かべる盟主さま。「まさに、おまえは真理の腕輪をつけられていたから、わたしとの契約については不動のものとなったのだ。さあ、ロバート…」

「あのさ、言っておくけれど。お祓いをして、この呪いのスマートウォッチを外したいんだけれど。」

「それは、無駄なことである、ロバート。フフ、おまえの真理の腕輪は、外れることなぞ、ないに等しい。」

「…もうさ、いい加減にしてほしいよ。ねえ、お祓いすらもできないってこと?」

 僕は、大幣を作ろうとしたのだが…。

「まさに、これこそ、私の真理の力を強めるものである!ハハハハ!」

 僕は、呪いのスマートウォッチと化した、スマートウォッチを、家電量販店で見てもらうことにしたのだ。

「すみません…。」と僕。

 事情を説明した上で、僕は家電量販店の店員に打ち明けていった。

「腕から外すことはできますか?」

「はい…」

 僕は、店員の指示通りに腕から外して見ようとした。ただ、腕からなかなか離れない。

「ふん!!」僕は腕からなんとか外そうとした。

「えっ!?スマートウォッチで、あんなに外れないのか!?」と店員。「非常に強力な接着剤でもあるのか!?」

 非常に強力な接着剤なんかない。めちゃくちゃ…何かの力によって、外れなくなっているのだ。そうなっているのは、魔法使いによる力だというのは、いささか信じがたいだろう。

「クスクス…」とスマートウォッチから盟主さまの笑い声が…。

「ロバートよ。このスマートウォッチは、真理の腕輪となっている。しからば、このスマートウォッチに追加されている機能を見よ!」

 その機能というのは、「真理の物語アプリ」というのと、「心拍数刻みアプリ」というのがあったのだ…。

「これは、本来の機能じゃないのがあるから、正規品じゃないですね。」と店員から、突き放された態度をとられてしまったのだ…。

 いままで常識――コモンセンス――がまかり通っていたのだが、何もかも非常識で、おかしなことが起きることに、僕はうんと失望してしまったのだった…。

 僕の携帯に、「マクベス王が復活してしまった。怨霊を討伐せよ」と、通知が来たのだ。

 その通知というのは、「真理の物語」アプリという、フリーメイソンのアプリなのだ。僕は、イギリス、スコットランドのもとへと向かった。

 スコットランドでは、荒れ地にある墓場にて、2つの黒い影があり、恨みがこもった表情と、あとは果てしない憎悪が、僕にも伝わってきたのだ。たった一人、レディ・クラリスが、挑んでいたのだ。レディであっても、このふたりには、叶わないのだ。

「クラリス王女よ」とマクベス。「おまえは、慢心しているのではないのか?イングランド王の娘で、その『王の通力』を持ってたとしても、この慢心さは、王女としてはふさわしくないのではないのか?」

「あなたは、私達の恨みをなんだと思っているの…!?私は野望を叶えたと思いきや、急に王国が砂のように、崩れてしまって、そのさなかで、私達は野望を叶えることはできなかったのよ!!」

「…」レディ・クラリスはうなだれていた。

「おばあちゃん!もう、無理しなくていいから!ほら、行こう!」僕は、レディ・クラリスを気遣ったのだ。

「だけど、どうしても…討伐しなきゃ」

 すると、スマートウォッチから、「光」が解き放たれて、ふたりを包んでいたのだ…。

 

 … 


 僕の記憶では、カリフォルニアの山火事が発生して、消防車のサイレン、放水する航空機の轟音や、燃え盛る炎、そして、炎に包まれているのか、サンフランシスコの街が、オレンジ色に包まれていたのだ。高校時代、夕方になって、山火事の炎の勢いが増していく中、先生から、

「今日の授業はもう終わりにしましょう!さあ、家族の皆さんに呼びかけて、逃げてください!」と言われて、僕は荷物を持って、サンフランシスコの実家に飛び帰った。

「おじいちゃん、おばあちゃん!早く、逃げて!」と高齢の祖父母に呼びかけて、すべての荷物をまとめてから、手を引いて逃げていったのだ。しかし、あまりにゆっくりで、追いついていけない。

 やはり、あまりに火の勢いが早すぎるので、足腰の弱い祖母を背負って、祖父の手を引いて逃げていった。消防車のサイレンが鳴り響いて、放水する航空機のガラガラという轟音が鳴り響いていた。

 人々をなんとかかき分けて、逃げていき、

「おばあちゃん、おじいちゃん!もうすぐ、安全なところに行くからね!」と高校生の僕。

 安全な場所に逃げていても、ソーシャルメディアでは、

「誰かが放火した」

「やはり、誰かの仕業だ」

 という、不安からか、怒りのあまり、陰謀論を撒き散らす人々も。

 燃え尽きた後、多くの人々が、家財と大切な人を失い、泣き出して、家族や近しい人を抱きしめて、悲しむ人々…。

 子どもたちは、泣き出してしまい、親に抱きかかえられていた…。


 …


 カリフォルニアの人たちの思いを、おもむろにしたくない…。

 

 いま苦しんでいる、おばあちゃんを、助けたい…。


 爆ぜろ。爆ぜろ!!


 カリフォルニアの火で、毒を以て毒を制せ!!


 … 



 それに伴い、僕は、魔力を覚醒させていた…。

「おおおおおおおおおおお!!」

 僕の曾祖母でもある、レディ・クラリスの魔力と、故郷のカリフォルニアの記憶から、業火の炎の魔法が出たのだ…!!爆発的に燃え盛ると、マクベス夫妻は、断末魔の叫びを出してしまったのだ…。

 マクベス夫妻は、清めの炎の魔法に、苛まれたのか、燃え尽きてしまったのだった…。

「おばあちゃん、いますぐ、病院に行こう!」と言い、僕はレディ・クラリスを背負って、すぐに魔女の里へと向かったのだった…。

 そして、スマートウォッチが、「真理の腕輪」として、マクベス夫妻の怨霊の討伐に役に立ったのだ。

フジリナです。

いかがでしたか?では、またお会いしましょう。

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