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魔女と哲人王子  作者: フジリナ


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番外短編・コーヒースタンドに集う人たち

フジリナです。

アメリカの主要な歴史上の人物の話をあげて、ようやく歴史物になったのかもしれません。

途中で直したり、休みを入れたりして、時間がかかってしまいました。

お楽しみいただけるとありがたいです。

 僕は、とある世界的に有名なコーヒースタンドで、あの人魚のマークが印象的なコーヒースタンドで、働くことになったのだ。

 しかも、深夜シフトというのだ。冬の深夜は、ニューヨークでは雪が降るのと、治安が悪いから、パトカーが鳴りっぱなしなのだ。それで、深夜のシフトは、おそらくはニューヨークの浮浪者がやってくるのかなと思う…。

 僕は、コーヒー豆の調達や、仕入れ、そしてコーヒーを作るのと、クリームを作るのを段階的に行った。だが、僕と、彼女のヨランダのお母さんのキャロライン・パークスしかいないのだ…。キャロラインさんは、褐色のウルフカットに、タレ目にメガネをかけ、少し柔らかい口元の優しい印象の女性だ。

「ロバートちゃん、じゃあ、お掃除から始めましょうね。」

 僕は、注文を受け付ける前に、掃除から初めて、注文を受け付けることにしたのだ。

 その、お客様というのが、めちゃくちゃ変な奴らだったのだ…。はじめにやってきたのは、白の18世紀のカツラが印象的で、厳格そうな男だ。

「ブラックコーヒーを頼む。」と男。何を言おう、彼はジョージ・ワシントンだ。

 ブラックコーヒーのホットとして受け付け、ブラックコーヒーを作った。次々とお客様が来て、ワンオペ深夜シフトが始まったのだ…。その2人目と3人目のお客様というのが、褐色で精悍そうな、少し腰が重そうな、アイルランド系の褐色の肌の男と、サングラスとコーンパイプが特徴的な男が来たのだ…。

 そう、ジョン・F・ケネディとマッカーサーだ…。

「チュロスとチョコケーキのペストリーと、カフェモカ、ホイップ追加で。」と早口で言うジョン・F・ケネディ。

(太るよ〜!?)と呆れ返った僕。いくらアジソン病の持病があるとは言えども、これはあまりに太る。アジソン病というのは、ストレスホルモンがうまく分泌されない病気で、これは指定難病の一つに数えられるのだ。

(ステロイドの影響で、褐色の肌になって、それで食欲が増進されちゃってんのか?普通だったら、食欲がなくなってしまうのが普通なんだけどな。)

 そんな感じで、ペストリーとホイップ追加のカフェモカを、差し出した。

「おまたせしました、チュロスとチョコケーキと、ホイップ追加のカフェモカのお客様。」

 あれ?ケネディさんがいない。そのかわり、上品そうな女性の、妻のジャクリーンさんがやってきて、代わりに受け取った。

「あれ?旦那さんはどうしましたか?」

「それが、ハンバーガーショップに行ってしまって。」

 僕はあまりに、ケネディさんが過食気味になっているのは、薬の影響なのかもしれない。

 そして、ケネディさんが、ミニパンケーキのてんこ盛りや、ハンバーガーとフライドポテトを持ってきたのだ…。

「ちょっと、太るって!!」と僕は流石にツッコミを入れた…。

 そして、マッカーサーの注文は、めちゃくちゃ少ないものだった。「カフェオレを一つ。」

「あ、悪い。財布持ってないや。」とマッカーサー。調べてみたら、マッカーサー本人は、財布を持ち歩く習慣がないらしい。

(財布ぐらい持てよ…。)と突っ込む僕。(クレカとか、スマホ決済で済ませるんだろ…?)

 マッカーサーはスマホを持って、お支払い。ちゃんと21世紀に適応できているらしい。

 マッカーサーは、めちゃくちゃ食べまくるケネディさんを見て、「ジョン!おまえなあ、どれだけ食べるつもりなんだ!少しは少なくしろよ!」とたしなめる。

(オレだったら、みんなにあげるかな?)僕は日系アメリカ人ゆえの考えにたどり着く。(それならさ、みんなも食べられるし。)

「ロバート、おまえはどう思うんだ?」

「オレだったら、みんなにあげるかな。」と思ったことを口にする僕。

「みんなにあげるだと!?」とマッカーサー。「…戦後の日本人も、似たような考え方だったな。」

「ハハ。日本人は食べ物を大事にするからね」とケネディさん。

「うちの祖母が、日本人で、ときどきお鍋作ってくれるので。」僕は、日本人の祖母の話を持ち出した。

 ということで、僕の提案が通ったのか、ジャクリーンさんにもお裾分け。

 そして、変なお客さんの4人目と5人目。

 マッカーサーさんが、不快そうな表情になった。そう、トルーマンさんとあのフランクリン・ルーズベルトだ。ルーズベルトは、車椅子に座っている。(ルーズベルトは、ポリオに罹ったうえに、車椅子生活をしていたのだ。)

 僕は、日系アメリカ人ゆえの、アイデンティティが疼いてしまう。

「ご注文は?」と怒りを堪えながら、僕は言う。

「おい。チュロスとストロベリーケーキと、ホイップミルクセーキを。」

「わかりました。」と苛立ちながら言う僕。

「さっきから態度が悪いじゃないか、ロバート。」

「知りませんよ、なにせ、オレの出身地のカリフォルニアでも、ハワイ州でも、日系人の強制収容をしたくせに!」

「ふざけるな!これは仕方なかったんだぞ!」

「謝れよ!!」と叫ぶ僕。なにせ、日系人の強制収容なんて、今思うと、めちゃくちゃ許せないのだ。

「そんなわけないだろ、80年前の話じゃないか!!」とルーズベルト。

「おい、野球で勝負しようぜ。」と僕。ルーズベルトさんが野球が好きなのを知っている。

「…わたしは車椅子だからできないんだが」

「なら、私なら」とトルーマンさん。

「おまえ、できないくせに。」とマッカーサー。「そんなの、できっこないだろ!」

 大盛り上がりしたのだが、3人とも退店したので終わったのだ。


 最後のお客さんは、あのリンカーンさんだ。

「カフェオレを一つ。」

 カフェオレを作った後に、リンカーンさんは、「これが…、人民の人民による人民のための、味なんだな。」

「コーヒースタンドはどこでもそうですよ。」と僕は淡々と話すだけだった。

「それでさ。高学歴じゃないし、農民の出身だったけれど、それでも勉強したんだからね。」と笑顔で言うリンカーンさん。

(まださ、リンカーンさんの方が、マシな人っぽいもんな。なんで、暗殺される理由なんてあるのかな。よっぽど気に入らなかったんだろうな。なんで、リンカーンさんの後に、変な人か個性派の大統領が好まれるようになったんだ??あの、俳優出身のレーガンさんも、色んな意味で個性派だったし。)

 僕は疑問に思ったものの、あまり声を出さずにやった。

 そして、深夜シフトを終えて、ロッジへと戻った。キャロラインさんは、シフトの途中で帰ったため、僕が帰る頃にはいなかったのだ。

 朝を迎えると、あのアメリカの亡霊たちはいなくなっていた。夜に現れるのは、やはりこのコーヒースタンドを中心にした、此岸と彼岸の境目だったのかもしれない。

フジリナです。

歴史物になったのかもしれないと、わたし自身は思いますが、皆さんはどう思いますか?

では。

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