ケーキとおじいちゃんと
フジリナです。
お酒のシーンがあります。お酒はヨーロッパの伝統料理の味付けや、長期保存のために使われることがあるので、ご了承ください。
日本人には、エスカルゴ(カタツムリ)の料理は、馴染みがなくて、これを美食と見なすのは、やはり、文化の違いだなと思います。
日本人には、エスカルゴはえっ!?となりますけれど、欧米では、殺菌済み(欧米だと、日本よりも衛生管理が緩い場合があり、サルモネラ菌が混入している場合があるので)であっても、生卵を食べるのは、あまりないみたいです。日本人がTKGとして食べているのは、欧米ではえっ!?となってしまいます。
2025年8月8日
僕は、イギリスのレディ・クラリスのお城に遊びに来た。そこで、36歳のレディ・クラリスの息子のマシュー兄さんと、86歳のレディ・クラリスの息子でもある、おじいちゃん――アルバートが、会話をしているのを見た。
どんな話かというと…。
「マシュー。国家の諜報員として、母上に手紙を出すことは、何事だ。私情を持ち込むことなぞ、国家を守るものとして、ふさわしくはないのかな?」とおじいちゃん。
「いいえ。そんな、私はただ、アメリカに尽くすために、母上に手紙を出し、あえて家族を作ろうとはしないんですよ。なにせ、わたしが殉職して、残された妻子がどうなるかも、どうなってしまうのかが、気がかりなのですから。」
「それで、あえて、妻子を作らず、母上の脛をかじるというのか、マシュー!」
「貴方みたいな、老いぼれには興味がないですよ。わたしは、母上の脛をかじるのではなく、父上のことも気にかけているのですから。」とマシュー兄さん。
「何を言うか!こんな男は、私の父親ではない!ただの、魔法使いと名乗る、母上の浮気相手だ!わたしにとって、母上の夫君は、あくまでも、デイビッド・マイケルである!」とおじいちゃん。
「あなたは、ただ、人間との混血故に、老いた体になっていて、魔女の混血ゆえに、重いダンベルを持てる程度なのだ。」
「もう我慢できんぞ!こんな憎まれ口を叩くような、生意気な異父弟とは思わなかったぞ!」とおじいちゃん。
「生意気も何もそも。なにせ、こんなことにはなりませんでしたね。」
「ふふ、生意気な弟とはな。」ふつふつと怒りが込み上げる中でも、なんとかこらえて、陰湿に言い争うおじいちゃん。
「わたし、貴方の弱みを知っていますから。」
「何事だ?言うが言い、マシュー。」
「母上が、貴方のために作った、ぬいぐるみが、まだ貴方の部屋だったところにおいてますよ。」
「なんだって?ぬいぐるみなぞ、ロバートにあげるつもりであったのだ。この、ペンギンのぬいぐるみのことか?」
「シマエナガのぬいぐるみをもってますからね。」
「まだ、三十路近くても、ぬいぐるみを持っているのか。」と肩を竦めるおじいちゃん。あのさ、おじいちゃんと同年代でも、ぬいぐるみを持ってる人いるよ。
「ですが、僕も、スターくんのぬいぐるみを持ってます」とマシュー。スターくんというのは、星型の妖精のキャラクターで、日本のキャラクターなのだ。
「むっ…。おまえはいいな…。見た目が、若いからな。」とおじいちゃん。
おじいちゃん、何度も言ってるけど、大人でも持ってる人いるよ。
そのぬいぐるみだけど、いかにもな、既製品ではなくて、レディ・クラリスの手作りのぬいぐるみで、古き良き伝統的な母親の手芸品なのだ。
今、そういうことをしてしまう母親は、男女平等の価値観から、問題になるけどな。いかにもな、ヴィクトリア朝ならではの、性的役割分担の名残なのだ。お母さんのご飯というのも、時と場合によっては、過激な人たちの標的になるのだ。
「レーズンケーキでも食べるか?」とおじいちゃん。「おい、ロバート!」
いつの間にか呼ばれた僕は、メイドが持ってきてくれたレーズンケーキをケーキ用のナイフ(というより、パンを切るナイフだ)で、切ることにしたのだ。
「めちゃくちゃかったいし、パサパサしてそう。ベビーカステラみたい!」と僕。そして、おじいちゃんは、ビスケットか何かを持ってきた。
「ビスケット、どうかな?」とおじいちゃん。
ビスケットを食べたけれど、うんと喉が詰まるような感じがするのと、めちゃくちゃパサパサしてる、昔ながらのビスケットだった。
「…水」と僕。ミネラルウォーターを飲んで、流し食べするしかなかった。
「このビスケットさ、あまりにも…。」と僕が不快そうな気持ちで、ビスケットを酷評しようとすると、おじいちゃんが睨みつけたので、「おいしくてさ、ハッピーになりそう!」
おじいちゃんは、僕が水を飲んだのを見てなかったのか、にっこりしていたのだ。
それで、レーズンケーキを食べようとすると、あまりにパサパサしすぎて――食べてみたら、ほとんど、干し草を食べてるような感じで――咳き込んでしまうほどだったのだ。
「うっ、ゲッホゲホゲホ!!」と僕はむせてしまう。「ダメだ、昔ながらのケーキはダメだわ。なにこれ、なんかお酒臭い」
「きっと、ラム酒でしょうね。」とマシュー兄さん。
「もっとふわふわかと思った…。」とロバート。「もうダメ…。ちょっとしか食べられない」
そしえ、哲人王としての自覚が目覚めたのだった…。
フジリナです。
保存料があまりなかった時代は、お酒や塩を主に使っていましたが、今だと、保存料があるので、長期の食料の保存ができるみたいです。
お味噌や醤油は、保存料の代わりになったそうです。




