急な展開
ロバート・マイケル・ナカムラという青年の物語です。彼はアメリカ、ニューヨークのウォール・ストリートで働いている銀行員で、心優しい青年で、どこか考えすぎなところがあります。彼の日記をご覧ください。
僕は、ニューヨーク市内の銀行で働く26歳。銀行業務の厳しい業務に耐えられなくなって、休職をすることになったのだ。その日の夕方になって、テレビを見ていると、僕の目に飛び込んできたのは、そう、今のアメリカで大流行している、陰謀論についてだったのだ。
「アメリカは、フリーメイソンによって支配されている」
「いまの大統領を操っているのは、ディープステートだ」
というものだ。メディアは、「ファクトチェックをした結果、これらは全て間違いです」と否定した。けれど、それは本当なのだろうか。今まで見てきた、SNSとかの情報とかは、すべて誰かが操っている…?
僕はそう思えたのだ。テレビのアナウンサーはこう言うだけだった。
「メディアを見る時は、何が正しくて、何がウソなのかを、はっきりとさせてくださいね」と。
だが、そのメディア自体も、もしかすると、事実の一部だけを切り取って、それをあたかも本当だと主張しているだけなのかもしれないのだ。それは何を意味しているのだろうか。
「ええ、ファクトチェックをすることは大事ですからね」と女性のアナウンサーは主張する。僕は、何もかも嫌になって、新聞を放り投げて、テレビの電源を切った。
僕は、洗面所に行って、身なりを整えた。黒髪の散切り頭に、キツネ目の青い目に、黒縁のオーバルメガネ、そして整ったアジア系の顔立ち、白い肌に161cmの身長、ワイシャツに紺色のスラックスに、黒い革靴。髪を整えてから、黒のマウンテンパーカーを羽織った。
「もう、嫌になった。散歩に行ってこよう」僕はそう言うと、ブルックリンの古い町並みにあるアパートを出て、散歩へと出かけた。
外に出ると、マンハッタンの夜景とブルックリン橋が見える。ブルックリンの光がチカチカする。ニューヨークは、夜になっても、光り輝くのだ。
ブルックリンから、地下鉄を通って、ニューヨークのマンハッタンまで行くことにした。
紹介を忘れた。
僕はロバート・マイケル・ナカムラ。日系アメリカ人二世で、カリフォルニア州サンフランシスコ出身の、ザ・お坊ちゃま。
父親はサンフランシスコ副市長のヘンリー・マイケル、母親は日系アメリカ人の元公務員のヤスコ・マイケル・ナカムラ。父方の祖父は政治家で、アルバート・マイケル。父方の祖母はカリフォルニア州最高裁判所判事のハンナ・マイケルだ。で、母方の祖父は、財界の重鎮の、アンディー・ケビン、母方の祖母は、日本人の中村八重子だ。
僕は、小さい時からエリート教育を受けて、小さい時から勉強ばかりしていて、友だちと遊ぶのは、学校でしかできなかったのだ。高校までカリフォルニア州にいたが、心理学を学べる大学がニューヨークにあったので、ニューヨーク州立大学に通うことになったのだ。
そこで出会ったのが、オレのガールフレンドのヨランダ・パークスで、将来結婚に向けてお付き合いをしている。
オレは、文学が好きな平和主義者で、いつしかは小説家になりたいと思っているのだ。
マンハッタンの、とあるコーヒーチェーンに向かうと、そこにはヨランダの姿が。ヨランダは現在小学校の教師をしていて、カリスマ性と明るい笑顔が特徴的な、金髪碧眼で、ボブにメガネをかけた可愛らしいアメリカ娘だ。
「ロバート!」とヨランダは手を振る。
「ヨランダ!」僕はヨランダをハグする。「会いたかったよ、ヨランダ。」
「あたしも。さあ、座って。」
ヨランダは、僕に話しかけた。
「どう、仕事は。」
「休職することになったんだよ。どうしてもさ、厳しい業務で、メンタルが壊れそうになって。」
「そうなの…。それはつらいわね。」とヨランダ。
「でもさ、職場の様子が最近おかしくてさ。なにかの計画にオレが巻き込まれそうな感じがしてさ。それが、オレがとある秘密結社の陰謀に巻き込まれそうな感じがしたんだ。」
僕は、ヨランダに、今までのことを打ち明けることにしたのだ。
7月のある日。僕が見かけたのは、自身が所属する銀行の部署に、きれいな身なりをした紳士が出入りするようになったことだ。その紳士はニヤニヤ笑いながら、こっちをみていたこと。そして、何よりも、ヒソヒソ話をしていたのだ。
「この方が、ロバート…。盟主様から聞いた。この方が、哲人王子の候補だということを」
「ええ、そうです。盟主の玄孫に当たるそうだ…。」
盟主は、そんな年齢で現代に生きているとは思えない。それで、哲人王子って何?と僕は思えたのだ。
「哲人王育成計画における、彼は被験者としては逸材でしょう。盟主様もお喜びになられるぞ。」
「これは、部長にも話さなくてはならぬな。」
ずっと、この不審な会話は続いていたのだ。
「そういうことだったのね、ロバート。」ヨランダは心配そうな表情で僕を見た。あまりに異常な環境からか、僕は少しばかり動悸がするような感じがしたのだ。
「でもさ、あの異常な状況が続けば、転職もありなんじゃない?ママが言ってたわ。いつでもここで働いてもいいって。」とヨランダ。
ヨランダのママ、すなわち母親のキャロライン・パークスは、とても面倒見のいい店長、マネージャーで、僕のことを常に気にかけてくれるのだ。
だが、その異変はすぐに訪れた。ヨランダの後ろに複数の黒いスーツを着た男たちが来ていたのだ。僕は思わず、寒気がして、「ヨランダ!後ろ!」と叫んだ。だが、
「ええっ?誰もいないけれど?」ヨランダが振り向いたとき、男たちは不審に思われないように、わざとペストリーやドリンクを注文するふりをしたのだ。めちゃくちゃわざとらしく、僕とヨランダに不審がられない工夫をしているところがあくどいのだ。
「じゃあ、ロバート。またね」
…
僕は、ウォール・ストリート駅から地下鉄に乗って、自宅に帰ることに。だが、その脅威は後ろに迫っていたのだ…。後ろから足音がすると、僕は振り返る。――いない。
「なにそれ。日本の怪談かよ。」と僕は呆れ返った。
よく見る日本の怪談で、幽霊かなにかが誰かの後をつけて、足音を立てるものの、やはりいないというのは、お決まりなものだ。
もう一度歩いてみる。やはり、革靴か何かの足音がする。
途中で、会話が聞こえてくる。
「おい、ターゲットは何をしているんだ?」
「今は黙って歩いているぞ。フフ、ガールフレンドと話をして浮かれているのだろう。」
なんで知っているんだ!?僕のヨランダのこと、あいつらに見え見えかよ!やはり、何かがおかしいんだ…。僕は足早に歩いてみる。けれど、あいつらは歩調を合わせることで、追いかけようとする。
「これ、警察呼んだほうがいいんじゃ…!」僕は内心焦ってしまった。
「やばい、これは911(アメリカの通報ダイヤル)に通報しなきゃ!」
僕がスマートウォッチを使って、通報しようとすると、
「ロバートさん。通報するのはおやめなさい。あまりにも時間の無駄です。」と穏やかな紳士の声が。
「あなたはそうやって、運命から逃げようとしている。私達に背を向け、世俗の公権力に通報し、私達を不正とみなして、逃げようとしている。まさに、逃げようとしていることなのだ。帰ってきたら、レディがやってくるから、楽しみにし給え。」
嘘だろ…。まさか…。僕は失望してしまったのだ。そのままうなだれるまま、地下鉄の車両に乗り込んで、自宅へ帰っていったのだ。
…
僕が帰ってくると、いままでイギリスにいた曾祖母で、美しい魔女であるレディ・クラリスが家の玄関の前に立っていたのだ。
レディ・クラリスは、黒髪の三つ編みで、蠱惑的な美しさを持つ美女で、白い肌に、ティアラに黒の魔女のローブに、黒のエナメルのパンプスに、タイツファッションだ。500年生きていると自称するが、やはり只者ではなさそうだ。
「ロバート、ひさしぶりね」レディ・クラリスは、にこりと笑って僕に言う。
「おばあちゃん…?」僕はあまりにも驚いたのだ。僕が物心ついたときに、レディ・クラリスと会ったことが今までないからだ。
「あなたが、大きくなったなんて、とても驚きだわ。」
「え、おばあちゃん。僕はおばあちゃんに会ったことないよ。はじめまして、だよね?」と僕。
「何言ってるの?あなたが1歳のときに、お母さんに連れられて、やってきたじゃないの!」レディ・クラリスは僕に言う。なるほど、1歳じゃあ、たしかに物心ついてからじゃあ、覚えてないに決まっている。
「そうだよね…。」と僕は少し呆れながら言う。「それで、何の用?」
「銀行には、一身上の都合で、休職することにしたと伝えたわ。じゃあ、準備して。荷造りをするのよ。」
「え…このアパートを去るの?…まあ、いいか。」と僕。
僕は、深夜の間、急に引っ越し作業をせざるを得なくて、戸惑ってしまったのだが、荷物をリュックとスーツケースにまとめて、引っ越し作業を行う。もちろん、シマエナガちゃんのぬいぐるみやゲーム機、スマホ、日記帳、スマートスピーカー、充電器、手帳、衣類、そして水筒やサブバック類をリュックなどに詰め込んで、引っ越し作業を終えた。
「さ、ついてきなさい。」とレディ・クラリス。
おれは、どこへ連れて行かれるのだろうか…。
どうも。フジリナです。
作品は、楽しめましたか。まだつたない文章ですが、よろしくお願いします。
アメリカは、まだ行ったことがないので、地理とかなどに詳しくなかったらごめんなさい。というか、渡航したことがある人がいたら、わたしに教えてください。よろしくお願いします。




