夜の対決
フジリナです。この作品を手にとって、何がウソで、何が本当なのかがわからない世の中を通して、先行きが見通せない世の中を観察し、その本質を探っていただけると幸いです。
2025年8月9日夜
僕は、盟主さまとチェスをした。
ロッジのリビングルームにて、チェス盤が用意されて、僕は臨戦態勢に入ったのだ。一方、盟主さまは、蒸し暑い中でも、涼しげな装いで、優雅に扇子を仰いで、少し見下している姿勢で、僕を見ていたのだ。
盟主さまは、チェスの使い手で、何もかも計算済みなのだ。
「(盟主さまが、このクイーンを動かしてるのなら、ぼくはポーンで、いっちょあがりぃ!)」僕は高を括ってるのか(ほとんど高を括ってる)、わからないが、盟主さまの白のクイーンを取ろうとしたが、
「クスクス…実は、こうに動かせるのだ」と盟主さまは、僕の手を取って、クイーンを、斜め右の二ます先に進めてしまった…!
「(くっそおおおお!!)」僕は悔しくてたまらなかった。
「(どうしたら勝てるの…?どうしたら!!)」僕は密かに燃えだした。なにせ、ルールを守ったうえでの、ルールに則した理論で勝利できるはず!まさにその通りなのだ!!
僕は、チェスの駒の動かし方をもとにし、盟主さまの動きを察知した上で、勝ってやろうと思ったのだ…!!
しかし、5分後。
「ルールに則した、理論での戦略はいいのだが…。」と余裕で目を閉じる盟主さま。
僕の駒を、多く取ってしまったのだ…。駒があまりにも全滅してしまったのは、僕には予想外だったのだ…。
「文句はないかね?」
「アリマセン…」ただ、そう言うしかなかった。
「私に君が勝つのは、百年早い。出直してきなさい。クククク…」優雅に盟主様は言う。くっそ…
僕は正論の炎を燃やそうとして、勇気を出した。
「盟主さま。いかさまをしてきましたね。明らかに、盟主さまが僕の手を使って、動かしたのは、明らかなルール違反です!」
「なぜ?教育をしたのだが?」人を食うような口調で言う盟主さま。センスで口元を隠す。
僕は耐えきれなくて、立ち去ろうとした。あまりに我慢ができない。イライラして、ここを去ろうとしたが、
「戻ってきなさい。もう一度勝負をしよう」と誘う。
…
しかし…、結果は同じだった。
僕の黒の駒が全滅して、チェックメイトにされてしまった…。
「チェックメイト。」とメガネを光らせる盟主さま。
「私に勝てると思ったかな?」
「イイエ…」
さすがに無理だった…。
みなさん、いかがでしたか?
さらにお楽しみいただけるとありがたいです。




