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第43話 依頼

 今まで出番のなかった護衛団員達の登場です。以後、長い付き合い?になる予定。

でおさらいというか本文に入れるのも今更なんでここで大まかな紹介を。


赤マントのサンタナ(平民出身)は第二騎士団所属で炎系魔法が得意。一応、五人のまとめ役。


緑マントのリアン(平民出身)は第三騎士団所属。得意系魔法は現時点では不明。


青マントのキーナ(平民出身)は第四騎士団所属。得意系魔法は現時点では不明。


白マントのマーサ・シルベリア(貴族子女)は第五騎士団所属。得意系魔法は現時点では不明。希少な回復系魔法が使える。


(得意魔法は・・マントの色で想像つくか)


 年齢はサリーも含めて皆同じ。身長は約170cmのマーサ(セシリア)〉サンタナ(シーラ・リーア)〉リアン(エルアノーム)〉キーナ(サリー)の順。


 因みに山水君は175cm(当時の日本人としてはかなりデカい!)でエステリーナ(セシリア・ロザンヌ姉妹)は170cmくらい。雷明・エンリケ・ヤームは185cmほど。

人族の平均身長は男は170、女は160でエルフは+5程度。


 で彼女らは(エステリーナも含めて)全員得手不得手はあるが)他の属性の魔法も使おうと思えば使える。だがそれは攻撃系に限ったことで、行使の対象が異なる回復系は別。その分野の「適性」が低い者(←大半がそう)が使っても魔力を消費するだけで効果は殆ど上がらない。但し特殊なアイテム(魔道具)を通せば初級程度の効果は発揮する(エステリーナのペンダントがそう)


 尚、もう一つの回復手段として人を選ばず使える「ポーション」があるが、こちらは用途と効果範囲が限定されてしまうのと、製造に一定のコストがかかってしまうので一般人には馴染みは薄い。(アラナート王国の庶民は医者(公営の回復師や薬師)を頼る)


 それとこの世界で「身体強化」を習得するのは、ジョブ固有スキルor汎用(コモン)スキルのみ。エステリーナさんが自分を強化する場合は前者でカイエンに使う場合は後者。基本的に、ジョブはレベル、コモンは熟練度で効果や範囲が上昇するが

ステータス(精神力)依存という大前提があるため、発動条件や持続面ではかなりの差が出る。


 因みに魔法では身体強化は出来ない設定(バランスを取る為。そうしないとエルフ無双というか、転移魔法まで使えるシーラには誰も勝てなくなるので)

 

 騎士団の外出用制服を着た四人と俺は、変わらずのメイド服を着たサリーに連れられ建物奥にある談話室に入った。


 ……ここはアラナート王国様式の家具が置かれている。


 ここを訪れた際に感じた違和感どころではない、この部屋だけはアラナート王国の様式に改装されていた。

 正方形に近い20畳ほどの板張りに外に出れる大きな窓とその窓から見えるエルフ様式の見事な庭。

 部屋の中は馬の蹄鉄と同じ形に並べられた薄茶色の連結されたソファーとその内側には楕円形の絨毯が敷かれているだけ。


「好きなところに座れ。但し絨毯(ここ)に座るなら靴を脱ぐ」


 と言って「早くしろ」と目で合図してくる。


「「「…………」」」


 皆の視線が俺に向けられる。


「……俺を気にせずに好きなところに座れって」


 俺に遠慮していたようなので許可を出す。すると「それでは」とサンタナを先頭に絨毯とソファーの狭い間を、年相応の和気藹々な雰囲気で押し合いながら進みゆく。その様子を微笑ましく眺めながら俺も続く。


 俺が座れる位置まで来たところでサンタナ(先頭)が止まる。

 各々の間は人一人分ほど開けた状態で、如何にも高級そうなソファーに恐る恐ると腰を落とすと……


「う、うぉ! し、沈む!」

「ほえーー」

「むむむ」

「いやーーん」


 言葉は異なるが皆同じ反応。固いのかと思ったら身体が沈むほど柔らかかった。


「そんじゃ再開するか」


 とサリーは対面のソファーにドカっと腰かける。


「では初めに魔族を見たことがある者は?」


 全員首を横に振る。


「竜ならあるぞ」


 四人に視線が俺に集中する。どうやら竜も珍しい部類に入るらしい。


「竜、ドラゴンと言ったが魔法のレジスト率は魔族もドラゴン族もほぼ同等、外皮がある分、ドラゴン族の方が厄介、と言われている」


「「「ほうほう」」」


「だがこの二種族は「根源」が異なる。何が違うか知っている者はいるか?」


 四人の中で一番大人しいキーナがビシッと手を挙げた。

 この子は口数は少ないので内気なのかと初めの頃は思っていたが、実はそうではなく単に自重していただけだと最近気付いた。


「魔素か別次元かの違い」

「正解」


「「「おおーーーー」」」


 三人の拍手と尊敬の眼差しがドヤ顔のキーナに送られる。


「魔素から生まれる最強種がドラゴン族で、他の世界からやって来るのが魔族。どちらの種族も人類にとっては災厄と言えるレベル」


「山水様はそのドラゴンを倒したんですよね?」


 サンタナとは違った意味で活発なリアンが尋ねてくる。

 このリアンとサンタナは性格が似ていることもありとても仲が良い。そう、事あるごとに喧嘩をするほど仲が良い。


「ああ」


「ファイアードラゴンでしたか~?」


 貴族子女らしい所作で聞いてくるマーサ。

 親が貴族で他の貴族らと接する機会があったからか四人の中で唯一、俺には初めから「普通に」接してくれている一番話し易い存在。

 とはいえやはり「殿下のハードル」を超える気はないらしく、エステリーナがいる時は大人しい。


「やっぱスゲーー!」


 一番庶民的な言動のサンタナ。

 喜怒哀楽がハッキリしているせいか、俺的には最も親しみを感じている。


「そのファイアードラゴンはドラゴン族の中では中の中、と言われている」


「なら最強のドラゴンは?」

「王城の宝物庫に【勇者】の手記があり、その中に『【神の化身、白竜(ホワイトドラゴン)】だけは勝てなかった』と載っていたらしい

「「「白竜」」」


 ……勇者?


 俺だけ反応? 勇者とは?


「因みに白竜とは名では無く通称らしい」

「竜族には魔族のような階位? は無いのか?」

「冒険者協会が定めたランクならある。最高ランクがSSS(トリプル)、次がSS(ダブル)でその下がS(シングル)の三つ」

「ファイヤードラゴンはSS(ダブル)?」

「の真ん中くらいだな」

「「「へーーーー」」」


「リナが【帰らずのパラダイス】で第三階位の魔族を討伐したと言っていたが」


「第三階位はドラゴン族で言えばS(シングル)ランク」

「なら第二階位がSSで第一階位がSSS?」

「その通り。ただし」

「但し?」


「魔族はドラゴン族以上に遭遇率が低いため未だ不明な点が多い」


 ドラゴンは大抵、どこのダンジョンにもいるらしいが【特異点】付近から滅多に離れないらしく、お目に掛かる機会はないとのこと。


「低いのに情報を持っているのは?」

「手記……【異世界召喚勇者の旅日記】のお陰」

「……異世界召喚勇者?」

「千年以上前「魔王討伐」の為に召喚された四人をさす」

「魔王?」

「そう、大陸中の者が魔獣と戦った【人魔大戦】が行われていた暗黒時代にいた人物。これはある程度、歴史がある国では一般常識。勿論、我が国の学校でも教えている」


 四人に目を向けると皆、頷いていた。


「調べれば分かることなのでここでは細かい説明は省く。で目的を果たした後にパーティ―は解散。元いた世界に帰ったそうだ」


 四人がまた頷いている。


「で学校で教えているのはそこまでで、実はそうでは無かった。帰ったのは一人だけで残りの三人はこの世界に残ったそうだ」

「「「…………」」」

「でその内の一人が、今のアラナート王国があるこの大陸最南端を訪れた際、冒険の記録を綴った日記をこの地域を支配していた「時の権力者」に譲った物がアラナート城の宝物庫に保管されているのだが、それによれば勇者らが育った世界には「悪魔」と呼ぶ存在がおり、そいつらと『こちらの世界に現れた【魔族】の特徴が一致していた』と書かれてあるそうだ」

「ではそれを元に?」

「そう。魔法が効かないのも、別次元からくるのも、勇者さまが情報を残してくれたお陰。豆な性格だったのか、ご丁寧に第一から第三までの全ての名を書き残してくれた。勇者様々だな」

「その情報は他国も共有しているのか?」

「ギルドを介して」


 便利だなギルド。


「その魔族だが、物理は有効と聞いたが」

「全てが通るわけじゃ無い。一応、条件がある」

「どんな?」

「ミスリルが含まれた武器、または神力を帯びた武器のどちらか」


「ならここにいる全員?」

「そう。師匠の愛刀を除いて」


 エステリーナの注文で四人の武器にもミスリルを混ぜておいた。

 そして俺の愛刀は神の巫女であるシルヴィア特製で神力の塊そのもの。


「俺の愛刀は心配いらない」

「心配してない」


 あっそ。


「で粗方の説明を終えたところで本題に入る」


「「「本題?」」」


「これ以降の会話は他言無用。これは陛下の指示だ」

「「「……陛下?」」」

「その陛下から近いうちに【勅命】が下る」

「「「誰に?」」」

「お前達四人に対し、護衛の任が下される」

「「「だ、誰の護衛?」」」

「シーラ様と団長の二人」


 おいおい聞いてないぞ。


「どこに行くんだ?」


「この国のダンジョン」

「何をしに?」

「話の流れから分からない?」

「まさか、魔族討伐?」

「正にそれ。ただそれはオマケというか邪魔をするので排除したいと」


 オマケ? 邪魔? ならその先に本命があると?


「シーラ様にはダンジョンに行かなければならない理由があるらしい」

「どんな?」

「それが何なのかは誰も知らない」


 傷ついてでも成し遂げたい理由があるのか。


「なら俺が行って魔族だけでも片付けようか?」

「師匠はダメ」

「何故?」

「師匠はダンジョンの入場資格が無い」

「どうして?」

「ルーナ様に対する信仰心がゼロだから」

「…………」


 その条件話は何処かで聞いた気がする。


「山水様が行かないとなるとヤバいんじゃないの?」


「討伐対象は第二階位。お前達では瞬殺されてお終い」

「「「な、なら余計に」」」

「お前達が相手をするのは第三階位」

「「「…………」」」

「お前達が連携すれば倒せる。勿論、バックアップ要員としてエルフ族も随行する」


「「「…………」」」




 陛下の勅命なら逆らえない。それを知っているからこその閉口。


 ただアイツも無謀な命令を出すとも思えないし、このメンバーを選んだサリーも同じだと思う。

 勝算があるからこそ指令を出したと思いたい。


 ……なら第二階位はリナが相手を? 勝てるのか?


 炎龍と同等と仮定すると…… あの時とは条件(縛り)が違うので勝てる?


 だがヤーム王の言葉が脳裏を過ぎる。


 ……予言は本当なのか。


 いやそれより、


「サリー、お前も行くんだよな?」


 一応確認。


「いや、アタイは居残り」

「行かないのか?」

「ミランダ様の()()。これも命令」

「誰の命令だ?」

「…………」

「言えないのか?」


「……陛下」


 真顔で呟く。


「ちょっと席を外す」


 腰を上げる。


「「「?」」」


「…………」


 ()()()に気付いた。そしてかなり腹が立ってきた。

 勝算を上げるには無難に囮役が熟るサリーは必須。それを敢えて外してきた。

 つまりこの「流れ」は事前に決まっていた。そうとしか思えない。


 それと勅命。

 これを発するという事はこの流れが国同士の取引きの産物であるのは間違いない。


 ではお互いに得る利益とは何なのか?


 それを早急に確かめとかないと。

 そう思い部屋を出たところ、後を追いかけてきたサリーに呼び止められる。


「師匠にはやる事があるのでは?」

「……やる事?」


「何をする為、何を成す為ここにいる?」


 その言葉を聞くと歩みが止まる。


「師匠は優先してやって貰いたいことがある」

「それも命令か?」

「いやアタイの嘆願」


 ……嘆願?


「ならこの流れとは別口か?」

「そう。アタイ個人のお願い」

「言ってみろ」

「ある()()を消して欲しい。これは()()()()()()()()()()し、師匠にも利がある」


「……で、誰を?」



「ルーナ様」



 揺らぎのない表情の口から思いもよらない名が出てきた。


 そういえばエステリーナのジョブはまだ確定させてなかった。一応、王になる際に「騎士」からジョブチェンジしてるんだが・・どうしようかな。

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