3.葉っぱ1枚あれば最高だ・後
ピンポンパンポーン↑
『ただいまのエネミー冒険者、葉っぱマンは地下6階のボス“ダークソーサラー”を撃破し、帰還魔法で脱出しました。皆様、お疲れ様でした』
ピンポンパンポーン↓
「先輩、生きてますか?」
「死んでるよ……」
剣は真っ二つに折れ、盾は真ん中からベコっとへこみ、身体は壁に激突してバラバラになった骨が床にチラばっている。
辺り一面にはグチョグチョになってバラバラな緑の液体もある。
辛うじて頭部分だけ残ったスケサンと、コア部分が無事だったスラミンは、少しずつ身体を寄せ集めて復活しつつあった。
「ガードしたらそのまま持ってかれるとは思わなかったぜ……」
「オレも破れかぶれで顔に張り付きに行ったんっすけど、気付いたらやられていました……」
「ああいう装備を弱くしてダンジョンに潜るのを縛りプレイっていうらしいんだけど……そういう冒険者って凄い高レベルなんだよな」
「……あんな変態なのに」
「ふっ。俺がやられたのを見て、後ろから奇襲するお前のガッツ、良かったぜ」
「先輩こそ――あんな変態に正面から挑むなんて、さすが中ボスっすね」
「ふふふ……」
「うへへ……」
ピンポンパンポーン↑
『あーボス代理のエルです。ただいまの冒険者について反省会をやるんで、復活が済んだ中ボスの皆さんは地下6階のボス部屋に集合してください』
ピンポンパンポーン↓
「……もうしばらく死んでるか」
「そうっすね……」
どんな相手だろうが立ち向かう勇気を見せなければ――部下は付いてこないし、代理からの折檻が待っている。
悲しい中間ボスの運命なのである。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
本日出没した冒険者の紹介コーナー
エネミー冒険者の葉っぱマン(35歳)
職業:モンク
レベル:55
装備
武器:棍棒(エンチャント:魔法封じ)
頭:なし
胴:なし
腕:なし
足:なし
股間:ユグドラシル・リーフ
趣味:動画配信、筋トレ
好きなもの:タンパク質の多い食べ物
嫌いなもの:迷惑行為をする配信冒険者
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
「では、今日の反省文は明日までに提出して下さいね」
『はーい』
「そこの死んだ振りしてたスケサンは、罰として葉っぱマンがアップしている配信を12時間ぶっ通して観て、なんで自分が負けたのか反省文を提出して下さい。」
「えっ」
「……頑張れよ、スケサン」
「えぇっ」
スケサンは椅子に固定され、本当に12時間、男のケツと大胸筋が画面の大半を占める配信動画を見せ続けられるのであった。
「……誰か殺してくれ」
終わり。