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NO.8 スカイネスト

※注意※

この話はSF全開です。専門用語がめちゃくちゃ飛び込んできます。まともに読むと脳がオーバーヒートするので、流し読みで大丈夫です。

 反重力(アンチグラビティ)装置(システム)

 日本沈没後、すぐに作られたその装置によって日本の関東地方は浮上した。


 茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県。その内、東京都の新宿一帯がWSPの所有地となっている。

 旧新宿、そこにはWSPにとって欠かせない三つの『心臓』がある。


 世界最大の予報システム『絶対的天候予知装置(マクスウェル)』。

 地中深く存在する大型反重力(アンチグラビティ)装置(システム)支える者(アトラス)』。

 そしてWSP本部『世界空域連合捜査本部(スカイネスト)』。


 これらを有する旧新宿は世界で最も武力と技術を持つ地と言える。ちなみに、日本が浮上して誕生した大地は『共有大地(シェアバース)』と呼ばれ、旧新宿は『ニュータウン』と呼ばれている。


 このように、日本はすでに他国の共有資産とされている。日本を『侵略された』と感じる日本人も多い。ゆえに日本人テロリストの数は全日本人人口の6%を占めている。


 鳩原はそこまでの悪感情は無いものの、好き勝手に改造された日本に……寂しさを覚えていた。


 ロンドンから東京まで10時間弱。ようやく鳩原は日本の……シェアバースの上空に来た。


 飛行機から東京を見下ろす。東京タワー、スカイツリー等、象徴的な建造物は再現されているものの、街並みは大きく変わっている。

 円柱型のタワーが多数存在し、そのタワーたちを通路が繋いでおり、その通路はエスカレーターのように自動で床を動かしている。タワーの高さはそれぞれ100mを超し、一つのタワーに大量の住居、店が詰め込まれている。


 一つのタワーに大量の住居や店があるため、建物の数自体はかなり少なくなっている。上に伸ばした分、横に余裕ができたわけだ。人口自体もまだ少ない。タワー同士をつなぐ通路上にも露店や一軒家があり、一切の無駄が無い。


 電車は全て地下鉄で統一され、線路はもう地上には無い。車道は反重力(アンチグラビティ)装置(システム)によって浮かせられているため、支えが必要なく、三次元に展開が可能となった。浮いた道路の上を車が行くのだ。


 そしてえらい量のビルドが東京の空を飛んでいる。シェアバースにおいて、空は『高速道路』だ。『信号光輪(シグナルリング)』と呼ばれるホログラムによって生成された巨大な光輪が空に連続して存在する。原則、ビルドはこれを通らなくてはならない。この輪は青→黄→白→赤の順で変化し、青は『時速300kmまで許可』、黄色は『時速100km未満まで許可』、白は『停止準備』、赤は『完全停止』だ。この輪が信号の役割をしている。


 重力制御を積んでいないため(空中停止できないため)飛行機はこれを通らず、決められた飛行ルートを通る。飛行機はシグナルリングを躱して空港を目指す。


 鳩原はこのオーバーテクノロジーの数々を空から確認し、昔読んだ設定過多のSF小説を思い出した。つい、ため息が漏れる。

 これが正統的に進化して生まれた景色ならば、日本が努力して作った景色ならば、素直に驚くこともできただろう。

 自分の故郷が沈み、浮かべられ、不特定多数の人種によって改造されできた景色なのだから素直に喜べない。


「やれやれ……和の欠片もないな」


 視界の端に映る東京タワーが寂しげに見える。

 落ち込む鳩原の肩を、隣に座っているトキがつつく。


「あのさあのさ! ハトはさ! 金閣寺って知ってるのか!?」

「そりゃ知ってるさ。見たこともある」

「じゃあれは!? 姫路城! あとアレ! 伝説の雑誌! 週刊少年ジャンプについても教えてくれよ! それとさ、昔日本にはマジモンのガンダムがあったってのは本当か!?」

「ガンダムの実物大模型はあったかな?」

「マジか! いいな~。私が物心ついたころには全部沈んじゃってたからな~。日本がどんなとこだったのか、教えてくれ!」


 日本に興味を持たれていることが嬉しくて、つい表情が緩む。

 日本に興味を持たれるのは嬉しいが、それを口でしか説明できないことに寂しさもある。


 今の少年少女にとって日本とはすでに伝説と化している。その世界遺産や文化は、まるで神話だ。

 99%の雑誌は廃刊。世界遺産もほぼ全て沈んだ。放映中のアニメ・ドラマ、連載中の漫画、発売予定のプラモ、明日開く予定だった披露宴、甲子園の夢、初めて出来た彼女との初デート、夢のキャンパスライフ、七五三、かけがえのない日常、その全てがある日突然『終わった』。


 この海色の景色は否応にもその現実を日本人に叩きつけてくる。


「いいよ。いくらでも語るさ」

「よっしゃあ! 約束だぞ!」


 今度は座席の背中を拳で叩かれる。


「うわっ!? なんだ!?」


 後ろの席に居るのはオストリッチ。


「着いたぜジャパニーズ。あそこが我らの本拠地だ♪」


 ニュータウンの中心。

 そこに、メカメカしい球型施設が浮いている。


「あれこそがWSPの本部、『世界空域連合捜査本部(スカイネスト)』だ」

【読者の皆様へ】

この小説を読んで、わずかでも

「面白い!」

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「もっと頑張ってほしい!」

と思われましたらブックマークとページ下部の【★★★★★】を押して応援してくださるとうれしいです! ポイント一つ一つが執筆モチベーションに繋がります! 

よろしくお願いしますっ!!

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