表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スカイ・ダスト ~日本沈没から10年後の世界~  作者: 空松蓮司@3シリーズ書籍化


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

10/14

NO.9 ぽっぽっぽ、はとぽっぽ

 世界空域連合捜査本部(スカイネスト)は空中にある。ゆえに、中に入るためにはビルドで直接格納庫に入るか、地上から繋がる無数の(エレベーター)を利用するかだ。鳩原たちは管を利用する。

 まずWSP所有の施設に入る。そこで荷物検査を受け、エレベータールームに入る。そして指定のエリアを選択。するとエレベーターは動き、透明な管を通って世界空域連合捜査本部(スカイネスト)に入る。


「……はぁ。来るだけでめちゃくちゃ疲れたな……」


 エレベーターは玄関ホールに到着。玄関ホールに降り、三人が姿を見せると、WSPの職員が気味悪い物を見るような視線を向けてきた。


(なんだ……?)


 気分としては、進学校に転入してきたリーゼント不良学生。

 畏怖の視線を空警達は向けてくる。 

 陰口が聞こえる。『うげっ、第9班だ』、『トキとオストリッチ。また暴れたらしいぜ。今度は橋をぶっ壊したとか』、『怖い怖い……目合わせないようにしよっと』。


 鳩原はトキたちに疑惑の目線を向ける。


「なにお前ら、嫌われてるの?」


 オストリッチは歯を見せて笑う。


「そりゃもう、なぁ?」


 オストリッチがトキに視線を向けると、トキも悪い笑みを浮かべて、


「嫌われ者集団だよ。へっへっへ!」

「なんで誇らしげなんだよ」

「今日からお前も嫌われ者の仲間だぜ、ハト」

「うっ……別にいいけどさ。悪目立ちは慣れてるし」


 通路を歩いていくと、『Team9』という看板がぶら下がっている扉の前にたどり着いた。自動ドアで、近づくとドアはひとりでに横にスライドした。


「おーい帰ってきたぞ皆の衆!」


 意気揚々とオストリッチが挨拶するが――中には誰もいなかった。


「あり?」

「どういうこった? 私たち以外誰もいない……?」

「ここが第9班の事務所か……意外と普通だな」


 大型スクリーン。各班員の机。冷蔵庫、電子レンジ等々の家電。シミュレーター室、格納庫、オペレーター室、班長室、それぞれの部屋に繋がる扉。大体そんなところ。


 さっきまで誰かが居た形跡はあるが、誰もいない。と思ったら、


「ん?」


 部屋の隅に、パソコンを膝に置いた少女を発見した。


「ようやく帰ってきたか。お前達」


 偉そうな口調だが……小学生ぐらいに見えるほどの少女だ。

 銀色の長髪で、眠たげな翡翠の瞳。ひざ下まである白のロングシャツを着ている。シャツにはデカく『幼女最高』と漢字で書かれている。口に咥えた飴玉(チュッパチャプス)を上下に動かし、少女は鳩原に視線を合わせる。


「新入り……ジャパニーズ。日本人……」

「え? そ、そうだけど」

「アニメは何が好き? うちはNARUTOとハイキューとろしでれ。後はそう、マクロスシリーズは我が道しるべなり」

「えーっと?」


 よくわからないが、とりあえず、


「俺は……とある科学の超電磁砲と、BLEACH。かな。BLEACHはアニメというか、漫画派だったけど……」

「そうか……! うちの推しは佐天と平子だ。後で語り合おう。同志よ」

(なんだこの子、親日家?)

「てかオイオイ! それどころじゃないだろラスタチカ!!」


 トキが言うと、北欧系の少女――ラスタチカは「そうだった」とトキに顔を向ける。


「緊急事態だ。テロリストのものと思われる無人機部隊が27空域に出現した。第9班総出で事に当たっているが手が足りていない。すぐに応援に向かってくれ」

「マジかよ。俺たち以外全員行って手が足りてないのか?」

「班長は班長会議で行けていない。パロットは服役中。動けたのはレイヴンとケツァルと烏秋(オウチュウ)だけだ」

「人手不足だねぇ。つっても、私は無理だぞ。肩怪我してるからな」


 トキは包帯の巻かれた肩を見せる。


「俺も愛機がねぇからな。アレ以外に乗りたくはねぇ」

「となれば……」


 全員の視線が鳩原に集中する。


「おい、正気か? まさか俺一人に行けと言うんじゃ……」

「うちがバックアップにつく」

「バックアップって……」


 ラスタチカはその小さな胸を張り、


「うちはこの班の『予報士』。絶対的天候予知装置(マクスウェル)から得た情報を元に天候予測と戦局予測を立てる。わかりやすく言えばオペレーターだ。うちがついてれば無人機如きで死ぬことは無い」

「ラスタチカは最高峰のオペレーターだよ。こんなナリだけど信頼していい」


 トキの言葉に嘘はないのだろう。トキも、オストリッチも、新人の鳩原を送り出すことに一切の不安が無い表情だ。無論、会ったばかりの鳩原を信頼しているわけじゃない。ラスタチカを信頼しているのだ。ラスタチカならば、新人だろうが戦場で生き残らせると、そう信頼している。


(ここに入ると決めた時に、戦場に出る覚悟はした。それに相手は無人機、殺人の罪悪感を抱くこともない)


 鳩原はラスタチカの方を見る。


「サポート頼めるか。ラスタチカ」

「オッケー。任せろ()()()

「ぽ、ポッポ……?」

「日本の歌であるだろう? ぽっぽっぽ~♪ ハトっぽっぽ~♪ ってね。お前の名前、()原なんだろ? だったらコードネームはポッポでいいだろ」


 お、いいなソレ。と同調するトキとオストリッチ。


「まぁ……好きに呼んでくれていいんだけどさぁ……」


 ピジョンという仇名に続いて、ポッポ……。


(なんつーか、退化……してるよな。次はピジョットって仇名でも付けられそうだ……)

【読者の皆様へ】

この小説を読んで、わずかでも

「面白い!」

「続きが気になる!」

「もっと頑張ってほしい!」

と思われましたらブックマークとページ下部の【★★★★★】を押して応援してくださるとうれしいです! ポイント一つ一つが執筆モチベーションに繋がります! 

よろしくお願いしますっ!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ