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魔女と哲人王子  作者: フジリナ


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番外短編・コーヒースタンドでの怪奇事件

フジリナです。

どこかで見たことのある、コーヒースタンドでの事件の話を書きました。

冬のひとときをお忘れなく。

 ある日僕は、小説を執筆していて、窓から見える、ニューヨークの雪景色を見ていたのだ。秘書のエリカから、スタバのモバイルオーダーしたカフェモカを受け取った。

「ロバートさま、カフェモカにございます」

「うん。あとでさ、モバイルオーダーのレシート渡すから、経費にも出させてね」と僕はエリカに言う。

「かしこまりました。」

 その日の夜、僕はヨランダからビデオチャットで話をすることに。最近ヨランダは、小学校教師の仕事が順調で、ついこないだ卒業する子どもたちから、「ヨランダ先生、ありがとう」と言われたそうだ。

「ヨランダ、元気かな?」と僕。

「ええ、元気よ。コーヒースタンドのメニューで、ホリデーシーズンのがあるって、ママが言ってたわ。」とヨランダ。コーヒースタンドのメニューの画面を共有する。

「へー、いいじゃんか。」と僕。

「それでさ、サラリーマンのおじさんと、学生たちが結構話をしてたって、ママが言ってたわ。」と微笑むヨランダ。

その後に、僕はロッジの仲間たちとともに、語り合いながら、夜寝ることにした。

(明日、どうなるか楽しみだな…。)

 明日は、少し小雪が降る予報が出ているのだ。ニューヨークの雪景色はさぞ美しいだろう。


 だが、その翌日に、事件が発生した。僕が朝起きて、朝食の準備をすると、一本の電話がけたましく鳴った。その電話は、ニューヨークのグランドロッジと、ニューヨーク中央銀行の総裁の回線なのだ。

「はい、ロバートです。」

――もしもし、ロバートちゃん?運営会社の方から電話があって、お客様が取り残されて、ご家族の方が、『連絡が取れない』って言ってたわ。とヨランダの母親で、コーヒースタンドのマネージャーのキャロライン。

「なんだって!?」

 事の重大さを知った僕は、すぐにタイムズスクエアのコーヒースタンドへ。既にパトカーと捜査官、そして群衆がたかっていたのだ。

「あれ…?」と僕は不審な状況に気づく。

「あら!ロバートちゃん!」と駆けつけた、キャロライン。

 キャロラインは、褐色のウルフカットで、タレ目と少し口元が柔らかめの、灰色の瞳の、美魔女の48歳の女性だ。

「どうしたんですか、こんなところで…。」と僕。

「お客様を、取り残してしまって、そのまま閉めちゃったという記憶があるわ。でも、そのお客様がいらっしゃらないわ。」とキャロライン。

 僕は、周囲の状況を見る。拾ったのは、手帳、業務用スマホ、社員証、そして財布だ。

「財布の中身見るわ。」と僕は財布を見る。「クレジットカードはある。けど…お金がないぞ?待って。このクレジットカードの会社の人に電話するわ。」

 僕はクレジットカード会社に問い合わせると、午後9時に使用履歴――カフェモカとサンドの購入履歴が確認されて以降、履歴が途絶えてるそう。

「じゃあ、お金とかは、入金の履歴あるか?」

 僕はニューヨーク中央銀行総裁のパイプを活かして、社員証の個人情報をもとに、口座のある銀行に確認をした。すると、午後10時の10ドル入金の履歴があるのと、あとは午前3時の19ドルの入金があるのだ。

「午前3時ってさ。考えられるとしたら、コンビニだな。」と僕。

 すると、事の重大さを知ったレディ・クラリスと、殺人課の捜査官がやってきて、推理を始める。

 僕は、これまでの経緯を話した。

「これは、殺人事件で決まりだわ。行方不明で、銀行の入金履歴が極端に少ない、あと、事件が発生したと推定される時刻、すなわち死亡推定時刻から後に、入金履歴があるというのは、犯人が、生きているという偽装工作だわ。でも、クレジットカードの使用履歴がない…。後――」

 レディ・クラリスは、カップを見つけた。「少し血がついているわ。あと…。」

 その近くに、ネクタイがあった。

「ネクタイ…。」と僕。「確か、社員証を見てる限りだと、女性の方だよね」

 

 僕は、キャロラインさんの許可を得て、レジカウンターからバックヤードへと向かうと何かを引きずった跡が!

「…!!」僕は、感が鋭いのか、死臭を感じた!

「待って…うっ」僕は鼻をふさいだ…。

「もしかして、この先にあるゴミ箱に、遺体が遺棄されたとか…」

 ゴミ箱を開けると、首を絞められて殺害された女性の遺体が見つかった…。

「遺体発見!」と僕。「殺人課の捜査官に連絡するよ!」

殺人課の捜査官が現場に駆けつけた。

「インド系の方らしいな。サーシャ・ナレッタさん。おそらくは、ネクタイが何かで、殺害されたかもな。」と老練の捜査官。

「ロバートさん。ネクタイを調べさせてもらいます。」

「私は、あまりジャケットや、ネクタイをしない主義です」と僕。僕は基本的に無駄を嫌う。

「きのうはしてなかったわよ」とキャロライン。

「最後にサーシャさんを目撃したのは?」

「確か、昨日の9時でした。明らかにイライラしてて。もうお店が閉まるのと、ラストオーダーが近いのに、サンドイッチとカフェモカをオーダーしてたから。それで、誰かと待ち合わせしてたっぽいのよ。スマホばかりいじってて。」

(これは…かなりイライラしてて、待ち合わせしてたということは、加害者との何らかのトラブルを抱えていたのか…?)


 さらに、キャロラインは証言をする。

「それで、10時前に、お店の売り上げの作業をしてたら、男の人と女の人の言い争う声がして。『サーシャ!ちがうんだ!ただのビジネスパートナーなだけだ!赤ちゃんができたなんて聞いてないぞ!』『いいえ、このこの父親になってもらうわ!私は赤ちゃんが生まれるの、何よりも楽しみにしてたから!』私は、娘がいる母親ですので、父親が赤ちゃんのことを、見て見ぬふりをするのは、同じ母親として許せません。その後に、悲鳴が上がって、これは、警察呼ばなきゃって思ったけれど、気がついたら、男の人とサーシャさんはいなくなってました…」とキャロライン。

「遺体の検視で、妊娠してるかわかるかもね。」とレディ・クラリス。

「そんなにお腹がふっくらしてなかったから、妊娠初期の可能性がある。で、あの子は何頼んだの?サンドイッチって。食べつわりの可能性もあるし。」とレディ・クラリス。

「めちゃくちゃトマトとベーコンとチーズがたくさん入ったサンドイッチらしいわ。親族の話によると、彼女はベジタリアンらしいわ。」とキャロライン。

「食べつわりかもね…。たいてい、妊娠5週頃から16週頃までね。遺体を見たところ、お腹はそこまでふっくらしてなくて、妊娠してるというのがわからないぐらいね。」とレディ・クラリス。「たいてい、食べつわりは、かりんとうを食べたくなったり、トマトを食べたがる妊婦さんが多いのよ。」

解説もお願いね。そして、防犯カメラの映像と、サーシャさんのスマホを解析する。

「う〜んと?アリ・ゴマさんと、あとは、ジョージ・マックスさん?」と僕はスマホを見て言う。主に家族や同性の友人以外で、メッセージを残してるのは、2人だ。

 アリ・ゴマとのチャット履歴は…。

「実家から、インドカレー届けるから、待っててね。あと、赤ちゃんできたって?おめでとう!」

「うん。そうなのよ。彼との子。けど、彼はお母さんに甘えてるほど、子どものままでいたいのか、それとも仕事に支障をきたすのか…」

「彼の仕事に支障をきたす?赤ちゃんができたぐらいで?少しさ、聞いてみなよ。」

「うん…」


 ジョージ・マックスとのチャット履歴。

「おまえのおなかの子は、断固として認めない。仕事に支障をきたすから。」

「なんで!おめでたいことなのに」

「おめでたいのは、お前の頭のなかだ!お前こそが、おめでたいインド女だ!」

「ひどすぎるわ!別れたいぐらいよ!」

「こいつ…サイテーな男やん…」とロバート。「こいつの親の顔が見たい…」

そして、ジョージの真の顔が明らかに。そう、ビジネスマンを装っていたが、実はギャングの麻薬の記録係だったのだ…。

「………………こいつ、やはりそうだったんだな!」

 そして、ネクタイに残されたDNAから、サーシャさんと男性のDNAが検出された。防犯カメラの解析をすると、スタバでは、午後8時42分に来店して、オーダーをしたあとに、少しだけ待機することに。そして、ラストオーダーの午後9時半になって、金髪のスーツ姿の男がやってきて、言い争いとも言えるような動きをしていた。午後10時前になると、ネクタイで首を絞めるしぐさがあり、その後に連れ去られた様子が。

 コンビニだと、午前3時にATMをいじるジョージらしき男の姿が。既にサーシャさんは殺害されていた…。

 そして。警察の執念の追跡の末に、ジョージ・マックスは、アメリカ、サウスカロライナ州の空き家で逮捕された。

「あなたを、サーシャ・ナレッタ殺人の容疑で逮捕する!」と手錠をかける警官。

「くそうっ!!」とジョージ・マックス。

 事件の顛末を見て、ロバートは振り返る。

「チャット履歴だとかでわかったの、ロバート?」と紅茶をすするレディ・クラリス。

「それだけじゃなくてさ、現場周辺に、金色の毛髪があったんだよ。毛髪とネクタイの鑑定をしてみたら、DNAが一致したんだよ。」とロバート。

「素晴らしいことをした、ロバート!」と盟主。


フジリナです。

いかがでしたか?本編もお忘れなく、お読みくださいませ。

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