決勝戦の曰
この物語は仙台の学校に通う少女が活躍するフィクションです♪登場する人物及び団体は現実とは関係ない架空の人物及び団体です。
皆さん、こんにちは、私は、安永恵。普通の高校3年生です。部活は、剣道部に所属しています。
今年、私の所属している仙台美咲高校剣道部は、団体戦で、全国大会に初出場を果たしました。
大会でも、色々な偶然と奇跡と勢いが、重なって、決勝戦まで、勝ち進んでしまったんです。勢いって、凄いですよね。そして、今は、決勝戦の副将戦です。この場面から、物語を始めたいと思います。
主審「面。一本。勝負あり」
あ、副将の部長が負けた。負けちゃった。どうしよう、
それで、決勝戦の勝敗は、2勝2敗。最後の大将戦で決着が付けられる事になった。そして、私の所属している剣道部の大将は、なんと、私です。私が、全国大会の団体戦決勝の大将戦って、無謀すぎる。でも、負けられません、皆が、私に期待しているから。
皆が、私に、声をかけて来ます。
宮沢敦子「恵、すまない。副将の私で、決められなくて」安永恵「いえ、私は、大丈夫です、必ず、勝ちますから」
大山静子「これで、最後ですからね。剣道を楽しみなさい」安永恵「はい」
田沢雅子「後悔しないように、全力で、やって来なさい」安永恵「はい」
大石耕平「頼んだぞ」安永恵「はい」
内村小春「勝っても負けても、次で最後だわ」安永恵「はい」
島崎奈津子「恵、最後だから、難しいかも知れないけど、いつも通りでね」安永恵「はい」
長谷川若葉「恵、全力でね」安永恵「うん」
杉田理恵「恵、ちゃんと、後半に体力を残すようにね」安永恵「分かってるわよ」
竹内法子「恵、勝ったら、お寿司奢ってあげるからね」安永恵「回ってない方のお寿司でね」
竹内法子「ええ、約束よ」安永恵「うん」
柏木桜子「恵、苦しい時にこそ、笑顔よ、笑顔、いいわね」安永恵「うん」
堂本春香「恵、リラックスだよ」安永恵「うん」
宮沢敦子「恵、どうか、絶対に勝ってくれ、頼む」
安永恵「はい、分かっています、絶対に勝ちます」
大山静子「恵、落ち着いて、頑張りなさい、いいわね」
安永恵「はい」
大山静子「それじゃあ。行ってきなさい」安永恵「はい」いよいよ、試合が始まる。
主審「始め」試合が開始された。
安永恵「面」黒田令佳「面」
最初の一撃を打ち込む。安永恵「面」黒田令佳「面」
相手は、格上、実力も経験も才能も相手が上で、普通にやれば、私が負ける。でも、やるしかないんだ。
安永恵「面」黒田令佳「面」
私は、猛攻を仕掛ける。
安永恵「面」黒田令佳「小手」
安永恵「小手」黒田令佳「面」
安永恵「胴」黒田令佳「小手」
安永恵「面」黒田令佳「胴」
安永恵「えい」黒田令佳「えい」私と相手は激しい鍔迫り合いを繰り広げた。
黒田令佳「ぬ」あ、一瞬、相手が後ろに下がる素振りを見せた。チャンスかも。突撃してやる。
安永恵「面」黒田令佳「うわ」
主審「面あり」私の引き面が黒田令佳に一本きまった。
安永恵「よし、まず最初の一本取ったわよ」黒田令佳「くっ」
大山静子「よし、今のは、いいタイミングだったわ」
田沢雅子「はい、素晴らしい面でしたね」
宮沢敦子「綺麗な一撃でしたよね」
大石耕平「よっしゃー」
内村小春「相面からの強引なめんだったけど、気力が十分だったわね」
島崎奈津子「いいわ、この調子なら行ける」
長谷川若葉「よく取ったわね」
杉田理恵「うちの大将ですからね」
竹内法子「あの馬鹿、流石にやるわね」
柏木桜子「リードしたね」
堂本春香「それでいい」
宮沢敦子「やった。一本リード、後一本取れば、勝ちだ」
田沢雅子「嫌、まだだ、まだ油断は出来ない」
宮沢敦子「えっ」
田沢雅子「一緒に剣道をやりたくない相手だからね。あれは」
宮沢敦子「え、ああ、そうですね、あのタイプの剣道はね」
安永恵「後一本だ、面」黒田令佳「まだよ、面」
安永恵「」黒田令佳「面」
安永恵「面」黒田令佳「胴」
安永恵「小手」黒田令佳「面」
安永恵「胴」黒田令佳「小手」
安永恵「面」黒田令佳「面」
安永恵「面」黒田令佳「突き」安永恵「うっ」黒田令佳の引き胴が決まった。追い付かれた。安永恵「しまった」
堂本春香「くそ」
田沢雅子「くっ、追い付かれたか」
大石耕平「やっぱり。あいつじゃ駄目なのか」
大山静子「大丈夫ですよ、きっと」
堂本春香「恵、ここからだよ、頑張って」
長谷川若葉「まだ追い付かれただけだ」
宮沢敦子「恵、ここから仕切り直しだ、落ち着いて、頑張れ」
安永恵「まだ、まだだ、まだ追い付かれただけ、勝負はここからだよ、面」黒田令佳「面」
安永恵「胴」黒田令佳「小手」
安永恵「面」黒田令佳「くっ」私は、面を打ち込んだ。でも、旗は上がらない。長谷川若葉「駄目か」
島崎奈津子「決まりそうだったのにね」
田沢雅子「惜しい」大石耕平「キレが浅いみたいだな」
宮沢敦子「浅い打ち方ばかりになって来ましたね」大山静子「ええ、でも」
堂本春香「今は、黒田の方が有利ですね」
安永恵「胴」黒田令佳「面」安永恵「うわ」私は、黒田令佳の面を回避した。
安永恵「助かった」
宮沢敦子「危なかった」
堂本春香「ギリギリセーフな感じですね」
黒田令佳「外したか、だが、次で、終わらせる」黒田さんの気迫を感じる。やっぱり高校女子最強の女剣士だ。凄い。でも。負けられない。
安永恵「今度の一撃で、決める」多分、今度の攻撃で、決められなければ、私の負けだ。もう、私にチャンスは、来ない。絶対に、決めないと。私は、大山先生を見つめた。
安永恵「う」大山静子「・・・」よく分からなったけど、大山先生は、頷いてくれたと思う。
大山先生、皆も、私を全国に連れて来てくれて、ありがとう。
私は、皆への感謝の気持ち、皆の全ての思いと覚悟を込めて、最後の一撃を、最後の面を相手に打ち込んだ。
黒田令佳「面」安永恵「面」黒田令佳「うっ」安永恵の面が、黒田令佳に決まった。
主審「一本、勝負あり」赤旗が3本上がりました。安永恵「やった、やったわ」
宮沢敦子「やった。遂にやったぞ」
勝者、安永恵。この瞬間、遂に、私達、仙台美咲高校学校女子剣道部は、創部20年で、目標のインターハイ初優勝。悲願の全国制覇を成し遂げたのです。
大山静子「やった」
大石耕平「やったぞ」
田沢雅子「やりましたね、あの子達」
堂本春香「あいつ、遂に」
柏木桜子「夢じゃないですよね、現実なんですよね」
竹内法子「やったんですね、私達」
杉田理恵「私達が優勝した」
内村小春「やったー」
長谷川若葉「やったよね」
島崎奈津子「やったわ」
宮沢敦子「よくやった」
中本祐司「やったな。恵」安永恵「うん」宮沢敦子「遂に、全国を取ったぞ」
安永恵「遂に、優勝したんだ、やったー」
宮沢敦子「大山先生、今まで、ご指導ありがとうございました、大山先生のご指導のお陰で、ここまでやり遂げる事が出来ました、剣道部一同、心から、感謝しています、ありがとうございました」剣道部全員「ありがとうございました」
大山静子「いいえ、貴方達の方こそ、私を、ここまで連れて来てくれて、ありがとう、感謝しているわ」全員「はい」
宮沢敦子「この結果は、マグレなんかじゃない、私達の実力と努力の結果だ」
大山静子「恵、本当にご苦労様、とてもいい剣道だった、最後の面は、綺麗で、完璧だった。良かったわよ」安永恵「はい、ありがとうございます」
大石耕平「お前達、よく頑張ったな。俺は嬉しいぞ」
島崎奈津子「大石先生、泣かないで下さい、気持ち悪いです」
大石耕平「気持ち悪いって言うな、俺は嬉しいんだからな」
島崎奈津子「はいはい」
田沢雅子「貴方達、まさか、本当に優勝するとはね。大した物だわ」
堂本春香「無能で、落ちこぼれの集まりって言われてた弱小チームの私達が全国制覇」
柏木桜子「皆から祝福されてる。信じられない」
竹内法子「3年間、頑張ったご褒美ですかね」
杉田理恵「入部した時は、私達が全国制覇だなんて、無理だと思ったもんね、地区予選の初戦敗退ばっかりが続いたから」
内村小春「色々あったよね、この3年間」
長谷川若葉「厳しい練習をしても、負けてばっかりで、辛かった。でも、負けても勝っても、剣道は楽しかった」
島崎奈津子「本当に楽しい3年間だったよね」
宮沢敦子「でも、本当に終わっちゃったんだね、私達の剣道も」
安永恵「まだ、まだ終わってないですよ」
中本祐司「えっ」
安永恵「私達の物語、私達の剣道は、まだ、終わってない、嫌、始まってすらいない」
黒田令佳「ええ、私達の剣道は、今日、ここから、新しい剣道が始まる」
安永恵「うん」
そうして、私達の物語が始まった。