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魔女と哲人王子  作者: フジリナ


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17/30

ケーキとおじいちゃんと

フジリナです。

お酒のシーンがあります。お酒はヨーロッパの伝統料理の味付けや、長期保存のために使われることがあるので、ご了承ください。

日本人には、エスカルゴ(カタツムリ)の料理は、馴染みがなくて、これを美食と見なすのは、やはり、文化の違いだなと思います。

日本人には、エスカルゴはえっ!?となりますけれど、欧米では、殺菌済み(欧米だと、日本よりも衛生管理が緩い場合があり、サルモネラ菌が混入している場合があるので)であっても、生卵を食べるのは、あまりないみたいです。日本人がTKGとして食べているのは、欧米ではえっ!?となってしまいます。

2025年8月8日

 僕は、イギリスのレディ・クラリスのお城に遊びに来た。そこで、36歳のレディ・クラリスの息子のマシュー兄さんと、86歳のレディ・クラリスの息子でもある、おじいちゃん――アルバートが、会話をしているのを見た。

 どんな話かというと…。

「マシュー。国家の諜報員として、母上に手紙を出すことは、何事だ。私情を持ち込むことなぞ、国家を守るものとして、ふさわしくはないのかな?」とおじいちゃん。

「いいえ。そんな、私はただ、アメリカに尽くすために、母上に手紙を出し、あえて家族を作ろうとはしないんですよ。なにせ、わたしが殉職して、残された妻子がどうなるかも、どうなってしまうのかが、気がかりなのですから。」

「それで、あえて、妻子を作らず、母上の脛をかじるというのか、マシュー!」

「貴方みたいな、老いぼれには興味がないですよ。わたしは、母上の脛をかじるのではなく、父上のことも気にかけているのですから。」とマシュー兄さん。

「何を言うか!こんな男は、私の父親ではない!ただの、魔法使いと名乗る、母上の浮気相手だ!わたしにとって、母上の夫君は、あくまでも、デイビッド・マイケルである!」とおじいちゃん。

「あなたは、ただ、人間との混血故に、老いた体になっていて、魔女の混血ゆえに、重いダンベルを持てる程度なのだ。」

「もう我慢できんぞ!こんな憎まれ口を叩くような、生意気な異父弟とは思わなかったぞ!」とおじいちゃん。

「生意気も何もそも。なにせ、こんなことにはなりませんでしたね。」

「ふふ、生意気な弟とはな。」ふつふつと怒りが込み上げる中でも、なんとかこらえて、陰湿に言い争うおじいちゃん。

「わたし、貴方の弱みを知っていますから。」

「何事だ?言うが言い、マシュー。」

「母上が、貴方のために作った、ぬいぐるみが、まだ貴方の部屋だったところにおいてますよ。」

「なんだって?ぬいぐるみなぞ、ロバートにあげるつもりであったのだ。この、ペンギンのぬいぐるみのことか?」

「シマエナガのぬいぐるみをもってますからね。」

「まだ、三十路近くても、ぬいぐるみを持っているのか。」と肩を竦めるおじいちゃん。あのさ、おじいちゃんと同年代でも、ぬいぐるみを持ってる人いるよ。

「ですが、僕も、スターくんのぬいぐるみを持ってます」とマシュー。スターくんというのは、星型の妖精のキャラクターで、日本のキャラクターなのだ。

「むっ…。おまえはいいな…。見た目が、若いからな。」とおじいちゃん。

 おじいちゃん、何度も言ってるけど、大人でも持ってる人いるよ。

 そのぬいぐるみだけど、いかにもな、既製品ではなくて、レディ・クラリスの手作りのぬいぐるみで、古き良き伝統的な母親の手芸品なのだ。

 今、そういうことをしてしまう母親は、男女平等の価値観から、問題になるけどな。いかにもな、ヴィクトリア朝ならではの、性的役割分担の名残なのだ。お母さんのご飯というのも、時と場合によっては、過激な人たちの標的になるのだ。

「レーズンケーキでも食べるか?」とおじいちゃん。「おい、ロバート!」

 いつの間にか呼ばれた僕は、メイドが持ってきてくれたレーズンケーキをケーキ用のナイフ(というより、パンを切るナイフだ)で、切ることにしたのだ。

「めちゃくちゃかったいし、パサパサしてそう。ベビーカステラみたい!」と僕。そして、おじいちゃんは、ビスケットか何かを持ってきた。

「ビスケット、どうかな?」とおじいちゃん。

 ビスケットを食べたけれど、うんと喉が詰まるような感じがするのと、めちゃくちゃパサパサしてる、昔ながらのビスケットだった。

「…水」と僕。ミネラルウォーターを飲んで、流し食べするしかなかった。

「このビスケットさ、あまりにも…。」と僕が不快そうな気持ちで、ビスケットを酷評しようとすると、おじいちゃんが睨みつけたので、「おいしくてさ、ハッピーになりそう!」

 おじいちゃんは、僕が水を飲んだのを見てなかったのか、にっこりしていたのだ。

 それで、レーズンケーキを食べようとすると、あまりにパサパサしすぎて――食べてみたら、ほとんど、干し草を食べてるような感じで――咳き込んでしまうほどだったのだ。

「うっ、ゲッホゲホゲホ!!」と僕はむせてしまう。「ダメだ、昔ながらのケーキはダメだわ。なにこれ、なんかお酒臭い」

「きっと、ラム酒でしょうね。」とマシュー兄さん。

「もっとふわふわかと思った…。」とロバート。「もうダメ…。ちょっとしか食べられない」

 そしえ、哲人王としての自覚が目覚めたのだった…。

フジリナです。

保存料があまりなかった時代は、お酒や塩を主に使っていましたが、今だと、保存料があるので、長期の食料の保存ができるみたいです。

お味噌や醤油は、保存料の代わりになったそうです。

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